神奈川大学エコキャンパスへの取組み

1.省エネルギー推進委員会

2010年4月に「エネルギーの使用の合理化に関する法律」(以下「省エネ法」)が改正され、それまでキャンパスごとに行っていたエネルギー管理(地球環境保全を目的とした省エネルギー対策)について、法人単位でのエネルギー管理が求められたため、2011年4月にエネルギー管理規程を制定し、全学組織として省エネルギー推進委員会を設置しました。
折しも2011年3月11日の東日本大震災により発生した東京電力福島第一原子力発電所の事故により、夏季の東京電力管内の電力供給に不足が生じる事態が想定され、使用最大電力を前年比15%削減することが政府から求められ、大口需要家(契約電力500kW以上)に対しては、電気事業法第27条に基づく電気の使用制限令が発せられ、削減が義務化されました。
省エネルギー推進委員会では、使用最大電力削減のための節電対策を計画し、学内に電力使用停止要請等も行いながら全構成員の協力のもと、期間中一度も規制値を超えることなく、また、夏季期間中のエネルギー原単位を21.2%削減することができました。

2012年度以降は、政府の電力需給対策が数値目標を伴わない節電の要請となったことから、教育研究活動などへの影響を極力回避した無理のない形で無駄の排除を基本とした日常的な省エネルギー対策を進め、「省エネルギー対策基本方針」である基準年度(2009年)比、年平均 1%以上の削減を達成することができました。

2020年度においては、新型コロナウイルス感染症の拡大と政府の緊急事態宣言を重く受け止めて、学生及び教職員等の安全を確保するために、大学構内の立ち入りを禁止するとともに、本年度の前期授業を全て「オンライン授業」を実施しました。後期授業についても新型コロナウイルス感染防止対策を継続しながら、「遠隔授業」による実施を基本とし、特定の学内施設設備を使用する実験や実習の科目(卒業研究含む)および各教育組織(学部・学科等)が「遠隔授業では授業実施が困難と考える」科目で大学が許可した科目については、対面授業での実施とし学生が利用する講堂や実験室等の利用を制限したことで施設使用が減り、エネルギー原単位も大幅に減少しました。また、2020年度12月に、新たなキャンパスとなる「みなとみらいキャンパス」が竣工し運用を開始したため、エネルギー管理体制を見直し、新たな管理部門を設置しエネルギー管理体制の強化を図りました。

また、2021年度はウィズコロナに対応するためキャンパス内の施設に制菌コーティングの実施や感染防止対策に加え、新たに施設の換気機能を強化し、感染防止対策を徹底しながら「面接(対面)授業」の実施に際しては、講堂定員の60%を目途としました。また、情報教室、CALL教室等、施設数が限られるものについては 70%を目途として編成を行いました。なお、教室の密回避定員を超える場合の取り扱いについては、各キャンパスの実情を勘案したうえで、授業を実施しました。それにより建物の稼働率が上がったことでエネルギー原単位も増加しました。なお、新たなキャンパスの「みなとみらいキャンパス」が本格的に運用を開始したしましたが、最新の省エネルギー対策を実施した建物ため法人全体でのエネルギー原単位の増加は抑えられています。

2022年度においては、徹底した感染防止対策のもと、面接(対面)授業を原則としながら、遠隔授業で得た技術・知見を活かしたハイブリッド型授業を科目の特性に応じて採り入れ、効果的な授業を行いながら、SDGsの達成に向け、過去の経験を生かした省エネルギー対策を継続します。日常的な省エネルギー対策、電力使用の平準化を意識した電力使用ピーク時の節電対策を実施し、本来の趣旨である地球環境保全を目的とした省エネルギー対策を一層推進し、政府からの電力需給ひっ迫節電対応要請への対応体制の構築を含む事前の準備に取り組みます。

地球環境問題は人類の生存と繁栄にとって重要な課題であり、大学は人材の育成や課題の解決に重要な役割を担っています。省エネルギー対策のみならず教育・研究においても積極的に推進することが大学の社会的責任であり、神奈川大学の省ネルギー対策の基本としています。

