Kabe Yoshio

加部 義夫 教授

所属
理学部
理学科
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専門分野

有機金属化学、有機ケイ素化学、フラーレン化学、計算化学

キーワード

Profile

生年/1955年
出身地/栃木県
血液型/O型
家族構成/妻、長男
子供の頃の夢/画家、デザイナー
尊敬する人/ライナス・ポーリング(物理化学者)
愛読書/文明論、科学史、技術史、一般歴史書(自然の歴史の講義のネタ)
趣味/子供たち向けの科学教室
休日の過ごし方/ショートテストの採点と授業の準備
好きな映画「ラスト・エンペラー」、「レッドクリフ」など歴史大作
好きな音楽/60~80年代アメリカンポップス(オールディーズ)
好きなTV番組/Eテレ「サイエンスZERO」、「NHKスペシャル」(かかさず録画視聴)
好きな著名人/竹村健一(評論家)
好きな食べ物/漬物、野菜の煮物
好きな国/アメリカ

本来、科学は楽しむもの。音楽や美術のように人を感動させ、人生を豊かにしてくれる文化です。

資源問題や環境問題を解決するケイ素の研究

地球の表面に存在する元素の中で、最も多いのは約50%を占める酸素です。そして次に多いのが、約25%を占めるケイ素です。鉱物、土壌やセメント、あらゆる無機物の主成分元素で、身近なところでは、キッチン用品などによく使われるシリコンは、このケイ素からつくられています。ケイ素は炭素によく似た性質を持ち、天然資源としては炭素に比べてはるかに多く存在するため、炭素化合物の半分でもケイ素化合物に代替できたら、資源問題や環境問題を解決できると言われてきました。それを実現するのが、ケイ素研究者の長年の夢です。私もずっとこの研究を行ってきました。現在は、炭素にはないが、ケイ素が持つ独自の性質を使って、新しい化合物をつくることができないか模索しています。ケイ素の研究者は世界を見回してもあまり多くありませんが、社会に役立つ新しい何かを生み出す可能性の大きな研究テーマだと思います。

"科学を楽しむ"親子科学教室の開催

大学教員になる前、ポスドク(博士研究員)としてアメリカに滞在したことがあります。まだ科学博物館などが日本の地方にはほとんどなかった当時、アメリカではすでに普及していて、子供も大人も科学の実験を楽しんでいる様子に感動しました。帰国して企業の研究所で研究員をしていた頃、上司から「日本は科学と技術を一緒に輸入したため、役に立つ科学だけが評価されるようになってしまったけれど、本来科学は音楽や美術のように人生を豊かにしてくれる文化である」という話を聞き、思わず手を打ちました。科学は理屈ではなく楽しむものです。音楽や美術と同じように人を感動させてくれます。
最近、TV番組でも面白い科学実験を紹介していますが、私は10年ほど前から本学のキャンパスや地元の公民館で、「夏休み親子科学教室」を開催しています。液体窒素でゴムボールを凍結させて破砕したり、スライムや発光実験やクリップモーターの作成をしたり、安価な材料で多くの参加者に楽しんでもらえるよう、学生の皆さんと一緒に試行錯誤しています。

社会で広く求められる3つの力

現在の担当講義は、1年生対象で有機化学の入門になる「基礎有機化学」、総合理学プログラムの「自然の歴史」と「総合理学演習」などです。総合理学プログラムでは、理系の一般教養として身に付けてほしい知識を勉強します。「自然の歴史」は、宇宙・地球の歴史、生物の進化の歴史、人の歴史を3人の教員が分担し、歴史の流れを講義します。私は人の歴史を担当しており、時には面白いサイエンス番組を視聴しながら、楽しく学んでもらえるように心がけています。
皆さんには大学生活を通して、「問題を解決する力」、「仲間とうまくやる力」、「あきらめない力」を体得してほしいです。この3つは社会に出ると広い分野で求められる力で、日本人宇宙飛行士の選抜試験でも要求されるそうです。これを身に付けるためのアドバイスは、「ひとつのことを粘り強くやり抜く」、「相手を思いやり、想像力を働かせる」、「夢や希望を持ち続ける」ということを意識して4年間を過ごすことです。実験や研究を行う理学部の学生には、特に念頭に置いてほしいです。
実験や研究はうまくいかないことも多いのですが、失敗に負けないで努力し、自力で乗り越え、結果が出たときには自信がつき、その成功経験は、きっと将来の糧になるはずです。

有機化学(反応有機化学、ケイ素・フラーレン化学)研究室

豊富なケイ素とフラーレンから新しい材料を合成する

ケイ素は有機性と無機性を兼ね備えた不思議な元素で、地球上に豊富に存在し、半導体・ガラスからシリコーン高分子工業まで広く利用されています。またケイ素は唯一、炭素と同じく自分自身がいくつも結合して多くの化合物を合成できる元素でもあります。当研究室では、新しい有機ケイ素化合物を合成し、三次元多孔性材料や分子カプセルなどの「ケイ素でつくる超分子化学」に挑戦しています。またサッカーボール状の炭素の同位体フラーレンC60に穴をあけて原子や分子を内包させる「フラーレン化学」や、学科内共同研究で、渡邉助教と「化学発光(ジオキセタン)」についても研究しています。そしてこれらの研究を進めるにあたっては、結果の予測や理解に最新の計算化学も応用しています。

Photos

  • 2013年に出版された『現代ケイ素化学 体系的な基礎概念と応用に向けて』(化学同人)。ひとつの章を分担執筆しました。私が学生だった1972年にケイ素化学の教科書が出版されて以来、ケイ素化学者の悲願でしたが、やっと実現しました。

  • 毎年、4月お花見(湘南平)、7月平塚七夕コンパ、9月富士見研修所(八ヶ岳)合宿ゼミが研究室の恒例行事です。写真は2018年4月湘南平のお花見のときです。

  • シラノール分子カプセル 水内包穴あきフラーレン ジオキセタン

SDGsの取組み

地域課題

SDGs・地域課題について

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