Shirai Naoki
白井 直樹 准教授
Profile
出身地/愛知県田原市
子供の頃の夢/農家
尊敬する人/両親
休日の過ごし方/家族と過ごす
好きな映画/『死ぬまでにしたい10のこと』
地球上の岩石や宇宙から飛来した隕石の 「元素組成」を調べ、太陽系形成の謎を解明する。
隕石に含まれる元素の比率を調べ、形成のプロセスを追う
外を散歩していると、道端に石が転がっているのを目にしますよね。その石は一体どこから来て、どのように形成されたのでしょうか?
実は、石に含まれている元素の種類や比率といった「元素組成」を調べれば、これらの情報を解き明かすことができます。私は、こうした地球上の岩石や宇宙から飛来した隕石の元素組成を調べ、その石が形成された過程や、果てはその石がやってきた大元である「惑星」や「太陽系」が生まれた過程までをも解明しようと研究に取り組んでいます。
例えば、隕石などが衝突してできたクレーターと、火山の噴火口にできる円形のくぼみは、形状が似ているので簡単には識別できないものもあります。私の最近の研究では、ゴビ砂漠に存在するある円形のくぼみが、隕石由来なのか火山由来なのかを調べていました。隕石には、イリジウムや白金といった、地球の表層にはあまりない物質が多く含まれています。ですから、くぼみの周りにある石にこうした物質が含まれていたら、それは隕石だということです。さらに、元素の比率を細かく分析すると、それが宇宙のどこからやってきたのか、目星をつけることもできます。
月なのか、火星なのか、他の小惑星なのか……。イリジウムや白金といった物質は隕石中にごく微量しか含まれておらず、例えるならば、25メートルプールの中に角砂糖をひとつ入れたくらい。そうした微量の元素濃度を、高感度で検知する質量分析装置を使って測定しています。この研究によって、太陽系の形成や、その後の惑星の進化のプロセスを明らかにすることが目標です。
地球が誕生してから約46億年の歴史を物理学・化学・生物学で学ぶ
私たちが住む地球はおよそ46億年前に誕生し、長い歳月を経て、水と大気、生命にあふれる現在の姿に至りました。私が担当する授業では、この地球についての理解を深めると同時に、地球の成り立ちについて知見を広げていきます。ベースとなるのは、物理学や化学、生物学です。これらの知識や理論をもとに、地球の深部から表層までの構造や、その構成物質について学んでいきます。
これは高校での「地学」の延長でもありますが、私の授業は地学を学んでこなかった学生も多く履修しています。そうした学生にもわかりやすく理解してもらうために、写真や図などの視覚的なイメージを使って授業をしています。自分自身も大学時代の授業で、黒板に書かれた数式や言葉だけで説明されて理解できなかった記憶があるので、頭の中で想像を膨らませながら理解できるような授業を心がけています。地球上に生命が誕生した過程や地球周辺の惑星の構造を学ぶことはとてもダイナミックで面白い体験だと思います。もっと深く学んでみたいと興味を持ってもらえたら、ぜひ私の研究室で高度な研究に取り組んでみましょう。
これまでの人生でとても有意義な経験だったのが、博士課程を終えた後に博士研究員としてアメリカで2年半働いたことです。私が所属した研究所にはアジアからの留学生が多く在籍していて、さまざまな国の文化について学ぶことができました。何かを「知る」ということによって、それまでの固定観念のようなものがなくなり、世界が広がっていく。留学でも勉強でもいいですが、大学生のうちにひとつでも多くのことを経験し、多くの知識を身につけてもらえたらなと思います。
宇宙地球化学(放射化学、宇宙化学、地球化学)研究室
元素分析から明らかにする太陽系の形成過程
研究室に配属される学生は、これまでに地学を学んだことがほぼありません。研究室に所属してから、宇宙化学や地球化学を学び始めます。研究室では、私も含めてみんなで一から宇宙化学や地球科学の日本語や英語の本を用いて勉強しています。
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地域課題
SDGs・地域課題について