Sakamoto Takuya
坂本 卓也 准教授
Profile
出身地/兵庫県三木市
趣味/お城巡り、遺跡巡り
休日の過ごし方/子供の遊び相手
好きな音楽/洋楽POP
好きな映画/『インターステラー』、『スター・ウォーズ』などのSF映画
好きな食べ物/鶏の唐揚げ、焼き鳥、カオマンガイなど東南アジア料理
植物が育つ場所の環境変化に対応する仕組みを遺伝子レベルで追究する。
植物の環境適応の鍵は染色体やクロマチンの構造変化
皆さんは植物の環境適応について、考えたことはありますか?私たちヒトは、今いる場所が暑かったり寒かったりすると、自分の足で涼しい場所に移動したり、自分の手で服を着て暖をとることができます。しかし、植物は移動することも服を着ることもできません。一度、芽を出してからその生涯を終えるまで、雨の日も風の日も同じ場所でずっと生き続けなくてはならないのです。
それでも植物が環境に適応しながら生きていけるのは、環境によって遺伝子の発現を変化させているからです。ただ、その仕組みは未だ完全には解明されていません。私は特に、染色体やその構成単位であるクロマチンの構造変化に着目して、遺伝子発現の変化が起こる仕組みや、それが植物の発生や成長、環境応答に与える影響について研究しています。特定の遺伝子を発現させる仕組みがわかれば、遺伝子発現を人為的に起こすことができます。例えば、植物は乾燥に弱いですが、お酢をかけるとクロマチンの構造が変化して乾燥に強くなることが知られています。こうした環境適応の仕組みがわかれば、農業において過酷な環境での植物育成に活かすことも可能になります。
また、イモをつくらない植物にイモをつくらせることで、植物にイモができる仕組みを明らかにする研究も行っています。イモとは、植物の根や地下茎が肥大化して養分を蓄えた器官のことを指し、私の研究対象は根にできるイモです。実はこのイモができるときにどのような遺伝子がはたらくのかについては、ほとんど解明されていません。ヒトの場合、染色体は2セット存在しますが、サツマイモの染色体は6セットもあり、遺伝子の機能を解析する研究が容易でありません。しかし、私が別の研究で染色体が2セットのモデル植物であるシロイヌナズナで実験を行った時に、たまたまイモのような膨らみができたことがありました。これをヒントにイモのできる分子メカニズムを解明しようとしています。
今後の目標としては、実際に地に生えた植物に還元できる技術をつくりたいと考えています。染色体やクロマチンの構造変化を制御できるようになれば、乾燥地域でもよく育つ植物をつくれたり、イモをつくらない植物にイモをつくることで食物が育ちにくい地域でも新しい食物を生み出せたりするかもしれません。妄想的だとしても、いつかきっと実現できると信じて研究を進めています。
知識を活用して、理由ある選択ができる人になってほしい
私が担当している授業のひとつに「分子生物学B/分子生物学II (理学・生物・総理)」があります。分子生物学を究める学生にとって重要な研究手法についての授業です。ゲノム編集、ワクチン、遺伝子組み換えなどの技術について、その仕組みを徹底解説していきます。遺伝子工学というのは、実は私たちの生活と密接に関わりがあります。例えば、遺伝子組み換えの食品を利用することについてさまざまな意見がありますが、利用するかしないかにおいて大切なのは“科学的な知識に基づいて自身で判断する”ということです。“生命”や“生きる”ことと密接した学問である遺伝子工学を学ぶことで、物事に対して自分なりの科学の視点を持って考えられる人になってほしいと思います。
また、大学時代はこれまでの学生生活や今後の社会人生活と比べて、自由に使える時間がかなり多いと思います。美術館や博物館、映画館……なんでもいいですが、勉強以外でも心を動かすものにたくさん触れて、感性を養ってください。そして趣味やサークル、アルバイト、ボランティアなどの経験も積んで、そこで出会った人たちとの関係性を大切にしてください。
生物科学研究室
植物のDNAがとる構造を変化させる仕組みを研究
真核生物において、DNAは染色体、クロマチン、ヌクレオソームと呼ばれる階層的な構造をとります。それをダイナミックに変化させることで遺伝子の発現を調整しているのです。私たちは植物について、DNAがとる構造が変化する仕組みと役割を研究しています。
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地域課題
SDGs・地域課題について