Shibata Shintaro

柴田 真太郎 特別助教

所属
理学部
理学科(化学,総合理学)
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専門分野

有機合成化学、固体触媒化学、無機材料化学、吸着化学、計算化学

キーワード

Profile

出身地/神奈川県横浜市
子供の頃の夢/ゲームクリエイターから科学者に収束
尊敬する人/複雑なことをシンプルに説明できる人
愛読書/最近は論文、昔は伊坂幸太郎
趣味/思考を整理するランニング
休日の過ごし方/「休む技術」を研究中
好きな音楽/作業用BGM全般
好きなTV番組/テレビは見ないが、ドキュメンタリーは好き
好きな映画/『Back to the Future』(※タイムマシン開発予定はありません)
好きな著名人/分野を越境している人全般
好きな食べ物/実験がうまくいった後のお酒のおとも

安価で取り扱いやすい固体触媒を活用する方法を探り、より効率的で省エネルギーな有機合成法を実現する。

身の周りにある物質から新しいケミストリーを生み出す

従来の有機合成化学は、貴重な金属触媒を合成に用いることで発展を遂げてきました。一方、近年においても資源不足は一向に解決しておらず、エネルギー問題についてもますます深刻化しています。私はこうした問題の解決に寄与するため、固体触媒や多孔質材料を用いて、有機化合物をより簡単・安全・省エネルギーに合成する研究を行っています。例えば、単に混ぜ合わせただけでは気が遠くなるほど長い時間がかかる反応を、短時間で進められるようにするのが触媒の効果です。これを安価かつ効率的に実現できるようになれば、医薬品の合成といった精密で少量の合成から、工場での大量生産まで、幅広い分野への貢献が期待できます。特に私の研究では、従来は不安定で扱いが難しかった化合物について、精製操作を大幅に簡略化しながら効率よく合成する手法を開発することをめざしています。さらに近年は有機化学から興味を広げ、ゼオライトなどのナノ空間材料における分子の吸着・反応挙動の解析や、計算化学を用いた反応機構の解明にも取り組んでいます。

なかでも、私が触媒としての魅力を感じているのが酸化アルミニウムです。酸化アルミニウムは基本的に安価で危険性が低く、化学的・熱的にも安定した性質を持っています。もともと酸化しているため、触媒として用いても発火を引き起こすリスクがありません。まさに大きな可能性を秘めた物質です。一方で、酸化物はすでに酸素と反応しているため、酸化する以前と比較すると反応性が落ちてしまうという触媒としてのデメリットもあります。こうした課題をクリアしつつ、私たちの身の周りにある物質から新しいケミストリーを生み出す。それが研究のやりがいになっています。

研究者という仕事の魅力は、成果を未来へと受け継いでいくことにあると考えています。私の研究においても、100年以上前に書かれた論文を参考にすることは少なくありません。時代とともに研究技術が進化したとしても、丁寧に執筆された過去の論文は大きな価値を持って残り続けます。私も後世にわたって読み継がれる論文を執筆するとともに、学生への教育を通じて科学の未来に貢献したいと考えています。

苦手だった化学の面白さを大学で知り研究者の道へ

今でこそ有機合成化学の研究者になっている私ですが、高校時代は化学が最も苦手な科目でした。物理が好きだったので理系分野を志したところ、さまざまな事情で大学では化学を学ぶことに。不安を抱えながら進学した私を変えてくれたのが、恩師である木原伸浩教授との出会いでした。木原教授の授業で感銘を受けたのは、覚えることよりも考えることを重視した勉強のプロセスです。教科書や論文には複雑な内容が網羅されていますが、重要なのはそこから必要な情報を自ら見つけ出して役立てることであり、その積み重ねこそが大学での勉強であると教わりました。この教えによって勉強に対する価値観が変わったことで、化学の面白さに目覚めることができたのです。この経験から、大学で教える立場になった現在は、知識よりも考える力を身につけることを重視して学生と向き合っています。

私が主に担当しているのは、有機化学実験の授業です。私自身、大学時代は実験が苦手で、基本的な操作すら失敗してしまう不器用さに苦労していました。だからこそ、学生の気持ちが痛いほど理解できます。そのため、単に操作を覚えるだけでなく、「なぜその操作が必要なのか」を理解しながら実験できるよう、丁寧な授業を心がけています。

学生には専門的で複雑な内容を自分なりに整理し、相手にわかりやすく伝えられる人になってほしいと考えています。それによって、物事の本質を見極める力が身につきます。こうした能力は、研究以外の幅広い場面でも役立てることができるでしょう。また、どんな経験からも学ぶ姿勢を持ち、何事にも楽しみながら取り組むことが大切だと思っています。学生の中には、優れたポテンシャルを持っているにもかかわらず、自分の限界を決めつけてしまう人もいます。しかし、小さな努力の積み重ねによって、将来を大きく変えることは可能です。高校時代は苦手だった化学の面白さを大学で知り、現在は研究の世界に進んでいる私が言うのですから間違いありません。勉強や研究だけでなく、趣味やアルバイト、サークル活動なども含めて、何かに本気で没頭した経験は、その後の人生の大きな財産になります。神奈川大学で得た多くの経験を活かし、社会で活躍していただけたらと思います。

有機化学研究室

「無機」材料のナノ空間から、新しい「有機」分子変換を生み出す

安価な固体触媒や多孔質材料を利用して、より簡単・安全・省エネルギーな有機合成法の開発を目指しています。従来は不安定で取り扱いが難しかった化合物を効率よく合成する手法や、精製操作を大幅に簡略化できる反応プロセスの開発に取り組んでいます。また、ゼオライトやアルミナなどの多孔質材料の中で分子がどのように吸着し、反応するのかを実験と計算化学の両面から解明しています。複雑に見える化学現象をできるだけシンプルに理解し、新しい反応や材料の創出につなげることを目指しています。研究で良い結果が得られたときには、その喜びを教員・学生の垣根なく分かち合いながら、交流を深めることも研究室の楽しみの一つです。

Photos

  • 固体酸触媒です。見た目はどれも同じような白い粉末ですが、化学構造のわずかな違いによって驚くほど触媒活性が変化します。目には見えないナノレベルの構造が反応を大きく左右するところに、化学の面白さを感じています

  • 学生時代に製作した自作の電気炉です。ステンレス製の金属筒に秋葉原で購入した電熱線を巻き付け、セメントで固めて作りました。研究では既製品の装置を使うことも大切ですが、自分で設計・製作した世界にひとつだけの装置で新しい研究に挑戦することも大きな魅力です

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