Sugo Noriyuki
菅生 紀之 教授
Profile
出身地/横浜市
趣味/ルアーでの鱒釣り
好きな音楽/ジャズ(ビル・エヴァンス、ロバート・グラスパー)
時代を意識しながら、努力を通じて個性を獲得してほしいです。
脳はどのような仕組みで、どう形づくられていくのか
私たちの心は、脳にある。そう考えている人は多いと思いますが、その脳もほかの臓器と同様にひとつの受精卵から形成されています。しかし、同じ遺伝情報を持つ一卵性双生児であっても異なる個性を獲得しているように、環境によって柔軟に変化していく部分もあるわけです。では、ヒトの脳はどのようにつくられていくのか。また、同じ遺伝情報を持つ細胞のなかで、どの部品をどのように使うことで神経や筋肉ではなく脳の細胞になっていくのか。私たちの研究室では、脳において「どの遺伝子を、いつ、どこで働かせるか」を調節する仕組みを研究しています。
脳についてはまだまだ解明されていない部分が多いのですが、研究の積み重ねや技術の発達によって、この20〜30年の間にかなり理解が進んでいます。その要因のひとつが遺伝子を組み換えたマウスの活用です。私たちも遺伝子組換えマウスや最新の解析技術を使って、脳の発生・発達を支える仕組みを明らかにするとともに、脳の病気などに関わる遺伝情報の変異形成のメカニズムについても研究しています。
がんが遺伝子の病気であることをなんとなく知っている方も多いと思いますが、脳の病気も同じようなことが原因なのではないかと、最近になってわかりはじめています。精神疾患など脳の病気には、発生・発達の過程で生じる遺伝子の変異が関与している可能性もあるわけです。私たちが取り組んでいるのはあくまで基礎研究ですが、遺伝子と脳の形成のつながりがわかっていけば、脳の病気に対する向き合い方も変わっていくかもしれません。
神経生物学が花開く、時代の風を体感
私がまだ学生だった2000年ごろ、ヒトの遺伝子配列の解読が終わり、マウスの遺伝子を組み換える技術も確立していきました。遺伝情報を調べる手段として、哺乳類を活用できるようになったのは大きな進歩です。同時に、インターネットが普及し、コンピュータによる情報処理技術も格段に進化しました。神経生物学が花開いたのも、そういった背景からです。私はドラスティックな変革期に立ち会えたことに面白さや魅力を感じたのだと思います。今のAIブームに近い感覚かもしれません。一方で、まだまだ脳についてはわかっていないことも多く、その点も私にとっては魅力でした。
サイエンスはすべてひとりで完結するようなものではありません。研究室の仲間、学生の皆さん、さらには世界中の人と一緒に難題に取り組んでいるわけです。ただ、その在り方は時代とともに変わり、現在では科学誌に掲載される前に最先端の論文が公開され、議論が起こるような状況にもなりつつあります。そこで研究者として新しいものを生み出すためには、オリジナリティが必要です。AIのようにみんなが同じ考えだったらつまらないじゃないですか。
オリジナリティのある研究者になるには、努力も必要です。スポーツのように基礎的なトレーニングを積み重ねないことには、その先の面白さは見えてきません。だから、学生の皆さんには、面白いと思ったことがあれば五感をフル稼働させ、がんばって取り組んでみてほしいです。私が授業で教えることは学問のイントロダクションのようなものになりますが、皆さんがそこから自分がやりたいこと、知りたいことを見つけるための入口にしたいと思っています。そのためにも、私の専門分野である神経や遺伝子の話もするなど、入門的でありながら、自分の個性も活かした授業にしていくつもりです。
ゲノム神経生物学研究室
ゲノムから脳のしくみを読み解く
私たちの研究室では、脳を育み支える仕組みを、「いつ、どこで、どの遺伝子を働かせるかをコントロールすること」として捉えています。遺伝子組換えマウスや分子イメージング技術、最先端のシーケンス技術を用いて、ゲノムやエピゲノムを制御する分子メカニズムの解明を目指しています。さらに、脳の病気や老化の背景にはゲノムの変化が関わっていると考えられることから、遺伝情報を守る仕組み(DNA修復)についても研究しています。
研究室は、学生の皆さんが研究の主役として活躍して、世界中の研究者と切磋琢磨できる場です。部活動にも似ているところがあると思います。トレーニングも必要であったり、大変なこともありますが、楽しい場にしたいと思います。
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