
Shinkai Sakiko
新飼 早樹子 助教
- 所属
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国際日本学部
国際文化交流学科
- 関連リンク
- 専門分野
歴史学、日韓関係史、東アジア国際関係史
- キーワード
Profile
出身地/福岡県福岡市
子供の頃の夢/チアリーダー(当時お気に入りだった絵本の影響)、お花屋さん、建築士、音楽関係、医療関係の仕事
趣味/音楽鑑賞、テニス
休日の過ごし方/博物館・美術館巡り
好きな食べ物/イチゴ、エビ、紅茶、参鶏湯
日本・韓国双方の文献から古代の日韓関係史や東アジア国際関係史を紐解く。
当時の新羅と日本の関係史からアジアの「海域史」にも視野を拡大中
新羅、百済、高句麗をご存じでしょうか? これらは、古代の朝鮮半島で興亡した王朝で、ここでいう朝鮮は歴史的に存在してきた国家、社会、人々をさしています。あまり聞き馴染みがないかもしれませんが、663年の白村江の戦いでは、日本・百済連合軍が唐・新羅連合軍と戦い敗れました。歴史に興味がある人ならきっと覚えているでしょう。
私の専門は歴史学です。なかでも過去の文献をもとに歴史を紐解く「文献史学」の立場で、「新羅と日本」に注目し、古代の日韓関係史や東アジア国際関係史について研究を行っています。また、この時代の「ヒト」だけでなく、海を越えた国際交流のなかでやりとりされた「モノ」に焦点を当てた研究も行っています。「モノ」が持つ政治的意味や文化の伝播について詳しく調べると面白い発見があります。
日韓関係史に興味を持ったのは、地元である福岡に新羅や百済、加耶との交易の痕跡があったからです。とはいえ、最初からこの分野に関心があったわけではなく、国際関係史に興味はあったものの、アジアの関係史に意識は向いていませんでした。ゼミを選ぶ際に、外国との関係に興味を持ったきっかけは何だっただろうと考えた結果、古代の日韓関係に辿り着き、日本古代史を専攻しました。その後大学院博士課程ではソウルに留学して韓国史を学び、新羅と日本の関係にフォーカスした研究を行いました。
最近は、日韓の人的・物的交流の舞台となった「交通路」の復元にも取り組んでいます。当時の航路を結んだ「港市(港を中心に栄えた都市)」に注目し、前近代アジアの国際交易の実態に迫るべく、「海域史」も研究テーマとして取り上げています。沈没船などの海事考古学や沿岸考古学の結果もふまえ考察することで、新たな歴史像がわかることもあり、非常に興味深い分野です。
大学の学びを通じて双方的かつ複眼的な視点を身につけてほしい
現在、国際日本学部で担当している「地域文化論(韓国)」では、歴史的背景をもとに歴史と文化を考える授業を行っています。ここでは、2つの柱を基軸に授業を進めています。「縦の軸の視点」では、古代から近現代までの歴史的背景を踏まえて朝鮮半島の文化的特徴を把握することに努めつつ、「横の軸の視点」では、東アジアという地域的広がりから韓国文化を捉え、韓国の社会をグローバルな視点でより深く理解することをめざしています。
授業を通じて、学生の皆さんに伝えたいのは、双方的かつ複眼的な立場や見方を意識しながら史実や文化にアプローチする姿勢です。例えば、ある出来事を考える際にもひとつの国家や地域内だけではなく、周辺国家や地域との関わりも踏まえながら、多角的に当時の状況を捉える必要があります。
これは私自身が日本史研究から日韓関係の勉強をスタートし、最終的に韓国の大学院で韓国史を学び、研究を行った経験に基づくものです。歴史学の基本ではありますが、同じ事件でも日本と韓国に残された史資料では、描き方も異なり、歴史像の捉え方にも違いがあります。日韓の史資料や視点もふまえて考えると、新たな関係が見えてきます。学生の皆さんには、ぜひ大学時代の学びのなかで、多元的なものの捉え方を身につけてほしいと思います。それは、異なる意見や価値観を持つ人とコミュニケーションをする場面で、「相手の立場になって考える」姿勢を養うことにもつながります。
また、授業に限らず、学生時代はとにかく自分がどのようなことに興味・関心があるのかということに目を向け、とことん向き合ってみましょう。その興味・関心を育てるために多くの体験や経験をして、感性を磨き、大事に育ててください。それが在学中だけではなく、卒業後も自身の人生を彩る引き出しのひとつになると思います。もし在学中に見つからなくとも、自身と向き合い深く思考した経験は、将来思わぬところで何かにつながってくると思います。

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