Hara Yoshie

原 良枝 特任教授

所属
国際日本学部
国際文化交流学科
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専門分野

比較文化・比較基層文化論、朗読学(音声読書論)

キーワード

Profile

アナウンサーとして、長年放送メディアを通して生きている言葉と格闘してきました。それを踏まえ、朗読(音声読書)という話法、読法に見られる日本語の音声言語表現から、日本の基層文化を考える研究をしています。

出身地/横浜市
家族構成/夫・娘
子供の頃の夢/作家
愛読書/マルクス・アウレリウス『自省録』
休日の過ごし方/海外ドラマを観まくる

「伝える力」がもたらす円滑なコミュニケーション(会話・対話)で 良き人生を送る。

豊かな言語生活から人生を拓く

言葉、特に話し言葉のありようを研究しています。コミュニケーションの基盤となる「話すこと」、「読むこと」、「聞くこと」、「書くこと」は連動しています。話し方や言葉の選び方を意識して、豊かな言語生活を送るには何が必要なのかについて「朗読」という読法から、話芸の歴史などをひもときながら考察しています。
私たちは日々、言葉を使ってコミュニケーションを取っていますが、皆さん思い返してみてください。これまで国語の授業で、「声についての授業」や「話し言葉教育」を受けてきましたか?演劇部や放送部の方を除いてはほとんど受けてきていないと思います。「国語」の授業という性格上これは仕方ないことです。しかし、話し言葉の重要な要素としての「声」にはたくさんの情報が詰まっています。この点を理解できれば、スピーチやプレゼンテーションに自信を持って臨むことができるようになるはずです。
私はアナウンサーとして、話し言葉がもつ力や影響力を実感し続けてきました。「言葉は人格そのもの」です。考え方や心情が現れます。話し手がどれだけ想像力を持って相手に向かっているのか、聞き手として私たちは敏感に読み取ってしまうことを常日頃経験しています。「人は口に鉈を持って生まれてくる」と言われます。言葉には人を傷つける力もあり、傷つけてしまった時嫌な思いをするのは、相手を傷つけた言葉で自分も傷つけるからです。このような言葉の力を理解し、目の前で消えてしまう話し言葉であるからこそ大切にして欲しいと思います。
研究者、そしてアナウンサーとして取り組んでいるのが、音声の読書といえる「朗読」です。私は、朗読は話し言葉として捉えています。テキストの世界を読み込み、音声言語表現技術を駆使して聞き手に伝える読法です。朗読とは何か、その可能性について研究しています。

自らの伸び代に気付けたら、変化を日常生活で生かしてほしい

授業として、「ことばと放送メディア」、「文学(怪談文学)」、「基礎ゼミナール」などを担当しています。放送メディア、とりわけテレビは多くの現代人の話し言葉に影響を及ぼしている存在です。まずは放送メディアの特質を認識するために、放送メディアの誕生を歴史からとらえ、次にトピックとして実際のニュース番組や情報バラエティー番組などを検証しながら授業を展開していきます。メディアリテラシーとは、メディアが発信するメッセージに含まれた背景や機能を理解する受け手側の能力のことです。同じ事例でも、伝える立場によってどれほど伝え方が異なるか、言葉の作用がどれほど変わるのか、といった点を解説し、皆さんのメディアリテラシーを高める土台を築き上げていくことを目指します。これは情報社会の中で自らを守ることに繋がります。また、「違和感のある表現」から、言葉の選び方や表現方法を考察して行きます。違和感のある表現は、思考までもがその言葉に支配されかねませんので、違和感のまま終わらせないことを学んでほしいと思います。個人の内側、意識の変化を成長として捉えてほしいですね。
もう一つ、「文学(怪談文学)」の授業ですが、これまで朗読家として、数多くの文学作品を読んできました。授業では、生でテキストを朗読しながら解説を加えていきます。怪談で語られている日本人の死生観や言葉への想いを読み取ることは、日本人のメンタリティーや日本の基層文化を考えることに繋がります。私たちはなぜ、怪異譚や怪談が好きなのか、考えていきましょう。

「心のよりどころ」となる、大切な言葉に出会ってほしい

学生の皆さんには「読書」を強くおすすめします。ジャンルにこだわる必要はなく、乱読で構いません。たくさん読んでほしいですね。読書の良さは、語彙が広がるだけではありません。それが「心のよりどころ」となる点にあります。本は、逃げません。いつでもそこにいます。時空を超えて、先人たちの人を想う心や悲しみ、慟哭、善と悪、優しさ、人間の強さ弱さ、そして希望が語られています。本は、いつでもページを開いてくれる人を待っています。読書は作品、作者との対話です。だから孤独を感じる必要も全くないのです。私自身、学生時代に出会った本の言葉にどれほど慰められ、勇気を得、時には怒りを鎮めてくれたことか。どうか若い柔軟な感性をもって、これからの人生に力や彩を与えてくれるような大切な本や言葉に出会ってほしいと思います。

Photos

  • 手前は自著の『声の文化史―音声読書としての朗読史―』(成文堂)と『彼女の場合』(かまくら春秋社)です。奥は共著の『祈りと再生のコスモロジー―比較基層文化論序説―』『比較文化のすすめ 日本のアイデンティティを探る必読55冊』(ともに成文堂)と共訳の『T.Sエリオット―文化の定義のための覚書』(中央公論新社)です

  • これまでいろいろなところで行ってきた朗読会のテキスト

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