2.エネルギー使用量の推移

1.エネルギー消費原単位

改正省エネ法の施行を受け、神奈川大学省エネルギー推進委員会において省エネルギー対策基本方針を策定し、省エネルギー対策を推進しています。2010年度の異常気象や2011年度の緊急節電対策などの特殊事情もありますが、日常の運用改善や高効率機器への更新で、省エネルギーは確実に進めています。 2020年度の消費原単位の削減状況は、新型コロナウイルス感染症の対策等により基準年度比で30%の削減となっていました。
2021年度は、ウィズコロナに対応するため感染防止対策を徹底しながら「面接(対面)授業」の実施を行い基準年度比で27%の削減となりました。

【省エネルギー対策基本方針】

学校法人神奈川大学は、省エネ法に対応し地球環境の保全に資するため、エネルギー消費原単位※を2009(平成21)年度比、年平均 1%以上の削減に向けて取組むと共に、一層の省エネルギー対策を行います。

「エネルギー消費原単位」
エネルギー使用量を生産数量又は建物床面積その他エネルギー使用量と密接な関係を持つ値で除したもの。 本学では、建物延べ床面積(㎡)を使用しています。

2.電気使用量の推移

2010年度は異常気象に加え建物の増加などもあり電気使用量は増加しましたが、2011年度の緊急節電対策により大幅に削減し、2012度以降は建物の増加や、空調環境改善などで設備容量は増加傾向にありますが新築時の省エネルギー機器の採用及び継続的な設備改修及びや日常的な運用改善により、電力使用量の削減を実現しています。
2021年度は、ウィズコロナに対応するため感染防止対策を徹底しながら「面接(対面)授業」の実施を行った結果、2020年度より増加しましたが、基準年度比で4%の削減となりました。

2020年度 電気の購入先 キャンパス別(購入比率)

  • 横浜キャンパス
    東京電力エネジーパートナー(97.2%)、エネット(2.8%)
  • みなとみらいキャンパス
    東京電力エネジーパートナー(100%)
  • 湘南ひらつかキャンパス
    東京電力エネジーパートナー(100%)
  • 中山キャンパス
    エネット(100%)
  • 横浜キャンパス
    東京電力エネジーパートナー(97.2%)、エネット(2.8%)
  • 富士見高原研修所
    中部電力(100%)
  • 2022年度より購入先を、全施設において東京電力エナジーパートナーに変更しております。

3.ガス使用量

主に空調用熱源及び厨房でガスを使用しています。高効率機器の導入や空調方式の見直しによる設備改修(電気とガスのエネルギーのベストミックス)を進めております。2010年度は異常気象に加え建物の増加などもあり、ガス使用量は増加しましたが、2011年度の緊急節電対策による空調停止で大幅に削減しました。
2012年度以降は、建物の増加や、空調環境改善などで設備容量は増加傾向にありますが、新築時の省エネルギー機器の採用及び継続的な設備改修及び日常的な運用改善により、ガス使用量の削減を実現しています。
2021年度は、ウィズコロナに対応するため感染防止対策を徹底しながら「面接(対面)授業」の実施を行った結果、2020年度より増加しましたが、基準年度比で30%の削減となりました。

4.水使用量

2010年度以降は異常気象に加え建物の増加などもあり、水使用量は増加傾向にあります。今後も水の有効利用と節水型機器の導入を継続し、使用量の削減を推進しています。
2021年度は、ウィズコロナに対応するため感染防止対策を徹底しながら「面接(対面)授業」の実施を行った結果、2020年度より増加しましたが、基準年度比で23%の削減となりました。

