Takahashi Makoto
高橋 誠 准教授
臨床心理士
Profile
子供の頃の夢/コックさん
尊敬する人/祖母、恩師
趣味/旅行、音楽、サッカー観戦、ドライブ、ジョギング、お酒
休日の過ごし方/家族でドライブ、旅行、趣味に没頭
好きな音楽/Jazz、Soul、Fank、Pops等なんでも。学生時代から音楽が趣味で今でも様々なジャンルが好きです
人のポジティブな側面に目を向ける心理的支援の方法を模索し、一人ひとりが強みを発揮できる社会をつくりたい。
誰もが自分の強みを見つけられるワークを考案
私の専門は心理学で、なかでも人間のポジティブな側面に焦点を当てた研究を行っています。ポジティブな側面とは、それぞれが持つ自分自身の「強み」のことです。心に悩みを抱えた人に対して、その悩みを深掘りしたり「できないこと」に注目するのではなく、その人自身の強みや「できること」を活かして問題を解決する心理的な支援の方法を模索しています。
その一環として取り組んでいるのが、就職活動中の学生に向けたキャリア支援です。就職活動が始まると、自分の強みについて考える機会が増えますよね。すぐ見つけられる人もいるかもしれませんが、多くの場合は時間がかかり、なかには見つけられず落ち込んでしまう人もいます。そこで私は、過去の研究を参考に、人の強みになる要素を厳選してリスト化。そこからゲーム感覚で自分の強みを探し出せるワークを考えました。ひとつ自分の強みを見つけると、今まで気づかなかった自分を知り、広い視野を持つことができます。すると自分の弱い部分も受け入れられるようになったり、他人の強みに注目できるようになったりするんです。その人が自分らしく生きていくうえで大切な取り組みだと思うので、就職活動に限らずもっと多くの場面で実践できるようにしていきたいですね。
また、アメリカで普及されている「マインドフル・イーティング」の内容を日本語訳し、国内に広める活動もしています。マインドフル・イーティングは、簡単にいうと「五感をフルに使って食べること」に集中するという考え方です。食べ物の色や形をよく見て、料理の香りを嗅ぎ、口の中で噛み応えを感じながらゆっくり味わう。この食事法によって鬱の症状が和らぐほか、拒食症や過食症、アルコール依存症の予防にも効果があるといわれています。余計な情報を一切入れず食べることに注力することで、その瞬間に感じたことを受け止める習慣が身につきます。この“受け止める”という態度は健康な心を維持するために大切であり、それを養うためのひとつの手段となります。
従来の心理学研究では精神疾患になる原因や症状の解明など、ネガティブな側面を追究する事例がほとんどでした。しかし、その人自身の強みに着目する心理的支援を行えば、弱い部分も受け入れながらその人なりに前を向けることもあります。今後は日本人特有の強みの尺度をつくったり、一人ひとりが強みを発揮しながら働けるような職場環境を整えたりしていきたいです。
状況を俯瞰し、自分で気づくことのできる人になってほしい
私が担当している「産業・組織心理学」という授業は、社会の仕組みを産業心理学の視点から紐解くものです。心理カウンセラーだった経験を活かして、社会で働く人がどんな場面で悩みを抱えてしまうのか実例を挙げて紹介します。社会でつまずきやすいポイントを知っておけば、いざ大学を卒業してから働く時に自分がどんなふうに活躍できるかを考えるタネになるのではないでしょうか。きっと就職活動でガクチカや自己PRを考える際にも役立つはずです。もうひとつ担当している「社会・集団・家族心理学」では、社会という大きな集団が動くメカニズムについて学びます。時に個人の課題だと思っていたものが、組織による影響を受けたものだった、ということがあります。家族や学校といった集団が持つメカニズムを知ることで、自分の悩みを俯瞰的に考えることができるのです。
私がふたつの授業で伝えたいのは、課題に対する解決方法はひとつじゃないということ。きっといろいろなアプローチがあるはずです。自分の置かれた状況を“俯瞰して考える視点”を持つ、そんな人になってほしいと思います。そのためにはさまざまな人や文化に接することが大切です。実際に行って、会って、話してたくさんの価値観に触れてください。そのうえで自分の進みたい道を選択してくれたらと思います。
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