Ohizumi Mitsuo
大泉 三津夫 特任教授
Profile
出身地/新潟県
子供の頃の夢/料理人
趣味/テニス、スキー、読書
好きな音楽/ポップス
好きな食べ物/中華料理
地球の環境を計算式で表現し、 遥か未来の天候を予測する
気象に関わるあらゆる情報を組み込んだ「数値モデル」
みなさんが普段ニュースなどで見かける天気予報は、気温、風の動き、空気中の水蒸気の量といった天候に関わるさまざまな要素を組み合わせて計算し、翌日、あるいは1週間の空模様を予測しています。その手法を応用し、少し先の予測を何万回と繰り返すことで、100年後の地球の天候、さらには地球温暖化の進行状況を予測しようというのが私の取り組んでいる研究です。
具体的な手法としては、最初に地球の海や陸地、大気を数キロ四方の細かい格子に分割し、ひとつの格子の範囲内は均一の天候条件であるという仮定を置きます。地球全体を無数のマス目で覆うようなイメージですね。そして、隣り合う格子間の熱のやり取りや、それに伴う天候の変化を物理的な計算式によって表現していきます。こうした計算式を「数値モデル」といい、これをスーパーコンピュータに組み込んで計算することで、未来の天候をシミュレーションすることができるのです。私の研究の目的は、この数値モデルの精度を高めることにあります。
長期の天候を予測する際、翌日の天気予報と異なるのは、大気や水の総量の保存といった、かなり細かい要因を考慮しなければ正確なシミュレーションができないということです。天候に影響を及ぼす可能性のある、あらゆる要因を計算式に反映し、地球の環境を数式上で擬似的に再現していく。そのようなスケールの大きさに面白さを感じています。ちょっとした要因も数式に組み込んでいくと、情報量が膨大になりすぎて、時にはスーパーコンピュータを持ってしても計算が止まってしまうことがあります。そのため、重視する項目を取捨選択して情報量を抑えるなど工夫を繰り返しながら、可能な限り正確な予測ができるよう研究を進めています。
大学時代のサークル仲間は一生の宝になる
私が担当する主な授業は、1年次後期の「地学概論Ⅱ」と2年次の「気象学」です。これらは気象学の初歩から基礎までを身につけてもらうことを目的としており、私の研究分野に近い天候の数値予想や災害をもたらすような顕著な気象現象については3年次のゼミナールで学修してもらいます。
高校までの気象学は「地学」の一分野で暗記科目の側面が強く、物理学や計算式を用いてアプローチするのは大学の授業が初めてだと思います。学生にとって少し難しい内容であることは理解しているので、授業ではなるべく平易なところから始め、特に必要な知識に絞って教えるよう心がけています。
私はスキーが趣味で、スキーをするために大学を選び、スキー関係のサークルに入り、雪を研究するため大学院に進みました。降雪量が大きく影響する現在の研究内容もその延長にあるようなものです(笑)。大学時代のサークルの仲間は一生の宝になります。授業や課題に忙しい大学生活ですが、授業だけで4年間を過ごすのはもったいないと思いますので、ぜひサークルに加入し、仲間をつくってほしいと思います。
気象学(気象・気候数値モデル、陸面過程)研究室
身の回りの気象を物理的に理解する
気象や気候は、対象とする現象が大きいほどその継続時間(時間スケール)が長くなる性質があります。短時間で小規模な大気現象は大気自身の性質でほぼその運動が決まりますが、現象の時間スケールが長くなると、次第に大気と接する地表面の影響が大気の運動に大きな影響を与えるようになり、大規模で長期の気候ではそれが支配的になります。当研究室では地表面の中の陸上で起こる各種の気象学的プロセス(陸面過程と呼ばれる)と大気下層(特に地面と接している接地境界層と呼ばれる層)との相互作用(大気陸面相互作用)のモデル研究(数値モデル開発と数値実験)をメインの研究に位置付けています。
Photos
地域課題
SDGs・地域課題について