3.CO2排出量

地球温暖化対策の推進に関する法律(温対法)に基づき、全私学連合の申し合わせ「環境自主行動計画(第一次)2008~2012年度」を受け、本学においても継続的にCO2排出量の削減に取組んできました。結果、2015年度まで毎年、平成19年度の基準年度を1%以上削減し、2008年度からの排出削減量は2015 年度までの8年間で天然林約8ha相当のCO2を抑制したことになりました。しかし、2016・2017年度は、CO2排出量は基準年度(2007年度)より増加となりました。これは、CO2排出量に大きく起因する電気について全体の約70%の購入先であるJXTGエネルギー㈱のCO2排出係数が大きく悪化したことが原因であったため、2019年度に電気の購入先についてCO2排出係数を含み総合的に見直しを行った結果、CO2排出量は基準年度(2007年度)と同じ排出量となりました。2019年度以降も全私学連合での新たな「環境自主行動計画(第二次)2016~2020年度)」の申し合わせを継続しCO2排出量の削減に取組んでまいりました。2020年度のCO2排出量は、新型コロナウイルス感染症の対策等により基準年度比で54%の削減となっています。
2021年度のCO2排出量の削減の取り込みは、新たに電気の購入先についてCO2排出係数を含み総合的に見直しを行い2021年4月より変更を行いました。また、新たなキャンパスとなる「みなとみらいキャンパス」においては、二酸化炭素を排出しない水力発電による電力を使用します。

2020年度 電気の購入先 購入先別(購入比率)

  • 東京電力エネジーパートナー(90.5%)、エネット(8.7%)、中部電力(0.8%)
CO2実排出係数(t-CO2/Kwh)
CO2実排出係数についての表
平成27年度
(2015年度)
平成28年度
(2016年度)
平成29年度
(2017年度)
平成30年度
(2018年度)
令和1年度
(2019年度)
令和2年度
(2020年度)
令和3年度
(2021年度)
東京電力エナジーパートナー 0.000505 0.000500 0.000486 0.000475 0.000468 0.000457 0.000452
エネット - - - 0.000423 0.000426 0.000391 -
中部電力カミライズ
(中部電力)
0.000486 0.000497 0.000485 0.000476 0.000457 0.000431 -
2017年度までの
購入先
ENEOS
(JXTGエネルギー)
0.000325 0.000513 0.000491 0.000522 0.000503 0.00462 -
出光興産 昭和シェル石油 0.000372 0.000308 0.000302 0.000359 0.000517 0.00406 -
エバーグリーン・マーケティング 0.000316 0.000558
2021年度からの
新たな購入先
Looop 0.000489
東京電力エナジーパートナー
(アクア de パワーかながわ)
0
東京電力エナジーパートナー
(はまっこ電気)
0
  • みなとみらいキャンパスは、神奈川県が保有する11箇所の水力発電所を電源としたCO2を排出しない電力を使用しております。
    2022年度より、「横浜キャンパス」においても、市内の焼却工場のバイオマスや一般家庭の太陽光発電による再エネを活用し、実質CO2を排出しない電力を一部地区で使用します。

みなとみらいキャンパス

横浜キャンパス

「環境自主行動計画(第二次)の目標」
CO2排出量が、2015年度を基点として、2016年度から2020年度の間において、毎年度、前年度比マイナス1%になるよう、教育や研究の内容に応じて削減努力をすることとし、二つ目を公の教育機関である私立学校ならではの環境教育・環境保護に関する研究の促進などを通じ、将来にわたり地球温暖化対策で社会に大きく貢献すること、としている。それら目標を実現し削減のための努力をするとともに、学校の特性に応じて地球温暖化対策に向けた様々な取組みを行う。

4.省エネルギー対策

1.省エネ中長期計画に基づく設備投資による省エネルギー対策

テーブルの短い説明
内容
2020年3月に策定された「学校法人神奈川大学キャンパス新総合計画」(施設改修計画)に基づき、新たにその計画を加味しながら効率的で有効な「省エネ中長期5か年計画(2021年度~2025年度)」をエネルギー管理企画推進者の基にある「省エネルギー推進ワーキンググループ」で立案し、エネルギー管理統括者を議長とする「省エネルギー推進委員会」で「学校法人神奈川大学キャンパス新総合計画」の推進を見据えながら毎年見直しを行い、省エネルギー対策を実施することが決定し2021年度より、設備投資による省エネルギー対策を実施します。

主な、「省エネ中長期5か年計画(2021年度~2025年度)」

  • 照明器具のLED化
  • 高効率冷温水機器への更新
  • 高効率空調機システムへの更新
2021年度
2019年度 省エネルギー対策の表
キャンパス名 建物 内容
横浜キャンパス 15号館(図書館) リニューアル工事
https://www.kanagawa-u.ac.jp/pressrelease/details_23307.html
・照明を高効率機器へ更新(LED化)
・冷温水発生機から高効率空調機器へ改修
17号館 照明を高効率機器へ更新(LED化)第1期
20号館 照明を高効率機器へ更新(LED化)第1期
電力・ガス計測デ-タ中央監視取込み強化(見える化)第5期
中山キャンパス 3号館 照明を高効率機器へ更新(LED化)
空調設備を高効率空冷ヒートポンプパッケ-ジへ更新
2020年度

