Oshima Kimie

大島 希巳江 教授

所属
国際日本学部
国際文化交流学科
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専門分野

異文化コミュニケーション論、社会言語学、ユーモア学

キーワード

Profile

生年/1970年
出身地/東京都
子供の頃の夢/作家、獣医、武道家(ジャッキー・チェン大好き!)
趣味/スポーツ(テニス、少林寺拳法、スキューバダイビング)
休日の過ごし方/ぼーっとしたいと思っている(クリエイティブな発想には、ぼーっとする時間が欠かせない)
好きな映画/「Life Is Beautiful」
好きな食べ物/蕎麦、ラーメン、パスタ、フォーなど麺類なら何でも

きれいな発音で流暢に英語を話すことより、日本人らしい英語で自分を表現することのほうが大切です。

国際人に求められるのは、自分らしい英語で自分の文化を話す力

「英語は正確に、滞りなく流暢に」とか「ネイティブみたいなきれいな発音で、文法を間違えないように」なんて思っていませんか? 真面目で優秀な学生ほど、そう思うようですが、はっきり言いましょう。世界の人は日本人に美しい英語で話してもらいたいとは思っていません。それよりも日本人らしい英語で、日本文化や自分自身のことをきちんと表現したり説明したりできることのほうが望まれていますし、大切だと考えられています。グローバルとは、一種類の英語を話すことや一種類の人間になろうということではなく、多様な人間を認め合おうということ。だから自分のアイデンティティをもっていて、話す英語や文化背景に自分らしさがあることのほうが、ずっと大切なのです。
そういう意味では、自国の文化を知っているということは、国際人にとって欠かせない素養です。英語の上手い下手より、日本文化について外国人に質問されたときに答えられないことのほうが、ずっとがっかりされるんですよ。「相撲力士の平均体重ってどのくらい?」「なぜ歌舞伎は男性しかできないの?」。これは私がアメリカに留学していたとき、実際に質問されたことですが、皆さんは答えられますか? 私は答えられなくて、相手をがっかりさせてしまいました。日本にいると、そんなこと気にもしませんよね。それは日本をいつも国内から見ているだけで、世界から見ていないからです。外国語を話せる日本人は、外国に詳しいと思われがちですが、実際にはそれ以上に日本文化のことをよく知っていて、説明できます。何度も質問され、答える機会が多いからです。そういう“日本力”みたいなものが、国際的に活躍するには欠かせません。もちろん、それを説明できるだけの基本的な英語力が必要ですけどね。授業ではそういうことを学生に伝えるようにしています。

ユーモアがあれば、異文化の壁も職場の難題も乗り越えられる

研究では、異文化コミュニケーションやそれにおけるユーモアの役割などをテーマにしています。たとえばアメリカの大統領は、必ずスピーチにジョークをはさみますよね。移民の多いアメリカでは、文化背景の違う人たちとコミュニケーションをとることは日常ですから、スピーチにジョークを入れるなど、技術としてユーモアを用いているのです。そうすることで、聞き手の集中力や聞くモチベーションがキープできるからです。また、身近なところでは、授業も異文化コミュニケーションだといえます。学生と先生は年齢も違えば文化も違うし、もっている知識量が違います。そういう異文化間では、先生が教えたいことを一方的に伝えるのではなく、それにまつわる面白いエピソードやジョークを絡めて話してあげたほうが、学生は面白がって集中できるので、結果的にすんなり先生の伝えたいことが届くようになるわけです。そんなふうにユーモアは、聞き手の立場を考えて工夫する、思いやりだといえます。
また、ここ数年は、職場やビジネスに活用するユーモアも研究対象にしています。そもそもユーモアの定義とは、簡単にいえば“社会常識からの逸脱”です。最近はそれをビジネス現場で用いることで、営業成績やチームワークを良くしたり、難題を解決したりすることが注目されています。たとえば、サンフランシスコの警察署では、夫婦ゲンカの通報があると、警官一人とピンクのウサギ一匹で出動します。実はこのウサギ、警官が着ぐるみを着ているんです。これまで警官が夫婦ゲンカの現場を訪れると、夫婦はひどく興奮しているため、警官に包丁が投げられるなど危険が大きかったのですが、一人と一匹で出動するようになると、百発百中でケンカが止まりました。「警察です」と言いながらピンクのウサギが突入してくると、「なんでウサギ!?」となりますよね。それが“社会常識からの逸脱”です。そういうユーモラスな状況によって、攻撃性が取り除かれたのです。人は笑っているとき、誰かを攻撃できませんからね。
あるいは、窓口職員同士の仲がものすごく悪い銀行で、ユーモアがその人間関係を解決した事例もあります。窓口の女性職員たちは、とにかく仲が悪くて、自分のところに厄介な顧客が来たら、嫌いな同僚の窓口へ行くように差し向けるなど、意地悪をしあっていました。そこで金曜の閉店後、自分が今週どれだけ厄介な顧客を相手にしたかを発表し合い、一番ひどいと思われる顧客を担当した人にシャンパンが贈呈される「週間最低顧客コンテスト」を開催するというユーモラスな解決策を試みたのです。要は、皆でひどい顧客の悪口を言い合ったんですね。すると「その客、知ってる!」とか「あなたに比べたら私はマシね」という共感や同情が生まれ、わずか5週間でコンテストは終了しました。皆でストレスを共有したことで、仲間意識が芽生えて窓口サービスが向上し、嫌いな顧客がいなくなったからです。こんなふうにビジネス現場でも、ユーモラスなアイデアは前向きに問題を解決する力を発揮するのです。

大学に通えるというラッキーな境遇を有効に使おう!

大学で四年間を過ごせるというのは、すごくラッキーなことです。“School”という英単語の語源が、ラテン語の“遊び”であるように、大学自体、半分は遊びの場です。働いていないのだから、当然ですよね。学校へ行く余裕がない人は、仕事をして働いているのですから。ですから学生の皆さんには、大学で過ごせるこのラッキーな四年間を有効に使って、得られるものは120%吸収してほしいなと思っています。

Photos

  • 卒業生からもらった手描きの似顔絵付きマトリョーシカ。中のマトリョーシカには、学生たちの似顔絵も描かれている

  • 日本のユーモアを海外に紹介しようと始めた英語落語は、今やライフワーク。2008年には英語落語の指導で関わりのある落語家・立川志の輔さんとの対談集『英語落語で世界を笑わす!』(研究社)を出版

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