
Kino Eriko
紀 惠理子 特任教授
Profile
出身地/神奈川県、栃木県小山市在住
尊敬する人/分野を問わずプロフェッショナルな人
愛読書/ハリー・ポッター
趣味/ミュージカル観劇、旅行
休日の過ごし方/夫と散歩、ショッピング、料理
好きな音楽/ミュージカル音楽
好きなテレビ番組/NHKのドラマ全般
好きな食べ物/おいしい物なら何でも
人を理解する広い視野を身に付け、社会貢献できる人材になってほしい。
“被害者”を減らし安全安心な地域社会をつくるために“加害者”を知る〜「困った人」は「困っている人」〜
あなたは、犯罪・非行をする人にどのようなメージを持っていますか。ほとんどの人にとって、犯罪や非行は身近なものではないと思います。人はなぜ犯罪や非行をしてしまうのでしょう?犯罪・非行をする人は、他の人とは違う特殊な人なのでしょうか。
犯罪・非行の原因は決して単純なものではありません。その人自身の資質(例えば、知的な能力、物事の捉え方、感情のありよう、自己イメージ、発達の特性等々)やその人を取り巻く環境(親子関係、対人関係、挫折経験、虐待、いじめ、社会的孤立等々)などの様々な要因が重なり合っています。社会から見て、犯罪・非行をする「困った人」の多くは、その人なりに何らかの困難を抱えていて、どうしたらよいか分からずに「困っている人」なのです。でも、そうした困った状況というのは、実は誰にでも起こり得るものでもあります。一方、被害体験は心身ともに深く傷付き、その後の人生に大きな影響を及ぼします。加害者にも被害体験を有する人が少なくありません。被害者の出ない安全安心な地域社会をつくるためには、加害者について知り、再犯防止のための手立てを地道に続けていくことが大切です。犯罪・非行という側面から、一緒に人間理解を深めてみませんか。
アセスメントからトリートメントまで、現場を深く学ぶ。
私が担当する「司法・犯罪心理学」の授業では、なぜ犯罪や非行に及んだのか、繰り返さないためにはどうすればいいのかなどについて考えていきます。具体的には、犯罪・非行を理解するために必要な基本的な知識を習得するために、犯罪心理学の理論や知見、刑事司法の枠組みや少年保護手続きの概要を学ぶことに加え、犯罪や非行に及んだ人々に対するアセスメント(分析)からトリートメント(カウンセリングや心理療法などの支援)までの心理学的なアプローチについて理解を深めます。また、「被害者心理学」では、様々な被害を受けた場合の心の状態やその影響に関する基礎知識、回復や支援について学びます。加害者心理と被害者心理は関係が深いので、両方の授業を履修することで理解が深まるでしょう。
なお、この二つの授業では、様々な関係機関(警察、児童相談所、家庭裁判所、少年鑑別所、刑事施設、少年院、保護観察所、学校、被害者支援団体等々)での実務経験が豊富な専門家の方々から事例を始めとした貴重な体験をお話いただき、現場を深く学ぶことができる機会を提供します。
学生の皆さんには、積極的に学ぶことを通じて、関心のあるテーマを明確にして深く掘り下げ、広い視野と柔軟な思考力、人に伝える力を身に付けていただきたいです。学生時代に身に付けたこうした力は、社会人になってから必ず役に立ちます。
対人援助職の魅力を知り、進路につなげてほしい。
私は、法務省の国家公務員として35年間、心理職及び管理職として仕事をしてきました。主として全国各地の少年鑑別所で非行をした少年少女と向き合うほか、職員の育成や行政にも携わってきました。仕事は大変でしたが、対人援助職(援助の必要な人と実際にかかわって援助活動を行う職業。司法・犯罪分野だけではなく、医療、教育、福祉、産業の各分野に様々な職種があります。)としてのやりがいは大きく、充実していました。
学生の皆さんには、対人援助職の魅力を知っていただき、卒業後の進路としてぜひ目指していただきたいと思います。全力でサポートしますので、対人援助職に就いて、社会貢献しましょう!
また、大学生活は人生の中でかけがえのない素敵な時間です。仲間と共に何かに夢中になって取り組み、一生付き合える友をつくりましょう。人生にはいろいろな出来事が待ち受けていますが、辛いことがあっても、自分のことを理解してくれる人がいると思うだけで心が支えられ、大きな助けになります。私にとって、学生時代のボランティア活動を通じてできた友は人生の宝物です。
柔らかい頭で、しなやかな心で、たくさんの経験から多くのことを学んで成長し、歩む道を自ら選び責任感をもって進んでいける人、自分にも他人にも真摯に向き合える人になってください。

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