Kawahigashi Ken
川東 健 准教授
Profile
生年/1960年
血液型/A型
出身地/東京都
趣味/登山
子供の頃の夢/ロケット研究者・物理学者
尊敬する人/湯川秀樹
愛読書/立松和平『百霊峰巡礼』
好きな音楽/バッハ
好きなTV番組/山の番組
好きな食べ物/インド料理
休日の過ごし方/登山
知識を身に付けるには、山登りと同じで一歩一歩が大事。自ら手を動かし、頭を使って吸収しよう。
複雑な物理学の数式をコンピュータで解く
授業では、物理学の基礎となる「力学Ⅰ・Ⅱ」や「電磁気学」、私の専門分野である計算物理学を扱う「計算機シミュレーションⅠ・Ⅱ」を担当しています。例えば「計算機シミュレーションⅡ」では、実際に起きている現象を表した数式で、複雑過ぎてコンピュータを用いなければ解けないものを、コンピュータで解いてシミュレーションするということをしています。具体的には、人口密度に応じて伝染病が流行する・しないといったことや、シマウマや魚など、動物の体の表面に現れる模様の発生をシミュレーションしてきました。
本来、こうした現象をシミュレーションすることは難しいのですが、実際の現象をとても簡単なモデルにして、再現することに取り組んでいます。この授業では、学生にプログラミングから始めてもらい、それを動かしてコンピュータの中で実験をし、結果をレポートで提出してもらう方法をとっています。情報科学科の多くの学生は、プログラミングを学んでも、それを物理で利用するということには、なかなか結びつけられないようです。ですから、この授業がコンピュータと物理学を繋ぐきっかけになればと思い、教えています。また、単に数式を紙の上で解くのではなく、実際の現象に当てはめて考えることで、物理学の理解を一層深めてもらえれば、うれしい限りです。
数を集め、マクロの視点で捉えることの面白さ
今、私たちを取り巻くコンピュータの環境は、昔と比べて、随分と変わりました。コンピュータ1台1台の性能が向上したことはもちろん、それらを何台も繋いで駆使できるネットワーク技術も進歩しています。そこで私の研究室では、安価で手に入る普通のコンピュータをたくさん使って、従来はスーパーコンピュータのような特殊なハードウェアでなければ扱えなかった複雑な計算を解くことに挑戦しています。今年は5台のコンピュータを繋いで動かしました。来年はそれを10~20台に増やし、将来的には100台くらいまで増やして動かそうと考えています。
たくさんのコンピュータを繋いで何をするのかというと、例えば、学生が取り組んでいる卒業研究に、気象のシミュレーションがあります。気象を予測しようと思うと、日本列島を10km×10kmの格子で区切り、その格子1つの中での風向きなどを計算し、隣あった部分との影響を見て、次の瞬間に風向きなどがどう変わるのかをシミュレーションしなくてはなりません。これが現在の天気予報のシミュレーション方法でもあるのですが、私は、それをさらに細かく捉えたいと考えています。例えば、関東エリアを、1km×1kmの格子に区切ってシミュレーションできないかと思っています。ただ、そんなふうに細かく捉えるには、つまり区切る格子の数を増やすには、大規模データを扱えるシステムを用いなければなりません。そこでコンピュータをたくさん接続して、大量にある複雑な計算を速く処理するという試みを行っているのです。
このようにコンピュータを用いる計算物理学の研究では、ミクロの視点で一つひとつを見ているだけではわからない現象でも、数を集めてマクロの視点にすると、予想もしていなかった、とんでもない姿が見えてくることがあります。そこがこの分野の面白さだと思います。
“物理学と情報科学のかけ橋”を目指して
学生の皆さんには、大学の4年間で“知識を身に付ける”ということを、学んで欲しいと思っています。単に授業を聞いて終わるのではなく、授業で教わった計算式を解いてみたり、数式をプログラミングしてみたりと、学んだことを自分で追って欲しいのです。知識を身に付けるには、山登りと同じで一歩一歩が大事ですし、地道に手を動かすこと、頭を使うことが大事になってきます。
また、今は物理学でもコンピュータを使うことが主流の時代です。一方で、コンピュータを専門としている人たちは、物理の知識に乏しいという現状があります。ですから情報科学科の学生には、コンピュータだけでなく物理の知識を教え、来年度から新設される数理・物理学科の学生には、物理だけでなく、コンピュータにも興味を持ってもらえるように教えたいと思っています。そんなふうに、コンピュータにも物理にも精通した人を育てることで、“物理学と情報科学のかけ橋”になれればと願っています。
理論物理学(計算物理学、原子核理論)研究室
自然現象や社会現象をシミュレーションで解き明かす
実際に起きている現象を表した数式を、コンピュータを用いてシミュレーションしています。たとえば、人口密度に応じて伝染病が流行する・しないといったことや、シマウマや魚など動物の体の表面に現れる模様などです。本来であればシミュレーションすることが難しい現象ですが、実際の現象を簡単なモデルにして再現しています。単に数式を紙の上で解くのではなく、実際の現象に当てはめて考えることで、物理学の理解を一層深めてもらうのが目的です。 私の研究室では、オブジェクト指向や関数型のプログラミング言語を使ったシミュレーションをはじめ、大規模計算のためのフレームワーク作りも行います。大規模なデータを取り扱うため、分散・並列処理系の勉強にも力を入れています。
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