Yamamoto Shintaro

山本 信太郎 教授

所属
国際日本学部
国際文化交流学科
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専門分野

西洋史、イギリス近世史

キーワード

Profile

生年/1971年
血液型/O型。ただし血液型判断は現代に残る「魔術」だと思っている
出身地/兵庫県尼崎市(生粋の関西人です)
子供の頃の夢/幼稚園の頃はお百姓さん、小学生の頃はコックさん
尊敬する人/父親
趣味/写真を撮ること(全くの素人です)と・・・お酒を飲むこと
休日の過ごし方/ごろごろしているだけ…なんかつまんないですね
愛読書/研究書:越智武臣『近代英国の起源』(ミネルヴァ書房)、マンガ:いっぱい
好きな映画/最近だと「桐島、部活やめるってよ」「レ・ミゼラブル」
好きな音楽/流行ものは何でも聴きますが、昔から好きなのは中島みゆき
好きなTV番組/テレビはつけっぱなしですが、特に選んで見ているわけではないかも
好きな食べ物/何でも好きなところに連れて行ってもらえるとすれば寿司屋です
好きな国/やっぱりイギリス

歴史は決して変わらないものではなく、見る角度や 問いかける主体によって、常に姿を変えるものです。

大きな歴史的変革のもとで、普通の人々がどう生きたか?

西洋史、特にイギリスの宗教改革について研究を始めたのは、高校時代の恩師の影響です。エスカレーター式の学校で大学受験がなかったせいか、先生方の授業は実に自由でユニークでした。通常、高校の「世界史」といえば、人類誕生から現代社会に至るまでの世界の出来事をたどり、年号を暗記する…といった授業をイメージしますが、大学院でイギリス宗教改革を研究していた恩師の授業は、大学の講義のような専門的な内容であり、最初はとまどいました。けれど次第にその面白さに魅了され、大学は文学部の史学科で学び、大学院でも研究を続けました。
イギリスの宗教改革は、国王ヘンリ8世の離婚問題(正確には結婚解消)から始まります。王妃キャサリンとの離婚をローマ教皇に願い出るも認められず、このため、ヘンリ8世はイギリス国教会をローマ・カトリック教会から独立させました。しかしその教義はカトリックとあまり変わらず、ヘンリ8世の死後即位した息子のエドワード6世は、教義をプロテスタント化します。しかし在位わずか6年で没し、次に即位したスペイン出身の最初の王妃キャサリンとの娘でイングランド初の女王メアリ1世は、熱心なカトリック教徒だったこともあり、イギリス国教会をカトリックに戻そうと企てます。
16世紀のイギリス社会は、このようにカトリックとプロテスタントが数年ごとに入れ替わった混乱の時代でしたが、僕はこういった歴史的変革が、一般の人々にどのような影響を及ぼしたかについて興味を持っています。たとえば、当時地方に暮らす普通の人々が通っていた教区教会には、現在でも詳細な会計簿が残っているところがありますが、これを見ると、政治的な理由による社会の変革によって、ごく普通の人々の暮らしがどのように変わったか、どのように生きたか、といったことが浮かび上がってくるのです。今後は特に、私たちが「イギリス」と呼んでいるイングランド、ウェールズ、スコットランド、アイルランドの中で、1530年代にイングランド王国に併合されたウェールズに宗教改革が及ぼした影響について勉強しようと考えています。

歴史学は、自分たちの世界と社会を相対化する視点を養うもの

現在担当している「世界史」の講義では、16世紀のイギリス史についての詳細な内容を、最新の学問的成果も反映させながら論じています。また「外国史」では、西洋史上のさまざまなトピックを、たとえばルネサンス教養人としてのノストラダムスを挙げるなど、なるべく変わった角度から取り上げます。「国際文化論」では、イギリスの社会と文化を歴史的な視点から講義しています。いずれの講義も、人物の肖像画や建物の写真、自身で撮影した動画などを見せ、内容を身近なものとして感じられるよう工夫しています。そして学生の皆さんには、世界史は単に暗記するものではなく、本来の歴史学は、「圧倒的な異世界」である歴史的世界を鏡として、自分たちの生きる世界と社会を相対化する視点を養うものである、ということを知ってもらいたいと思っています。
「歴史とは現在と過去との対話である」とは、有名な歴史家E. H. カーの著書『歴史とは何か』の中の言葉です。この本で、カーが過去に向かって問いかける主体の重要性を説いているとおり、対話する主体がないと歴史は存在しません。たとえば、1971年6月27日に山本信太郎という人が生まれたことも、必ず歴史の教科書に書かれる1945年8月15日に日本が戦争に負けたことも、過去の出来事は、すべてが平等に「過去の事実」として存在しています。けれどそれらは、主体によって問いかけられ、取捨選択されてはじめて「歴史的事実」になるのです。そしてその歴史的事実は決して変わらないものではなく、見る角度や主体の問いかけ方によって常に姿を変えるものです。

ゼミも大学も、自分のテーマを見つける場所です

ゼミは「ヨーロッパの歴史」を対象としていますが、歴史の研究テーマは、なにも政治や経済、宗教ばかりではありません。歴史学は自由な学問であり、過去に人間が行った事柄なら、あらゆることが対象になります。ファッションや音楽という観点から歴史を知ることだってできるでしょう。歴史に関する本や映画、ドラマなどをたくさん読んだり見たりするうちに、興味の対象が必ず見つかるはずです。いずれにしても、誰が何と言おうと自分は面白い、と思えるテーマを見つけて、それを極めてほしいと思います。
ゼミに限らず、大学での学びにおいても同じです。大学にはさまざまな学部や学科があり、それぞれが扱う専門分野は異なりますが、それらの専門的な学問は、ある意味ではすべて「材料」だと思っています。個々人が視野を広げ、自分は本当に何が面白いと思うのか、ということを見つける材料です。皆さんもぜひ、自分のテーマを自分で見つけ、愛情をもってこだわってください。大学で身につけた知識が、社会に出てそのまま何かの役に立つことはほとんどありませんが、自分でテーマを見つけ、それをさまざまな手段を駆使して追究し、ひとつの成果にまとめ上げる経験は、人生の財産になると信じています。また、ゼミは同じ学問の枠組みで切磋琢磨しながら学んでいく場ですが、専門の学びを超えたひとつの共同体です。勉強する時には真剣に勉強し、遊ぶ時は思いきり遊び(飲むときは飲み)、ともに苦労し、ともに楽しむ仲間を見つけてほしいと思います。もちろん、大学自体がそういう場です。4年間の濃密な時間の中で、ぜひ生涯の友人に出会ってください。

Photos

  • 博士論文は、民衆が宗教生活を営む「教区教会」という場に特に焦点を当てて書いた。これをまとめた著書『イングランド宗教改革の社会史 ミッド・テューダー期の教区教会』(立教大学出版会)。奇しくも、大学で経済学を教えていた今は亡き父の博士論文の刊行(約40年前!!)を担当した編集者と巡り合った

  • 趣味で絵画を習っていた母が、自作の絵をつけてくれたネクタイが数十本ある。これを見た学生たちが、卒業の時に無地のネクタイをプレゼントしてくれた。これに母が絵を描き、学生と母の思いが詰まったかけがえのない1本になったのが、手前のネクタイ

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