新型コロナウイルス感染症対策である換気設備の強化等を実施したため、設備投資による省エネルギー対策は行いませんでした。

2019年度
2019年度 省エネルギー対策の表
キャンパス名 建物 内容
横浜キャンパス 1号館 空調設備のガスヒーポンを高効率型に更新 第2期
24号館 リニューアル工事
・照明を高効率機器へ更新(LED化)
・空調設備を高効率空冷パッケージへの更新
2018年度
2018年度 省エネルギー対策の表
キャンパス名 建物 内容
横浜キャンパス 1号館 空調設備のガスヒーポンを高効率型に更新 第1期
7・21号館 空調設備を高効率空冷パッケージへ更新
  電力・ガス計測データ中央監視取込み強化(見える化) 第4期
2017年度
2017年度 省エネルギー対策の表
キャンパス名 建物 内容
横浜キャンパス 22号館 冷温水発生機から高効率ガスヒートポンプチラーへ改修
23号館 空調設備のガスヒーポンを高効率型に更新 第4期
  電力・ガス計測データ中央監視取込み強化(見える化) 第3期
2016年度
2016年度 省エネルギー対策の表
キャンパス名 建物 内容
横浜キャンパス 16号館 建物及びホール照明を高効率機器へ更新(LED化)
23号館 空調設備のガスヒーポンを高効率型に更新 第3期
  電力・ガス計測データ中央監視取込み強化(見える化) 第2期
2015年度
2015年度 省エネルギー対策の表
キャンパス名 建物 内容
横浜キャンパス 23号館 空調設備のガスヒーポンを高効率型に更新 第2期
23号館 外調機のCO2制御導入
  電力・ガス計測データ中央監視取込み強化(見える化) 第1期
2014年度
2014年度 省エネルギー対策の表
キャンパス名 建物 内容
横浜キャンパス 23号館 空調設備のガスヒーポンを高効率型に更新 第1期
19号館 空調設備を高効率空冷パッケージへ更新
箱根研修所   空調設備を高効率空冷パッケージへ改修
2013年度
2013年度 省エネルギー対策の表
キャンパス名 建物 内容
横浜キャンパス 8・9号館 冷温水発生機から高効率ガスヒートポンプチラーへ改修
16号館 空調熱源設備を高効率冷温水機への更新
湘南ひらつかキャンパス 1号館 照明を高効率機器へ更新(LED化)
中山キャンパス 1号館 空調設備を高効率空冷パッケージへ改修 第3期
2012年度
2012年度 省エネルギー対策の表
キャンパス名 建物 内容
横浜キャンパス 7・10号館 冷温水発生機から高効率ガスヒートエアコンへ改修
17号館 太陽光発電システム(80KW)導入
湘南ひらつかキャンパス 3号館 体育館照明を高効率機器へ更新(LED導入)
13号館 太陽光発電システム(24kW)導入
中山キャンパス 1号館 空調設備を高効率空冷パッケージへ改修 第2期
2011年度
2011年度 省エネルギー対策の表
キャンパス名 建物 内容
横浜キャンパス 19号館 空調熱源設備を高効率冷温水機への更新
冷温水・冷却水ポンプへ変流量制御導入
湘南ひらつかキャンパス 1号館 照明を高効率機器へ更新
6号館 空調熱源設備を高効率冷温水機への更新
中山キャンパス 1・3号館 照明を高効率機器へ更新
2010年度
2010年度 省エネルギー対策の表
キャンパス名 建物 内容
横浜キャンパス 20号館 照明を高効率機器へ更新
湘南ひらつかキャンパス 全館 BEMS(ビルマネ-ジメントスシテム)導入
4号館 照明を高効率機器へ更新
中山キャンパス 1号館 空調設備を高効率空冷パッケージへ改修 第1期
2号館 体育館照明を高効率機器へ更新

