お知らせ

2021.01.08

松澤 寛 准教授(理学部)が、日本数学会函数方程式論分科会 第12回福原賞を受賞しました

  • LINEでシェア
  • Xでポスト
  • Facebookでシェア

松澤 寛 准教授(理学部)が、日本数学会函数方程式論分科会 第12回福原賞を受賞しました。

この賞は、日本数学会 函数方程式論分科会において主な研究活動を行っている研究者の中で、函数方程式論分科会での特別講演あるいは研究集会「微分方程式の総合的研究」で招待講演を行った方々のうち、優れた業績を上げた方を中心に顕彰を行うものです。松澤准教授は、生態系モデルの解析において勃興期から基礎的な研究を推進してきたことに加え、さまざまな方向への発展に大きく貢献した点が評価され、今回の受賞となりました。

受賞に際し松澤准教授は、「この度は、このような名誉ある賞を頂戴し、大変光栄に存じます。本研究は2012年度に在外研究員としてオーストラリアに滞在し、行った研究に端を発しております。このような研究を行う機会をいただきました関係者や共同研究者の方々にこの場を借りて心より御礼申し上げます。今後も、より広い視野で研究に邁進するとともに、学生の教育にも還元していきたいと思います」とコメントされました。

研究内容

テーマ「生態系反応拡散モデルに対するステファン問題の解の漸近挙動」

生態系を記述するモデルの一つは、ステファン条件を伴う反応拡散方程式に対する自由境界問題により記述される。こうした問題は外来生物の侵攻や競合あるいは衰退を表すモデルと考えられ、初期値問題に現れる進行波解とは異なる興味深い様相が多くの注目を集めている。松澤准教授はこうした問題に対して、精密な解の漸近挙動の定量的解析を行い、Yihong Du氏らとの共同研究により、自由境界の進行速度を高次のオーダーまで決定した。同時にこの分野の研究をさまざまな方向へ拡張し、既存の研究では現れなかった解の存在や自由境界の新しい挙動を兼子裕大氏との共同研究で明らかにした。さらに最新の研究結果は両者の方向性を併せ持つものとなっており、多重安定な反応項を持つ1次元ステファン問題を山田義雄氏や兼子氏らと共同で研究し、多段型のテラス解の挙動に関して詳細な結果を得た。特にテラス解の漸近挙動を定量的に解析し、そのメカニズムを捉えるために、テラス解が段ごとに異なる速度で進行していることを明らかにした。その証明法は初期値問題に対する進行波解の解析法とステファン問題に対する解析法を巧妙に組み合わせた興味深いものである。
(2020年度 福原賞選考委員会からの受賞内容説明より抜粋)

関連リンク