Suzuki Yoshihiro

鈴木 祥弘 准教授

所属
理学部
理学科
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専門分野

植物生理生態学

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Profile

生物を見ていると、どんな酷い環境でも何とか生きていけるように思います。

CO₂の吸収を助ける極域の植物プランクトン

私の専門は植物生態学で、植物プランクトンなど微細な藻類の光合成を研究しています。私は中学生のころから、微細な藻類に興味を持ってきました。この興味が現在の研究へとつながるきっかけとなったのは、大学の博士課程で参加した海洋調査のプロジェクトでした。今、大気中のCO₂濃度の増加が問題になっていることはご存知でしょう。そのCO₂の流れを地球全体でみたとき、「まだ知られていない地球のどこかに、沢山のCO₂が吸収されている」という謎があったのです。研究が進むと、その「どこか」が、北極圏だと判ってきました。プロジェクトの目的は、CO₂の流れを北極圏で詳しく調べることでした。北極圏には、いくら氷が張っても風で流されてしまうため、氷が張らない海があります。周りの気温が-40℃でも海水の温度は-2℃までしか下がらないので、そこには沢山の生物が暮らしています。また、白夜の夏には、昼も夜も日光が降り注ぐので、植物プランクトンが光合成をして、すごい数に増え、CO₂を吸収することがわかってきました。北極圏では暖かいと思ってしまう-2℃でも、私たちには、とても耐えられない低温です。そんな低温でも光合成できるのはなぜか、というような「環境と生物の機能」について研究しています。

生態学の魅力は、自然を通して人間を考えられること

生態学は、野外で生物がどう生きているのかを、あらゆる手段を用いて調べる学問です。その魅力は、「自然を通して、人間について、ゆっくり考えられること」だと思います。人間は、噂に惑わされたり、他人を羨んだり、果てしなくお金儲けをしたりします。しかし、生物は生きることに懸命で、それ以上は求めません。生物を見ていると、同じ生物としての人間“ヒト”のあるべき姿が見えてくるような気がします。学生さんにはそういうことを感じながら、ヒトとして判断するための助けとなる知識を養っていただきたいです。そのために、生物科学科では生物学のあらゆる基礎を徹底して勉強してもらっています。学んだことをいつか社会へ還元できるようなヒトになってもらえれば、うれしいですね。

生物科学(植物生態学)研究室

さまざまな環境で行われている光合成の仕組みを探求

私たちの研究テーマは「光合成の生態学」です。地上の生物は、光合成で作られた有機物なしに生存することはできません。北極から赤道まで、地球上のあらゆる場所で光合成は行われています。一般的に、北極圏は寒すぎて生物が生息できないという認識がありますが、実は地上がマイナス40 ℃であっても氷の下の海水はマイナス2℃より低くならないので、藻類が生育し、光合成をしているのです。 一方で、熱帯の高温多湿な環境においても、高い速度で光合成を行う植物がいます。当研究室では、こうした過酷な環境で、生物がいかに工夫して光合成を行っているのか、その仕組みを調べています。自然の中で、生き生きと生活する生物を調べることが、この分野の醍醐味です。

Photos

  • 北極圏バフィン湾、水深2000メートルの水圧で縮んだ発泡スチロールのカップ

  • 流氷の海に落ちてもサバイバルできるスーツは、防寒着とライフジャケット兼用。氷上の研究に不可欠

  • 北極の海中環境を再現する寒冷地シミュレーション装置

  • 相模川河口調査

  • 人工気象室。高温多湿な環境への光合成の対応

  • 阿寒湖のマリモ 大きなマリモの維持機構の解析

SDGsの取組み

地域課題

SDGs・地域課題について

相模川河口域における長期的観測を行っています。

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