Matsuzawa Hiroshi

松澤 寛 教授

所属
理学部
理学科
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専門分野

非線形偏微分方程式論、反応拡散方程式、放物型偏微分方程式

キーワード

Profile

出身地/長野県
子供の頃の夢/電車の車掌さん
尊敬する人/両親
趣味/旅行、銭湯・温泉巡り、野球観戦
休日の過ごし方/研究、旅行
好きなTV番組/孤独のグルメ、ゆるキャン△、名探偵コナン、池井戸潤先生原作のドラマ
好きな映画/名探偵コナン ハロウィンの花嫁
好きな著名人/タモリさん
好きな食べ物/焼肉、イタリアン、そば、中華料理

ゆっくりでもいい、周りと違ってもいい。答えを導き出す楽しさを伝えたい。

数学的な面白さは、古典的論文が最先端研究のヒントに

各地で生物が消息領域を広げることに着目し、数学的な視点から研究を続けています。これは、2012年に1年間、研究員として滞在したオーストラリアできっかけを得て、それ以来続けているテーマです。
外来種生物は、ある程度時間が経過すると、それに比例しながら生息領域を広げていきます。すでに1951年に発表された論文でも明らかにされていることですが、私はそれを「自由境界問題」という新たなモデルを用いて、拡大速度や個体数密度を表す関数について数学的な観点から研究しています。
この研究の大枠は、少し専門的な呼び方で「非線形偏微分方程式論」というものです。非線形とは、具体的な関数で表現できなく、簡単には解の性質が見出せない方程式であることを意味しています。ではどうやって情報を引き出すか、それが重要な課題です。解を見つける、あるいは解の大小関係を比較するための大事な道具が、古典といえるほどに昔の論文に含まれていることもあります。最先端の分野で古典的知見が再認識され、貢献できていることが、数学の面白さともいえるでしょう。目の前の課題に取り組み、新しい定理を生み出し、きちんと証明することに醍醐味を感じます。数学は証明が正しいと認められたら絶対的な価値となるので、ある種の緻密さを楽しむことができます。

粘り強く楽しむことで答えをつかむのは自分自身

授業では解析学を担当します。解析学とは数学において“関数の世界”=「連続的に変化する量」を極限という概念を通じて学ぶ分野で、基本的には「微分積分(解析)」から、「複素関数論」などが主な授業です。大学の数学は、高校までの内容と大きく変わるので、純粋に数学を楽しんでもらいたいと思います。受験勉強や試験のための数学もとても大切ですが、例えば「直線や平面」から「無限次元」という舞台の大きな変化を学ぶことは、より高い山から麓を見下ろすことによく似ています。そういったことからも数学が楽しいと感じてもらえたらうれしいです。
数学は難しいものだと捉えられることが多いですが、授業で「議論すること」や「考えること」を学ぶと、視野の広がりを感じてもらえるはずです。きっと“数学観”が変わることでしょう。
神奈川大学の授業は少人数制で、先生の目が行き届きやすいように設計されています。学生それぞれのペースや好奇心にできるだけ寄り添いたいですし、私が答えられることはどんどんお伝えしたいですね。学ぶ意思がある学生にはいくらでも数学の楽しさを話してあげたいと思っています。

他者と違う自分に目を向けて、役割を見つけ出す

学生の皆さんには、ゆっくりでも良いから、粘り強く、自分で考える癖を身に付けてほしいです。授業の一環としても非常に大切なことですが、社会に出てからも大いに役立つことでしょう。たとえば、何かの選択をするときに「誰かがそう言っていたから」という他者の視点ばかりに頼るのではなく、自分で答えにたどり着く経験を重ねることで、自信や自己肯定につながるからです。
たとえば私の場合、研究活動で海外の学会や研究集会に行く機会に恵まれることがあり、それが自分の人生観をとても豊かにしてくれています。学生にも「世界を知ること」を勧めているのはそのためです。広い世界に出て、自分よりも優秀な人がこんなにいるのかと実感することや、言語の壁によって自分のパーソナリティが全く理解してもらえないといった苦い経験を含めて、世界を知ることは大変重要なことです。自分を客観視し、自分にできることは何か、自分とは一体何者なのか、と自問して成長する機会を増やしてほしいと思います。
私が担当するのは数学の授業ですが、言語、とりわけ英語を学ぶことの意義もよくお伝えしています。論文は英語で読む、できれば卒業研究も英語で挑戦する、また、日常の暮らしでも英語でニュースを見ることができれば、報道の違いを知り、世界的な感覚を養うことができます。
また、世界を知ることで自分を知り、自分を大切にすることで、他者における個性の大切さも身に付けてほしいです。仮に、授業の内容を理解するのに他の人よりも時間がかかったとしても、まずはあきらめずに、自分の意思で考えることに価値があるのだということです。
私の授業の一つに「複素関数論」がありますが、その中で「特異点」といって、周りとはなじまない、周りから浮いている異質な点について学びます。数学では、そうした「特異なものに注目する」という視点がときに重要となります。むりやり周りと馴染ませるようなことはせず、特異なものをありのまま受け入れ、理解しようとするのが数学の考え方、私はこれを、いじめの概念と正反対だと思っています。数学は「一見周りとは異なるように見える人を許容するということ」も学べる学問だと知ってもらいたいです。

解析学(非線形偏微分方程式)研究室

「極限」という概念を用いて変化をとらえる数学です

解析学とは「変化」を扱う学問です。様々な量の「変化」には「数列」や「関数」が用いられます。数列や関数の詳しい性質を調べるには「極限」という考え方が重要です。「極限」は「無限」というものを扱いますが、ときには人間の直感に反する驚くべきことを体験することもあるでしょう。緻密な論理により直感を超える体験、「無限」が生み出す解析学の不思議な現象を学んでみませんか?  松澤研究室では学生に合わせて解析学(常微分方程式、偏微分方程式、フーリエ解析、積分論など)のテキストを選びじっくり読んでいきます。英語で書かれたテキストにもチャレンジできます。教員になる学生にとっても企業に就職する学生にとってもとことん考えることは非常に重要であり,本研究室で最も大切にしていることです。

Photos

  • 2012年度に在外研究員としてオーストラリアに1年間滞在し、そこでの研究が今につながっています。初心を忘れないためにも、出発便のカンタスB747機の模型を研究室に飾っています。在外研究でお世話になった先生とは今でも交流しています

  • 数学の研究において計算する、考えをまとめることは紙や黒板と筆記具やチョークなどで行われます。最近はタブレットなども使われますが、基本的に「考えること」「手で書くこと」が研究活動の中心です。長時間の研究活動でも手が疲れない万年筆を探して、LAMY製の万年筆に出会いました。今ではすっかり愛用品となり、研究だけではなく講義ノートもこの万年筆で作成しています。書くこと自体が楽しくなる万年筆です

  • 2012年度在外研究員としてオーストラリアと中国に滞在しました。中国の大学での研究発表での一コマ。海外の研究者とのディスカッションや国際会議での発表は自分を高めるためにも重要でコロナが明けたら再開します

  • 偏微分方程式に関する洋書の一例。大学院を志望する学生は学部後半から大学院の修士前半ではこれらの本で研究の基礎訓練を行ってまいります。

SDGsの取組み

地域課題

SDGs・地域課題について

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