Hirayama Noboru

平山 昇 准教授

所属
国際日本学部
国際文化交流学科
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専門分野

日本近現代史、観光史

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Profile

出身地/長崎県
子供の頃の夢/祖父のような警察官
尊敬する人/家族みんな
愛読書/『MASTERキートン』 大学教員になれる自信も見込みもなかった時期に、いつでもどこでも学問はできるという希望を与えてくれた本です。
趣味/クラリネット(オーケストラ、室内楽)、バリトン(合唱)、飲み会、船に乗ること(とある液体を片手に・・・)
休日の過ごし方/家族と散歩するのが大好きです。
好きな音楽/クラシック音楽(イギリスの知られざる作曲家Gerald Finziをこよなく愛しています)、歌謡曲(山口百恵、中森明菜、美空ひばり、井上陽水、村下孝蔵など)。
好きなTV番組/『吉田類の酒場放浪記』、太川陽介さんが出演するバス旅番組
好きな映画/『風の谷のナウシカ』(原作はもっと好き)、『天空の城ラピュタ』、『魔女の宅急便』
好きな著名人/タモリ、マツコ・デラックス、山口百恵、中森明菜、Nikolaus Harnoncourt(指揮者)
好きな食べ物/ビールと日本酒に合う食べ物すべて!

身の回りの「当たり前」を歴史学の視点から見つめ直すことで新鮮な「発見」が生まれる。

「初詣」の慣習が定着したのは明治5年の鉄道開通がきっかけ

私の専門は歴史学(日本近現代史)で、具体的には「初詣」の歴史をテーマとして研究してきました。初詣といえば、正月三が日に大きな神社やお寺に出かけてお参りをする行事のこと。皆さんも経験したことがあるかもしれませんが、この習慣はいつから生まれたと思いますか? 古くから続く伝統かと思いきや、実は明治時代の中頃から形成されてきた比較的新しい文化なんです。お正月参り自体は江戸時代にも行われていましたが、信仰に基づいて「いつ・どこに」お参りするという細かいルールがありました。元日にその年の恵方にある神社仏閣を参拝する「恵方参り」が一例です。恵方は5年周期で方角が変わるので、毎年訪れる場所が変わるということになります。

それが現在の初詣の形になった明確なきっかけは、明治5年に鉄道が開通したことにあります。新橋・横浜間に日本初の鉄道ができると、その途中に「川崎停車場」がつくられ、すぐ近くには「川崎大師」という有名なお寺がありました。当時は汽車に乗ること自体が最先端のアトラクションであり、東京から郊外にトリップするのは非日常的な体験です。さらにお寺に行けばご利益が授かれるということで、「汽車」「旅」「ご利益」というトリプルのメリットによって川崎大師への正月参りが流行しました。そこから鉄道の拡張や新聞などのメディアの影響によって全国に広がり、定着していったものなんです。

私たちの身の回りにある「知っているつもり」のものにも、歴史学の視点から見つめ直すことによっていくつもの新鮮な「発見」が生まれます。私の講義では、初詣以外にも「甲子園野球」や「修学旅行」、「タバコ」など、学生が興味のあるテーマを設定して歴史を解き明かします。学期末のレポート課題では、明治〜昭和時代の新聞記事を図書館のデータベースで探し、それをもとにオリジナルの発見に辿り着いてもらいます。「歴史は暗記科目だから苦手!」と思っている方も、安心してください。「歴史=暗記」というのは大学受験までのこと。本当の歴史学の面白さは、「いま」を離れることによって、身の回りの「当たり前」を疑うことなのです!

学生同士の会話から、自分の中の「当たり前」を壊してほしい

私の授業で大いに重視しているのは、学生同士の相互交流です。授業時間のほとんどは学生同士の「対話」で構成されます。単位をとるのが楽な授業でないことは先に言っておきますが……(笑) 一般的な授業では私語をしていると注意されると思いますが、私の授業では「沈黙禁止」の時間を設け、黙っていたら注意しにいきます(笑) 最初はみんな恥ずかしがっていますが、その壁を取り払ってあげるとびっくりするくらい楽しそうに話すんです。

私見ですが、大学において教員の指導力なんて大したものではなく、学生同士の会話から学ぶことや影響を受けることの方が圧倒的に多いです。同じ大学で同じ授業を受けていても、そこには多種多様な考え方や経験が無限大にある。こういう機会がなければ大学の中ですれ違うだけの関係でも、実際に会話をする中で「神大の学生はこんなに面白いんだ!」とお互いのポテンシャルに気づくのです。

そして私の授業は、単位互換制度によって他大学の学生にも開放しているので、神大以外のいろいろな大学の学生とも交流することができます(2022年度は、横浜市立大学、國學院大學、さらには高大連携プログラムで横浜市内の高校生も受講していました)。留学生も大歓迎で、レポート課題の選択肢には「留学生と非留学生の共同制作レポート」というものもあります。こうした授業内容と学生同士の交流の相乗効果によって、自分の中の「いま・ここの当たり前」を壊すことをとことん楽しんでもらいたいと思っています。

平山昇ゼミナール

観光史研究

このゼミでは観光を題材として「歴史研究」を行います。歴史の前提知識は一切不要! 知らないことは調べればいいだけです。知識を覚えることが目的ではなく、過去へさかのぼることで「いま・ここ」の自分目線の「当たり前」を自らの手で突き崩していくのが歴史研究の醍醐味です。 過去の史料を探して読むだけでなく、それをふまえながら現代を考察するためのフィールドワークやインタビューも行います。ゼミ合宿もやります。他のゼミ(学内・学外)やゲスト講師(歴史関係とは限らない)を招いた特別ゼミも行います。 写真は、2022年11月に〝ハマのドン〟の異名がある横浜港の重鎮、藤木幸夫氏と対談した際のもの。何より嬉しく誇らしかったのは、教員の私がお膳立てしたのではなく、ゼミ生自身が自主的に熱意をもって行動したことでこの機会が実現したということです。教育の唯一にして最高の目標は「自立」だと私は考えています。

Photos

  • クラリネット。高校生の一時期は音大を目指すことも考えたほど吹奏楽でクラリネットに没頭しました。結局プロになれるほどの力量ではないとあきらめましたが、アマチュアとして思い切り楽しんでいます。大学で知り合った妻と結婚できたのも、クラリネットのおかげです。今でも忙しい日々の合間を縫って演奏活動をしています

  • 錫(すず)でつくられた御猪口。かつて教えていた九州産業大学(福岡市)のゼミ生たちが卒業するときにプレゼントしてくれました。今でも、自宅で日本酒や焼酎を飲むときは、この御猪口を愛用しています

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