Chikyu Tetsuhiko
知久 哲彦 准教授
Profile
出身地/静岡県牧之原市
趣味/大衆音楽一般、30年来になるラジオの活動、野山散策、ヘボ将棋、大相撲…
子供の頃の夢/富士山測候所の観測員、その後は普通に数学者
尊敬する人/昔はいたが今は…
愛読書/あまり本は読まないが、最近で言えば『メタルカラーの時代』
休日の過ごし方/天気がよければ近所の公園の草原に寝転がってボーッと雲を見る。布団干しは好き。雨なら気分に合ったBGMをかけて雑文書き
好きな音楽/洋楽のルーツはビートルズ、私はジョン派だった。井上陽水(30年来)、中森明菜(25年来)、その他いろいろ。珍曲も集めている
好きなTV番組/TVタックル、クイズ番組もよく見る
好きな食べ物/緑茶(出身地ゆえか、物心ついた頃から)
磁性も社会もフラストレーションが面白い。これが私を研究の虜とさせるのです。
現象の中に潜む理由を探る
自然科学の題材は実際にこの世の中に存在しているものであり、その目的は自然を理解することにあります。そして、われわれ研究者は、自由な発想で、新しいものの捉え方や概念の啓発をしていかなければなりません。
私の専門は「統計力学」という分野に含まれます。互いに関係しあったミクロな要素がたくさん集まったときの、マクロな性質を説明するための一般的方法論を研究しています。その一例として磁性体のメカニズムを探るために、そのひとつの簡単なモデルの解析的研究を手掛けています。一つひとつがミクロな磁石である電子が揃えば磁石になる。これを数理モデルにし、様々な数学的な性質を利用して解析するのが私のやり方です。このモデルは、相転移とよばれる現象を引き起こします。スピンという要素が互いに同じ方向を向こうとする作用と、デタラメな方向を向こうとする作用が競合したときに、ある秩序ができる過程を調べることに相当します。モデルの有効性は磁性体だけにとどまらず、脳神経系の情報処理や社会におけるネットワーク形成過程など、一見、まったく違って見える多くの分野へも応用発展しています。このように単純なモデルを通して多くの対象に共通な性質が見えてくる、それが私の研究分野の魅力です。
また、構成要素のどれかが必ず不満に陥るような体系は「フラストレーション」があるといいます。私はこのフラストレーションが秩序に及ぼす影響というものに特に関心を持っています。フラストレーションがない状態はどれもが満たされて存在し、そこに見られる秩序は一種硬直化したものであって、外の環境変化に対して柔軟ではありません。実は、フラストレーションこそが系をよりよい状態に動かしていくための駆動力となり、環境変化に対する柔軟性を与えるのではないかということが言えるわけです。磁性においても社会においても、その面白さに私は魅かれているのかもしれません。
向き合う姿勢を大切に
近頃では課題に対して、すぐにインターネット検索をかけることで答えを引用する傾向が学生たちに見受けられます。しかしながら、自然科学という学問はまだ誰も解明していない、正解の与えられていない対象に対して、自分の知っていることをもとに試行錯誤しながら進歩していくものです。自分の頭を使って考えることの重要性を学んで欲しいですね。答えは安直に求めるのではなく、時間をかけて辛抱強く問題とじっくり向き合う態度も必要だと思います。
理論物理学(統計物理学、数理物理学)研究室
数理モデルを用いて多様な系の性質を探る
統計力学とは、互いに関係し合ったミクロな要素がたくさん集まったときのマクロな性質を説明するための一般的方法論を研究する学問です。たとえば磁石の働きや、人間の集まりである社会現象を数理モデル化し、解析的手法やコンピュータ的手法を使って理論的に解析します。単純なモデルを通して対象に共通な性質を見つけ出していく、それこそが統計力学の魅力です。 モデルの有効性は磁性体に限らず、脳神経系の情報処理や社会におけるネットワーク形成過程など、多くの分野へ応用発展しています。近頃はインターネットなどで安直に答えを探そうとする傾向がありますが、既成の情報をうのみにすることなく、頭を柔軟に使って、辛抱強く問題と向き合う姿勢が科学には大切です。
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