2.運用改善による省エネルギー対策

日常的に行う省エネルギー対策 その1(各部署が個別に実施する項目)
  1. 照明の間引き点灯・取り外し及び昼休み時・未使用エリアの消灯
  2. OA機器の省エネモード設定の徹底及び未使用時の電源オフ
    ※重点取り組みとして、離席するときには、PCモニターの電源を切る。
  3. 室温28℃(冷房)20℃(暖房)を目安とした空調温度設定
  4. 扇風機・ブラインド等の有効利用
  5. 階段利用(2up 3down)によるエレベータの使用自粛
日常的に行う省エネルギー対策 その2(大学全体として取り組む項目)
  1. 共用部の間引き点灯・一部取外し
  2. 神奈川大学エネルギー管理標準に基づく設備機器の適正な維持管理
  3. 授業講堂以外のエアコンの省エネモード運転
  4. ウォシュレット便座の保温のみ停止
  5. 入居テナント・業務委託業者への節電要請
平日の電力使用ピーク時(11:00~15:00)に行う省エネルギー対策
  • 大型実験・研究装置の使用を控える
  • 大容量の事務用機器及び電化製品の使用を控える
電力需給ひっ迫警報発令時の節電対策
  • 事務用機器及び冷蔵庫・電子レンジ・電気ポット等電化製品の使用自粛
  • 神奈川大学エネルギー管理標準に基づく設備機器の適正な維持管理
  • エレベータの間引き運転
  • 照明の追加消灯・空調の一時停止その他授業に支障のない範囲での一層の節電

3.横浜キャンパス3号館建設での省エネルギー対策

  • 太陽光発電システムの採用
  • 雨水・中水を便所洗浄水として採用
  • 自然な空気の流れを利用した換気設備の採用
  • 断熱効果の高いLow-eガラスの採用
  • 地中熱とクールピットを利用した外調機の採用
  • ビルエネルギーマネジメントシステム(BEMS)の採用
  • 全館にLED照明を採用
  • 太陽光発電量の見える化
  • 節水型の便器の採用
  • 自家発電機能付き空調機の採用

4.みなとみらいキャンパスでの省エネルギー対策

2020年竣工した、みなとみらいキャンパスは環境に優しい省エネルギーなエコキャンパスを目指します。
具体的な取組内容は以下のとおりです。

(1)「横浜市建築物環境配慮制度」に基づいたエコキャンパスの構築

みなとみらいキャンパスは「横浜市建築物環境配慮制度」に基づき、建築物の建設から供用後に至るまでの長期に渡り、建築物が環境に与える負荷を低減するため、エコキャンパスの構築に取り組みます。
以下に挙げる様々な取り組みにより、「省エネルギー」と「CO2排出量の削減」を実現し、建築物総合環境性能評価システム(CASBEE横浜)においてはAランクを取得しました。

(2)地域熱供給システムに参画し、地域全体でのエネルギー効率向上に貢献

みなとみらい21地区全体で地域熱供給システムが構築されていることから、みなとみらいキャンパスにおいても「横浜みなとみらい熱供給(株)」から空調用の熱源として冷温水の供給を受けています。地区全体で共用する大容量かつ高効率な機器で生産された冷温水を使用することで、キャンパス建物内に熱源装置を設置する必要が無くなり、環境負荷の低減およびスペース効率の向上に寄与しています。

(3)二酸化炭素を排出しない水力発電による電力の使用

みなとみらいキャンパスで使用する全ての電力は、神奈川県企業庁、神奈川県環境農政局及び東京電力エナジーパートナー(株)が推進する「アクアdeパワーかながわ」のスキームによる電力を購入しています。
神奈川県内の水力発電によりつくられた電力を使用することで、電力の地産地消、再生可能エネルギーの活用。二酸化炭素排出量の抑制を図り、SDGsの推進にも寄与しています。

(4)生ごみ処理機の導入による廃棄物削減と食品ロスの低減の取り組み

キャンパス内の学生食堂等で発生する生ごみは、キャンパス内に設置した生ごみ処理機で微生物による分解を行うことで廃棄物を発生させない仕組みを導入しています。
また、キャンパス内の学生食堂やレストランではレシピや調理工程、盛り付けの量等を工夫することで食品ロスの低減にも取り組んでいます。

