Fujita Misato

藤田 深里 特別助教

所属
理学部
理学科(生物コース)
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専門分野

形態形成学、分子生物学

キーワード

Profile

出身地/多摩市
血液型/B型
子供の頃の夢/パン屋さん(りんご酵母のパン作りにはまって満足)
尊敬する人/自分がある人
愛読書/吉本ばななさんの小説、レシピ本
趣味/お漬物作り
休日の過ごし方/お料理、お買い物
好きな映画/ジブリ映画
好きな食べ物/お野菜
好きな国/海外旅行大好きです

ちょっとした違和感や変化を見つける目。 それは生物学だけでなく、人生においても大切です。

生物学に大切なのは「観察する能力」

私の担当科目は「生物科学実験 I・II」と「特別実習A」です。「生物科学実験 I」は1年生が対象で、自然科学の基礎である「観察する能力」を磨くことを中心とする実習科目です。ニジマスの解剖など生物系の実験と、初歩的な分子系の実験などを行います。身近な事象や生物の観察から生物学的な理解を広げ、さらには探究心を身につけてもらえるよう工夫したいと思っています。
「生物科学実験II」は3年生が対象で、生物学全般にわたって、研究に必要な実験方法や実験技術、コンピュータ解析などを習得していきます。DNAの電気泳動や専門的な統計処理なども入ってきます。生物科学科の先生方がそれぞれの専門分野に関して2回ずつ授業を担当します。3年生の後期からは研究室配属が始まるので、研究室選びの参考にという側面もあります。また、この授業ではパラフィン切片の作成も行います。サンプルを固定して、組織の形を壊さないように切り取り、染色していくという作業で、刃物や有機溶媒を使うので危険もありますが、皆さんしっかり気をつけながらやってくれています。パラフィン切片は組織の細かいところを生きたままの状態に近い形で見られるため、組織学を学ぶ人にとってはとても大事な技術です。最近は医学部などでもパラフィン切片の作り方を教えないところもあるそうですが、これがきちんとできるというのはとても大事なことで、事実、それがきっかけで就職した人もいるくらいです。
「特別実習A」はキャンパス近隣の金目川における河川生物の生態に関する観察中心の実習科目です。3日のコースになっていて、2日間はフィールドでの試料採取や観察、計測などをし、最後の1日でまとめと発表を行います。採取した生物の細かい形を観察して、その形にどういう意味があるか、あるいは生息環境とどういう関係性があるかを考察することで、生物学にとって重要な「観察目線」を身につけ、さらに最終的な発表を通して、結果や考察をわかりやすく伝える能力の習得も目指しています。

「血管だって面白い!」という反抗心が研究につながった

私自身が研究テーマにしているのは血管系の発生です。もっともシンプルな脊椎動物モデルのゼブラフィッシュやメダカの胚を用いて、どのように血管の形がつくられるのか、またどのような遺伝子メカニズムがその発生に関わっているのかを調べています。
ゼブラフィッシュやメダカは発生が速く、それぞれ3日目と6日目に孵化するので血管のでき方がとてもシンプルで、受精からどれくらいの時間でどんな器官ができていくのかということもタイトに決まっています。さらに2000年頃に心筋形成に重要な遺伝子が発見されたことで、それを利用して意図的に心臓の拍動を止めることができるようになりました。通常、心臓が止まると酸欠になりその他の組織の発生も止まって死んでしまうのですが、メダカやゼブラフィッシュの胚はとても小さいため、心臓が止まっていても体表から水中の拡散酸素を吸収して、その後も発生が続くのです。すると血流に依存しない、純粋な血管の発生を見ることができ、そこで血管の形態変化を記録し、その形成にはどの遺伝子が関わっているのかを調べています。
血管は、ヒトの身体では動脈硬化や腫瘍の血管新生など、さまざまな病変を引き起こします。しかし正常な血管がそもそもどのようにできるものなのかは完全には理解されていません。そこで血管形成の基礎を明らかにして、関連遺伝子を特定することは、人間の病気の予防や治療などにも活かせるかもしれません。たとえば私が以前やっていた研究は、脳底動脈という重要な動脈ができるときに関与している遺伝子を特定するものでしたが、ヒトの脳底動脈の血管形成にもその遺伝子が関係しているかもしれません。そんな期待もあって、「魚のこの血管は人間でいえばこの血管にあたる」ということを意識しながら研究をしていました。
もともと私は、血管という全身に張り巡らされた複雑な器官が一体どうやってできるのかに興味がありました。けれど近年はむしろ神経の方がホットトピックスで、「どうして血管なんか研究してるの?」とか「神経やったほうがいいんじゃない?」などとよく言われていました。それが私に「血管だって面白いよ!」という闘志を再び呼び覚ましてくれました。もしも血管研究を応援してくれる人が多かったら、今ごろまったく別の研究をしていたかもしれません。

