Kim Yeonkyung

金 延景 助教

所属
人間科学部
人間科学科
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専門分野

人文地理学、都市社会地理学、移民・エスニシティ研究

キーワード

Profile

出身地/韓国・ソウル特別市
子供の頃の夢/外交官
趣味/ドライブ
休日の過ごし方/家族との時間、猫の世話、温泉サウナ
好きなTV番組/『ブラタモリ』
好きな映画/『セント・オブ・ウーマン』『バグダッド・カフェ』

フィールドワークを通じて社会の変化と都市空間の関係性を明らかにする。

日本国内の外国人集住地域にてフィールドワークに取り組む

都市はまるで生き物のように変容し続けています。時代とともに賑わいの中心や人々の流れが変化し、それに伴って空間構造や機能配置も絶えず再編されます。産業構造の変化、グローバル化、人口減少、SNSの登場、コロナ禍……実に多様な社会現象が、人々の暮らしや活動の場を変え、都市の姿にも大きな影響を与えているのです。こうした変化が人々の実感として現れるまでには、時間がかかります。しかし観察を積み重ねることで、ある日ふと、以前とは異なる都市の姿が見えてくることがあります。こうした“兆し”を敏感にキャッチし、社会の変化が都市空間にどのように現れるのか、また都市空間が人々の暮らしや地域社会にどのような影響を与えるのかを調査することが私の主な研究テーマです。

特に注力しているのは、外国人が集住する地域を舞台に、“エスニシティ”が都市空間に表出する過程を追う研究です。公表されている統計データだけでは捉えきれないエスニシティの実態を把握するため、現地調査やインタビュー、アンケート調査を組み合わせたフィールドワークを実施しています。具体的な事例として、私は東京都新宿区の大久保コリアタウンを対象とした調査を続けてきました。着目しているのは、地域社会における多文化共生のあり方です。ひと括りに「エスニック集団」と呼ばれる人々にも、それぞれ別の事情や考え方があり、来日した理由や定住の希望なども人によって異なっています。一時的な目的で日本に滞在している人もいれば、地域との深い関わりを感じ、地域社会の一員として積極的に参加しようとする人もいる。地域が人によって構成されるものだからこそ、立場の違う人々から思いを聞き出すことで、多文化共生の現状を明らかにしたいと考えています。

近年、世界的に見てもナショナリズムが高まっている傾向にあり、いまだに各地で国籍や民族、文化的背景の違いを理由とした差別や軋轢が生み出されています。今後は日本の外国人集住地域で行ってきた調査手法を韓国にも広げ、文化的な背景の異なる集団同士であっても、豊かに混ざり合うことのできる都市空間の実現に貢献したいと考えています。将来的には東アジア・東南アジア全体を調査対象とし、国際的な人口移動の全体像を把握することが目標です。

研究も人生も、多様な世界に足を踏み入れることが大切

研究において意識しているのは、自分の目で見て、耳で聞き、肌で感じることです。IT技術の発達した現代社会で暮らしていると、バーチャルの世界にあらゆる情報が存在すると思ってしまいます。しかし、都市空間や地域の変化は、統計や行政資料、学術研究としてまとめられるまでに時間がかかるだけでなく、人々の暮らしの変化や地域の雰囲気、新しく生まれつつある動きなどは、数字だけでは十分に捉えることができません。だからこそ私は、実際に現地へ足を運び、その場所を歩き、人々の話を聞くフィールドワークを大切にしています。現場に立って初めて、それまで自分が抱いていたイメージや先入観とはまったく異なる景色や現実が見えてくることもあります。そうした発見こそが、新しい研究につながる大切な一歩だと考えています。

現地での人や地域との交流は、研究上の発見にとどまらず、自分自身の価値観や存在意義を見つめ直すきっかけにもなります。学生には、授業で得た知識だけではなく、その背景にある社会の動きを読み解く力を身につけてもらいたいと思います。そして、地域や社会の変化を受け身で眺めるのではなく、都市空間や地域の変化を現場から捉えることで、社会や地域をより良い方向に変えることのできる人になってほしいです。

私が現在の研究を始めた根底には、幼少期からの経験があります。韓国で生まれ、複数の国で過ごしてきたなかで、自分の居場所がどこなのか戸惑う時期がありました。その経験が、移民研究へと向かう原体験になっています。自分とは異なる立場や価値観を持つ人々と出会い、多様な世界に触れることは、自分自身の視野を大きく広げるきっかけにもなります。旅行や留学に限らず、普段暮らしている身近な地域の中にも、新しい発見や出会いがたくさんあります。学生時代の時間を活かして、ぜひ思う存分「異世界」を体験してみてください。その出会いや発見が、新しい問いや関心を生み出し、人生をより豊かなものにしてくれるはずです。

都市社会地理学研究室

現代社会と都市空間を読み解く地理学

このゼミでは、都市を舞台に生じるさまざまな社会現象を地理学の視点から研究します。自分の興味や関心に基づいて研究テーマを設定し、その現象がどこで、なぜ起きているのかを調べながら、地域への理解を深めていくことを目指します。
地理学の特徴は、物事を「地域」や「空間」の視点から捉えることです。ある地域だけで見られる特徴だけでなく、他の都市や国にも共通する現象との比較を通して、地域固有の特徴と普遍的な特徴の両方を考えることができます。
また、地域や社会は一つの見方だけで理解できるものではありません。同じ地域であっても、そこに暮らす人や関わる人によって見え方や感じ方は異なります。ゼミでは、フィールドワーク(現地調査)を重視し、実際に地域を歩きながら観察や聞き取りを行うほか、文献調査やデータ分析なども組み合わせて、多様な立場から地域社会を理解することを目指します。そうした学びを通して、他者理解と自己理解を深めることも大切にしています。

Photos

  • 大学院時代のフィールドワークでベースマップとして使用していたゼンリン住宅地図を大事に保管しています。真夏の炎天下で汗とともに書き込んだ調査記録と、公園でひと休みしていた際に落ちてきた鳩のフンの跡まで滲み込んでいますが、それも含めて研究者として歩き始めた頃のほろ苦い思い出です

  • 猫は動くものや環境の変化を瞬時に察知する“名観察者”です。都市や地域の変化も、最初はほんの小さな兆しとして現れることがありますが、その変化を見逃さない感覚は研究にも通じるものがあるように思います。飼い猫は必ず机の周りに現れ、キーボードの上に座ったり資料の上で寝たりと研究の進行を妨げることもありますが、同時に最高の気分転換と癒やしを与えてくれる存在です

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