(5)再生素材や間伐材を使用した机や椅子の採用

キャンパス内の家具・什器は、利用用途や設置場所の特性にあわせ、再生素材や間伐材等を部材に使用した環境配慮製品や、長期間の使用に耐えられる高品質かつメンテナンス性に優れた製品を積極的に採用しています。

(6)農業体験を通じたコミュニティの創出、四季を表現する植栽

空の広さや潮風を感じることができる屋外テラスを活かし、みなとみらい地区初となるホップの栽培プロジェクトに取り組んでいます。
ホップ栽培による屋上緑化は、一般社団法人みなとみらい21「MM地区ビジネスエコシステム形成プログラム実行委員会」が実施する「MINATO MIRAI 21 Activation Program」と協同し、ヒートアイランド現象の軽減や農業体験の創出などを目的に、気候変動の具体的な対策や住み続けられるまちづくりなど、学生や地域住民が参画し、地域コミュニティの接点創出などに寄与する取り組みを計画しています。

5.太陽光発電システムによる発電量

省エネルギー推進に加え、太陽光による創エネを積極的に推進しています。
発電量の実績は次のとおりとなります。

太陽光発電システムによる発電量についての表
年度 横浜キャンパス みなとみらい
キャンパス
湘南ひらつか
キャンパス
合計
3号館 17号館   13号館
2013年度 1,817 96,680   32,390 130,887
2014年度 23,512 102,321   31,459 157,292
2015年度 20,787 88,950   30,932 140,669
2016年度 21,724 93,489   30,297 145,510
2017年度 22,828 98,444   31,846 153,118
2018年度 22,496 97,922   30,008 150,426
2019年度 21,798 93,348   28,814 143,960
2020年度 21,325 93,772   29,923 145,021
2021年度 21,064 92,608 11,390 27,922 152,984

2021年度の太陽光発電量は、一般的な住宅の40世帯の発電をしています。

・根拠

1世帯当たりの平均消費電力 3,600kWh(300kWh/月)
152,984kWh / 3,600kWh =42.5世帯

5.環境汚染防止対策

1.一般・産業廃棄物管理

廃棄物の処理は、「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」に基づき、自らの責任により適正に処理することが必要です。併せて、廃棄物による環境破壊が地球的規模で発生しており、資源の循環と廃棄物の減量化・資源化が求められています。
横浜キャンパスにおいては、横浜市より一般廃棄物収集運搬優良事業者認定を受けている㈱ダイトーフジテックに廃棄物処理を委託しており、2021年度の廃棄物発生量は、一般廃棄物 159.1t、産業廃棄物 151.2tの、合計 310.3tとなり、リサイクル率は 97.7%となりました。
キャンパス構内では、日常ごみについて4種の分別ボックスを設置し、「燃えるごみ」「びん・缶・ペットボトル」「プラごみ」「紙ごみ」の分別を全構成員に対し協力を求めています。また、粗大ごみ等の大型ごみについても、金属ごみを日頃から分別収集することや、ダンボールや梱包材の混入を抑え古紙として分別廃棄することなど、リサイクルへの意識向上とコストダウンに努めています。

みなとみらいキャンパスの廃棄物発生量 一般廃棄物 19.7t 産業廃棄物 1.2t
湘南ひらつかキャンパスの廃棄物発生量 一般廃棄物 56.0t 産業廃棄物 86.9t
中山キャンパスの廃棄物発生量 一般廃棄物 20.3t 産業廃棄物 5.5t

※リサイクル率
廃棄物は、日常の生活で生じるものと不定期で発生する2つに分かれます。どちらの廃棄物も大半は固形物としてプラスチックや道路の路盤材としてリサイクルするマテリアルリサイクル、焼却処分をする際に熱を利用し発電するサーマルリサイクルとしてリサイクルされます。排出した廃棄物に対し、どれだけリサイクルが出来たのかを表すのがリサイクル率です。

・廃棄物発生量
廃棄物発生量 平成24年度の表
キャンパス名 一般廃棄物 産業廃棄物
横浜キャンパス 159.1t 151.2t
みなとみらいキャンパス 19.7t 1.2t
湘南ひらつかキャンパス 56.0t 86.9t
中山キャンパス 20.3t 5.5t

