Aso Noriko

麻生 典子 准教授

臨床心理士

所属
人間科学部
人間科学科
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専門分野

生涯発達心理学、家族心理学、臨床心理学

キーワード

Profile

出身地/千葉県
血液型/O型
家族構成/夫と子ども2人
子供の頃の夢/「キャンディ・キャンディ」をみて、看護婦さんに憧れました
趣味/読書、低山ハイキング
尊敬する人/両親
愛読書/『星の王子さま』
休日の過ごし方/家族とのんびり
好きな映画/「Life of Pi」「東京物語」
好きな音楽/ピアノ演奏曲やアイドル系
好きなTV番組/「マツコ&有吉の怒り新党」
好きな著名人/マツコ・デラックス
好きな食べ物/おせんべい、チョコレート
好きな国/日本

子どものため、家族のため、社会のため、人類のために 何をすべきか、一緒に模索しながら未来を創造したい。

助産師の経験を経て心理学の道へ

私の関心は「子どもの育ちとそれを支える家族や環境の在り方」にありますが、その原点は、助産師として大学病院の産婦人科新生児室で勤務した経験にあります。異常分娩に立ち会ったり、重篤な疾患を持つため、生命の危機に瀕しながらも懸命に生きる子どもたちに出会うなかで、彼らのために何ができるか?と悩み考えた末、“心の援助”に取り組みたいと思うようになりました。そして、心理学を学ぶため大学に再入学し、非常勤の助産師として働きながら大学に通いました。2年生のときに結婚し、翌年の長女出産を機に助産師の仕事をやめ、学びを深めるために大学院進学を決めましたが、1歳の子どもを抱えながら卒業論文と大学院の受験勉強に挑んだ1年間はさすがに苦労しました。その後、長男を出産し、2人の子育てと家事に追われながらも、家族の理解と助けを借りて博士課程を修了しました。その成果が評価され、住友生命の女性研究者支援の一環として賞をいただいたときは大変嬉しかったです。
現在は大学で教鞭をとるかたわら、臨床心理士として、地域の行政機関で児童虐待や養育困難な家庭への心理的援助を行っています。児童虐待はいのちの問題であり、過去から現在に至るまで、子どものいのちを守る仕事に携わっています。

実践現場のニーズに応えるための研究

研究テーマは「親と子のタッチ(身体接触)」です。学位論文では、乳児の養育場面と母親のタッチタイプに焦点をあて、「タッチ評定尺度の開発」に取り組みました。母親のタッチは、子どもの養育場面によって異なる特徴があります。これは、母親がタッチを介したノンバーバル(非言語)コミュニケーションを、場面に応じて使い分けていることを示しています。また、母親のタッチは、ポジティブとネガティブそれぞれの意味をもつ場合があり、抑うつや育児ストレスなどの母親の精神的な不健康状態は、ポジティブタッチを減らし、ネガティブタッチを増やすことがわかりました。現在は、タッチ評定尺度のネガティブタッチの項目の一部を「子どもの叱り方尺度」として再構成し、尺度開発を進めています。
また、児童虐待の心理臨床を経験する機会にも恵まれました。子育てに困難を抱える母親の多くが、「子どもに愛情をかけたいのに関わり方がわからない」と訴えています。この訴えに応え、母親の養育行動のスキルアップを目指すアプローチについて試行錯誤し、「子どもの養育場面に応じた機能的タッチ」の考え方を軸に、ファンクショナルタッチペアレンティング(FTP)というペアレントトレーニングを考案し、子育て支援の現場で実施しています。私にとって研究は実践現場のニーズに応えるものであり、自身の研究能力や技術で社会貢献したいと考えています。そのため、常に社会の要請に敏感であり、また、それに応えられるよう研究能力を高めていきたいと思います。

次世代を担う皆さんの“親育て”に携わる喜び

担当講義は、「生涯発達心理学Ⅰ・Ⅱ」と「家族心理学」です。前者は、人生の各段階における言葉や情動、自己確立などの発達過程について学びます。後者は、子どもの育ちを支える家族内システム(母子・父子・夫婦など)や社会システムとの関連、家族の発達に焦点をあて、主要な研究体系と社会問題を概観します。いずれも授業で学んだ専門的知識を実践で応用できるように、具体例を多く用いて解説します。また、視聴覚教材を使って、学生同士がディスカッションをする授業も取り入れています。テーマは、ホスピタリズムや子どもの発達、子どもの描画、育児、学級崩壊、ゆとり教育などさまざまで、終了後にレポートを提出してもらいます。レポートは、それぞれの思いが込められた力作ばかりで、回を重ねるごとに、子どもの発達や育児、家族に対する考えが格段と深化しています。
最近の大学生は、未熟で受け身だという意見も聞きますが、若者の姿や心の本質は変わっていないと思います。ただ、学生さんを見ていると、自分のもっている可能性に気づかず、能力を十分に発揮できていないように感じます。一方、家族や社会などの思惑には敏感で、周囲に振り回され翻弄される状況があるようです。ただ、その背景には、子どもの育ちを支える家族関係や社会の在り方にも問題があると思います。以前、“若者の健全な自立”について学生さんと話し合いをした際、「親が子どもに干渉しすぎ。親も自立するべき」という意見が出ました。それを聞いて、子どもたちが家族や社会のしがらみに縛られ、息苦しさを抱えながら生きている現代社会の状況の一端を見た気がして、彼らを取り巻く家族や社会、環境を変えるべきだと強く思いました。
私が大学教員として皆さんに関わることは、次世代を担う皆さんの“親育て”に携わることであり、皆さんの“親としての発達過程”に寄り添えることは、この上ない喜びです。子どものため、家族のため、社会のため、人類のために将来何をすべきか、一緒に模索しながら未来を創造していきたいと思います。

Photos

  • 物持ちがいいタイプなので、16年前に主人がプレゼントしてくれたお財布をずっと使っていました。つい最近それを娘に譲り、主人に買ってもらった二代目のお財布です。これも大事に使います!

  • 思索にふけるのが好きな私(いわゆる“妄想好き”です)にとって、サン=テグジュペリの『星の王子さま』はバイブルのような作品。学生時代に初めて読んでとりこになり、原書も読みました

SDGsの取組み

地域課題

SDGs・地域課題について

身体接触を用いたペアレントトレーニングを主に研究しています。乳幼児から大人、虐待者までを対象に、社会的養護に携わる支援者及び、里親における子どもとの心の通じ合いの難しさや、子どもの虐待における多職種協働による心理職の役割についてがテーマとなります。

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