ちょっとした違和感を見つけ、それを人に伝えられること

学部授業は、限られた時間でそれぞれの学問分野のほんの一部をお見せしているにすぎません。ともすると課題をクリアして単位を取ることに気を回しがちです。しかし一つでも、「もっとその奥深さを知りたい!」「どうしてこんな考え方の学問が発展してきたのだろう?」という気持ちを揺さぶられるものに出会えたら、皆さんには迷わずその世界を広げてほしいと思います。先輩や先生方も、専門書も、授業の枠にとらわれず積極的に利用する。そして教えてもらう存在ではなくなって学び取る相手となったとき、大きな自信が身についていることに気づくと思います。
このような広い視野と積極性・主体性は社会のどの場面でも活用できますので、ぜひ学生の間に体得してもらいたいと思います。
また、生物科学という分野に限らず、ちょっとした違和感や変化を見つけられることは、生きていく上でもとても大切な要素だと思います。さらにその違和感を改善した方がいいのか、あるいはその変化がどこからきたものなのか、ということを人に発信できることも大切です。最近の学生たちは順応力が高いというか、なにごとも「そういうものだよね」というように見て見ぬふりをしたり、実際に変化や違和感に気づかなくなっている人が多い上に、それが当たり前という社会になりつつある気がします。けれど、もっといろいろなことに疑問をもってほしいし、気づいてほしい。皆がそれぞれその気づきをさまざまなところに使えば、皆の人生に奥行きが生まれます。私はたまたまそれが血管だったのです。皆さんには大学でいろいろなことに気づいて、それを活かせるようになってほしいと思います。

生物科学(内分泌学、機能形態学)研究室

下垂体前葉内の細胞間コミュニケーションの仕組みを明らかにする

下垂体前葉は、6種類のホルモン(GH、PRL、TSH、LH、FSH、ACTH)を分泌し、成長、代謝、生殖、ストレス応答をコントロールします。これらのホルモンの分泌は、脳からのホルモンと標的臓器からのネガティブフィードバックにより調節されています。それらに加えて、前葉内での細胞間コミュニケーションも正常な機能を維持する上で重要であることがわかってきました。しかし、その分子機構は十分わかっていません。 当研究室では、主にラット・マウスや培養細胞を用いて研究しています。特に、濾胞星状細胞に注目しています。この細胞は、ホルモンを作りませんが、細胞増殖因子などの分泌性因子を介して近傍の細胞の機能を調節していると考えられています。それらを深く研究することで、下垂体前葉の機能を維持する新規因子の発見、濾胞星状細胞の存在意義の解明を目指しています。

Photos

  • 胚の操作に使うピンセット等の道具。特に5番と55番のピンセットは、先がすごく細くて1mmほどの胚も剥くことができる

  • 旅先や美術館などで買った絵葉書はファイルにまとめて保存している。20歳のころから年に1回は海外旅行へ行こう! と決めている

  • ラット下垂体前葉の濾胞星状細胞(緑)。細胞の核を青で染色してある

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