2.実験系廃棄物管理

近年における廃棄物の増大、多種・多様化により、最終処分場等の確保が困難となり、不法投棄等の不適正処理など様々な問題が生じています。これに対し、環境に多大な影響を与える産業廃棄物を排出する事業者には、事業活動を行うにあたり減量化及び資源化に努めるとともに、法に基づき廃棄物を自らの責任において適正処理しなければなりません。
本学においては教育・研究活動で排出される実験系廃棄物を、無機系廃液・有機系廃液・固体廃棄物をそれぞれ産業廃棄物・特別産業廃棄物分類に従い適正に分別収集を行っています。収集された廃棄物は、産業廃棄物処理業者のアサヒプリテック㈱に処理を委託し、廃棄物の流れをマニフェストにより適正処理されているか確認し、常に実態を把握しています。処理困難物が多い実験系の廃棄物ですが、可能な限りの資源化を前提に、委託業者と随時協議を行ないリサイクル率の向上に努めています。

3.化学物質管理

化学物質による地球規模の環境問題が深刻な社会問題となり、大学での教育・研究で使用する試薬等の適正管理が社会的要請となっていることから、化学物質の購入・使用・廃棄を一元管理し、有害物質の安全管理と使用量を削減するため、2012年4月に薬品管理システムを導入し、常に薬品量の管理を行っていいます。それにより、消防法への対応、毒物及び劇物取締法による使用・保管・廃棄の管理、PRTR法による排出量及び移動量の報告、労働安全衛生法による研究室での安全管理、毒物・劇物を用いた犯罪の防止等に活用しています。

4.排水

化学物質等による水質汚濁が深刻な環境問題となり、大学での教育・研究で使用する試薬等を利用する施設は、下水道法や水質汚濁法などで適正管理が求められています。横浜キャンパスでは、下水道法及び横浜市下水道条例で汚水処理施設(除外施設)の設置が定められており、下水道に流す水質基準に基づき、適正に施設管理を行って排水しています。また、下水道法及び横浜市下水道条例で義務付けられている設備の改修、増・廃止時には適正に届出を行い、横浜市の審査を受けてから改修等を実施しています。
湘南ひらつかキャンパスは公共の下水道が整備されていないため、大学独自で処理施設を設置・運用しており、汚水処理はもちろんのこと化学物質についても、処理施設で排水環境基準になるように処理を行い河川に放流しています。

5.その他

変圧器や照明器具の電気設備で使用していたポリ塩化ビフェニル廃棄物について環境省の指針に基づき、2016年度に低濃度ポリ塩化ビフェニル廃棄物の処分を完了し、2017年度は高濃度ポリ塩化ビフェニル廃棄物のうち、大型コンデンサの処分を終えました。残る安定器等・汚染物についても、既に処分機関である、中間貯蔵・環境安全事業株式会社(JESCO)への荷姿登録・特別登録を完了しており、2019年度を目途に、全てのポリ塩化ビフェニル廃棄物の処分を完了させる計画でしたが、処分機関の受入待ちの状況が続いており、引続き学内で継続保管しています。
また、研究・実験機器で使用していた微量の核燃料は、容易に立ち入ることが出来ないように、文部科学省の指針に基づき厳重な保管場所で管理を行っています。

