Takai Noriko

髙井 典子 教授

所属
国際日本学部
国際文化交流学科
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専門分野

観光学

キーワード

Profile

出身地/大阪府枚方市
生年/1963年
家族構成/夫、長男(ヒト)、次男(ウェルシュコーギー)
子供の頃の夢/幼稚園:八百屋、小学校:スチュワーデス(CAではない)
尊敬する人/我が家の次男(ヒトではなく、わんこです。常に、いま、この瞬間を全力で生きている姿が尊い)
愛読書/都築卓司『超常現象の科学』
趣味/スイミング、温泉巡り、美術館巡り
休日の過ごし方/上記&料理(平日はほとんど料理しません)
好きな音楽/バレエ音楽全般、邵容(シャオロン)の中国琵琶演奏、Nujabes
好きなTV番組/「京都人の密かな愉しみ」
好きな映画/「The Truman Show」
好きな著名人/Sean Connery
好きな食べ物/アボカド、生玉子、蟹
好きな国/今まで行ったことのある国から敢えて選ぶなら、ネパール

観光は、見知らぬ他者との対話を始めるきっかけになる。

外国人観光客の増加は、自分の世界を広げるチャンス

「観光する人(ゲスト)」「迎える人(ホスト)」の関係に興味があります。日本では2003年の観光立国宣言以降、外国人観光客の増加によってホストの役割を務める場面が増えました。京都などのメジャーな観光地の人はホスト役に慣れていますが、観光客に慣れていない土地の人は「自分の町に突然外国人が来た!」と焦ってしまうことも珍しくありません。観光客の急増は、住民にとって不都合をもたらすこともありますが、「ここ」以外の文化や価値観を知る機会でもあります。ゲストとホストがどのように出会い、どのように関われば、ポジティブな影響を与え合うことができるのか、研究を進めています。

新型コロナウイルスによる感染症の拡大以降は「オンライン観光」が登場、私自身もツアーに参加し、国内外を「旅」してきました。健康上や家族の状況などで旅行に行けない人も、オンラインならどこにでも「旅」することができるんだな、ということにも気づかされました。一方で、オンラインでは味わえない、身体の移動を伴う旅だからこその良さ―「寄り道」「トラブル」「偶然の出会い」など-もあらためて感じています。あるとき、私のゼミメンバーと香川県へ合宿に行きました。瀬戸内国際芸術祭の鑑賞を目的に直島と豊島を訪問する予定だったのですが、初日に台風の影響でフェリーが欠航、急遽旅程を変更して高松市内のゲストハウスに泊まることに。そこでお世話になった宿のご主人が大学でモンゴル語と国際開発を学んでいたことや、青年海外協力隊の一員としてセネガルで暮らした話を聞き、そこから観光と地域の複雑な関係についてのディスカッションに発展したんですね。トラブルが予期せぬ出会いを生む、そんな旅の醍醐味を味わう合宿になりました。
今後は感染症や様々なリスクと共存しながら、オンラインでもリアルでも観光を楽しむ時代になっていくでしょう。これからの観光がどのようなものになっていくのか、じっくり観察し、考え続けていくつもりです。
ホストとゲストの関係以外に、文化観光(これは今のゼミのテーマです)や観光地のブランディングと住民意識の関係についても研究を進めています。

異なる価値観を持つ人との対話を開くのが観光

「観光と現代社会」の授業では、観光を通して近代化と現代社会について学びます。「ご当地キティ」「インスタ映え観光」「ディズニーランド」など、みなさんにとって身近な話題を取り上げて、少しナナメからこれらを斬っていきます。ご当地キティをお土産に買ったことがある人も多いのではないでしょうか。ただ、その地域でつくられているわけではないキティちゃんは、本当にその観光地を表していると言えるのでしょうか?……というような問いを投げかけます。観光というと華やかなイメージを持っている人が多いと思いますが、それはこれまで「ゲスト」としての経験しかしていなかったからです。「ホスト」の目線で観光を眺めてみると、新たな発見がたくさんあるはずです。

観光は、国と国との関係がややこしくなっている時でも、個人と個人が向き合い対話を始める可能性を開くものです。ところが、コロナ禍において観光は不要不急かつ危険なものとして非難されるようになり、「もう外国人観光客は来なくていい」という声すら聞こえた時期もありました。けれど、異なる文化、異なる価値観を持つ人たちとの対話の回路を簡単に閉じてしまってはいけないのです。まず自分から対話を始めてみる。それをきっかけに相手も変わり、自分も変わる、100%理解し合えることなどなくても、違いを認めながらともに生きていく世界をつくろうと努力する……。観光の学びを通して、そんな人になってほしいと思います。

誰かの「おすすめ」に頼らない経験を

大学時代は、ひとり旅をしてみてください。できれば海外、難しければ国内でもかまいません。そして、一日(数時間でも)、スマホの電源を切り、写真も撮らず、自分の感覚を研ぎ澄ませ、全知識を動員し、生身の身体ひとつで動き回ってみてはどうでしょう。スマホは本当に便利な道具です。今いる場所もすぐにわかりますし、おすすめのレストランも教えてくれます。しかし、いつも誰かさんの「おすすめ」に頼りきりでは、自分で決断する力が衰えてしまわないでしょうか。いざという時にも、「どうにかする」「道は切り開ける」と自分を信じられるかどうかはとても大切なことです。自分の意志だけではどうにもならないことが多いのが人生。だからこそ、「自分の人生は自分で決める」という感覚を忘れないでほしいのです。
そして、旅先でいろいろな人と出会ってください。「あの国の人はこうだ」という先入観や根拠のない決めつけから自分を解き放ち、生身の人間と接すること。人との出会いが、あなたの世界を豊かにしてくれます。

髙井典子ゼミナール

文化と経済の両輪で観光をとらえる

「大学で観光を学ぶ」というとどんな勉強をイメージするでしょうか。観光の歴史や地理といった人文学的なもの、或いは観光業の経営などを思い浮かべる人が多いかもしれませんね。髙井ゼミではその両岸を繋ぎ、「文化と経済の両輪」で観光をとらえる「文化観光」をテーマにしています。例えば、横浜が誇る文化財「三溪園」でのプロジェクトでは、若者が文化財をより身近に感じられる体験プログラムの商品化を研究しています。得られた収益を文化の保存・継承、そして新たな文化の創造や発信に充てる実践です。文化と経済の好循環を目指す観光に関心のある人、ぜひ一度研究室を覗いてみてください。

Photos

  • 旅先でもらう地図を集めています。オンラインの地図では味わうことのできないアナログの良さがあって、眺めているだけで楽しいです。だんだん黄ばんでいく紙の地図には、旅の記憶が匂いとなって残っているような気がします

  • 英国で働きながら大学院に通っていた時に出会った「Naturalistic Inquiry」(Yvonna S. Lincoln and Egon G. Guba/SAGE Inc)という本です。「質的研究」に関する本なのですが、この考えに出会ったことで、それまで抱えていた研究手法に関する悩みがぱっと晴れました。指導教官の先生方とは180度異なる方法論だったので、取り入れるまでには苦労もありましたが、それも含めてとても印象に残っています

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