Hosoda Yuri

細田 由利 教授

所属
国際日本学部
国際文化交流学科
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専門分野

会話分析、第二言語習得

キーワード

Profile

生まれ育った国の言語や文化が違うと、コミュニケーションのとり方は異なるのでしょうか。日本人同士で話すのと「外国人」と話すのではやり方が違うのでしょうか。そんなことに興味を持って会話の分析をしています。

出身地/東京都
血液型/B型
趣味/犬との散歩、ウォーキング、ジョギング
子供の頃の夢/大学の教員
尊敬する人/エマニュエル・A.シェグロフ、ゲイル・ジェファーソン(両名とも会話分析創始者)
愛読書/『Sequence Organization』
休日の過ごし方/スポーツクラブでのワークアウト、料理
好きな食べ物/和食(特に魚料理)、韓国料理
好きな国/フィンランド、アメリカ(ロサンゼルス)

会話を分析することで読み解く、 人と人とのコミュニケーションの面白さ。

会話を読み解いてコミュニケーションの取り方を知る

私が担当している「国際文化交流専門演習Ⅱ」では、会話分析という手法を用いた対面コミュニケーションの観察研究に慣れることを目標としています。今日、国際化が進んでいくなかで第二言語によるコミュニケーションは必須となりました。この演習では、異なる言語・文化を持つ人々がどのようにコミュニケーションを取っていくのかについて観察していきます。特に、同言語・文化を持つ人同士の会話と異言語・異文化を持つ人の会話を比較してどのような相違があるのかに注目します。授業では、この会話分析の手法について学ぶとともに、実際の会話例をオーディオ録音、ビデオ録画し、それらを見聞しながら、第一言語による会話と第二言語による会話では話し手の交替の仕方、依頼、招待、拒否などをするときの言い方、言葉探しの仕方、発話訂正や言い換えの仕方、出来事を語るときの言い方などに違いがあるのかを考察したりします。また、第一言語話者であること、反対に第二言語話者であることなどのアイデンティティや、教室での教師と生徒としての会話か友人同士の気軽な会話か、といった会話場面が会話の中でどのような関連性を持つのか、などを分析を通して明らかにしていきます。ビデオ観察する際には言葉とジェスチャーの両方に注目します。学生は自分自身が収集したデータを分析して上記のことを観察します。

会話分析に思い込みは大敵!

言語の違いによって会話というのはどれくらい違うのかといえば、実は基本的な部分にそれほど違いはありません。例えばどんな言語を使っていようと、人と人との会話において誰かひとりが話しているとき他の人は聞き役に回りますし、依頼に対する受け答えは、受けるかお断りするかのどちらかです。よく日本語と英語の違いについて「マイナスの答えをする場合、日本語では言葉を濁してあいまいにするけれど英語ではストレートにNoと言う」などとステレオタイプに言われることがあります。けれど実際にはそんなことはなく、英語でもやっぱりマイナスの答えをするときには最初にちょっと沈黙があったり、普段以上に間があいたりする。お断りの言葉は最後にならないと出てこないこともありますし、言い訳だけで終わってはっきり「No」とは言われないことだってあります。なぜか日本人は、外国語と比べて日本語の会話は特別だと思いがちですが、会話において日本語だからどうこうということはありません。ですから、最初から「違う」と思い込まないことが大切ですね。
基本的な会話は言語の違いに関わらず同じ。だとしたら、どういうところが違うんだろうということを考えていく。ただし会話分析においては、最初に仮定は立てないのが鉄則です。あくまでもデータを集めてそこから分析していく。だからこそ固定観念や思い込みを捨てて、頭を真っ白にしてから会話データを見始めることが重要なのです。そこが簡単そうに見えて難しいところです。

目標は、コミュニケーションの重要性を学ぶこと

会話分析というのは、もともと社会学から生まれたもの。ですから言語学系の学生さんたちは社会言語学の枠組みの中で会話分析に触れることが多いです。社会言語学とは、人々が社会の中で実際にどのように言語を使って生活していくのかということを考える学問。私の教える「社会言語学」の講義はその入門クラスです。人々が実社会で他の人とスムーズにコミュニケーションを取るためには文法や語彙の知識があるだけでは十分ではありません。そのコミュニケーションが行われている状況や話し相手を考慮して発話をしていく必要があります。このクラスでは社会生活でコミュニケーションをしていくために必要条件とされていることを考察していきます。扱うトピックは、上記の会話分析の他、バイリンガリズム、コード切り替え、方言、ジェンダーと言語など。また、これらの授業を受けて会話分析や社会言語学に興味を持った学生は大学院(外国語学研究科)に進み、「比較言語文化特殊講義Ⅰ」などでさらにその分野の研究を追求できるようになっています。
コミュニケーションというのはひとりでは成立せず、常に相手を意識して行われます。ですから会話を分析するときには「誰と話しているのか」「そのとき聞き手が何をしているのか」といったそのときの状況も重要です。私たちはそれを「会話というのは相手に合わせたデザインをする」という言い方をし、会話分析においては最も気をつけるところでもあります。例えば何かを話しているときに相手が自分のことを見ていなかったとすると、もう一度同じことを繰り返してしまいますよね。私も教室で学生の皆さんが話を聞いてないなと思ったら、同じことを何度でも言ってしまいます(笑)。要するに、話し手は聞き手を見てこちらの話し方を変えているわけです。
このように会話分析というのはひとりのスピーチを分析するのではなく、あくまでも相手がいる相互行為としての会話を分析して、人は他者とコミュニケーションをどのように取っているのかを知ろうとする学問なのです。こうした授業を通して、一見あたり前のように思える人と人とのコミュニケーションが社会の中でどのような重要性を持つのか。あるいは人とうまくコミュニケーションを取ることがいかに大切か、といったことを学んで欲しいと思います。それは社会に出てからのコミュニケーションにも役立つかもしれません。例えばどうして上司が怒ったんだろうとか、なぜ行き違いが起きたんだろう、といった問題に直面したときに、ここで学んだことを振り返ってみると、案外、役に立つかもしれませんよ。

Photos

  • 愛犬・スノークの写真。スノークという名前はトーベ・ヤンソンの「ムーミン」シリーズの登場人物からもらったもの。頭が良くなりますように、と名付けた

  • 高校時代、ニューヨークの高校に1年間留学していたとき、フィールドホッケーで受賞したベストプレイヤー賞。攻撃担当で得点王だった

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