6.環境保護、生物多様性および自然生息地の回復

湘南ひらつかキャンパスでは、平塚市との開発時のみどりの協定により、植栽の維持管理を適切に行い大気汚染等の公害や病虫害に対し抵抗性の高い樹木を育成し、緑豊かなキャンパスの保全に心がけています。
キャンパス開発時に「復元湿地」として整備した谷戸は、近年再整備を行い、ビオトープとして生まれ変わりました。細くとも途切れのない水流と池を囲み、地域に合った植物を植えたことで、現在では多くの水棲動物や昆虫がビオトープ周辺に生息し始めています。特に理学部学生や近隣小学校の子どもたちがホタルを棲むことができる環境をつくることを目標に活動し、初夏にはビオトープ周辺で生まれたホタルが舞い始めています。
2014年度から豊かな自然を持つキャンパスの特性を活かし共通教養科目「自然の体験学習」を開講しました。この科目は座学だけでなく野外での観察・体験を通して、従来の里山がどのように維持されてきたかを体得するとともに、今後、自然との共生がどのように有るべきかを考える素養を身に付けることを目的とし、動・植物や湿地、里山をテーマに数多くの自然観察や体験学習が行われています。
また、平塚市民・大学交流委員会環境推進部会を事業主体とする「里地里山再生プロジェクト」に、本学は2004年より継続的に参画しています(※)。キャンパス近くの谷戸田を会場に、田植えから収穫まで年3回の活動を通じて、学生が里山の豊かな自然を体感できる機会となっています。
(※ただし、新型コロナウイルス感染症の影響により2021年度は6月時点まで本学は不参加。)

7.その他

1.省エネ法に基づく報告

本学は省エネ法より特定事業者に指定されており、各事業所のエネルギー使用量をまとめた定期報告書と省エネルギー施策の中長期計画書を文部科学省及び、経済産業省へ報告していています。また、横浜キャンパスは第1種エネルギー管理指定工場、湘南ひらつかキャンパスは第2種エネルギー管理指定工場の対象となっており、事業所単位で管理標準の作成やエネルギー使用状況を報告しています。
2015年1月23日、横浜キャンパスに文部科学省の「エネルギー管理指定工場等の実施調査」が行われました。実施調査の結果、判断の基準の厳守状況の評価点が「80点以上」で、「特段の処置の必要なし」の評価でした。また、省エネルギー推進体制についても事業所トップの省エネルギー推進に関する強い意志、指導があると高評価を頂きました。
また、2015年より開始された 事業者クラス分け評価制度※2018度報告で「Sクラス(省エネが優秀な事業所)」の評価を頂きました。
※事業者クラス分け評価制度は、総合資源エネルギー調査会省エネルギー小委員会の取りまとめ(2015年8月28日)に沿って、省エネ優良事業者を公表することで事業者に自らの省エネ取組状況の客観的な認識を促すことを目的として実施しているもので、省エネ法の定期報告を提出している全の事業者をS・A・B・Cの4段階へクラス分けし、クラスに応じたメリハリのある対応を実施するもの。

2.神奈川県地球温暖化対策推進条例に基づく報告

対象事業所:湘南ひらつかキャンパス
事業活動温暖化対策計画書及び結果報告書を神奈川県へ提出しています。
2014年3月12日、湘南ひらつかキャンパスに神奈川県より報告に対する現地確認が行われました。エネルギー使用量の分析・評価の好評を頂き、さらなる省エネ推進を要望されました。

3.横浜市生活環境の保全等に関する条例に基づく報告

対象事業所: 横浜キャンパス、みなとみらいキャンパス、中山キャンパス
地球温暖化対策計画書及び地球温暖化対策実施状況報告書を横浜市へ提出しています。
2013年12月20日、横浜キャンパスに横浜市より計画及び報告に対する立入調査がありました。意見交換や現地確認を行い、報告書以上に実際の管理状況が良いとの評価を受け、さらなる省エネ推進を要望されました。
2016年度に提出しました地球温暖化対策実施状況報告書について、2017年5月10日付けでおおむね『評価 A』であるとの結果通知を頂きました。
また、2017年度に提出しました地球温暖化対策実施状況報告書で「目標対策及び事業者の発意による対策の実施状況」の取組が特に優良であると認めら、条例に基づく「ヨコハマ温暖化対策賞」の表彰を、2018年6月14日に受けました。

表彰を受けました「目標対策及び事業者の発意による対策の実施状況」の取組は、次のとおりです。

4.再エネ電気メニュー「はまっこ電気」の導入について

持続可能な世界を実現するため様々な側面から施策を推進する本学では、脱炭素社会の実 現に向けたエコキャンパス推進の取り組みの一環として、東京電力エナジーパートナー株式会社の再エネ電気メニュー「はまっこ電気」の導入を決定しました。
2022年3月より「栗田谷アカデメイア」の導入となったほか、4月からは横浜キャンパスの一部地区でも導入しております。

https://www.kanagawa-u.ac.jp/news/details_23286.html