Yoshizawa Tatsuya
吉澤 達也 教授
Profile
生年/1964年
血液型/A型
子供の頃の夢/医師、官僚
愛読書/濱嘉之
趣味/洋画鑑賞
休日の過ごし方/散歩、街歩き
好きな映画/「Beautiful mind」「The family man」
好きな音楽/Jazz,Bossa Nova
好きなTV番組/「孤独のグルメ」
好きな著名人/ニコラス・ケイジ
好きな食べ物/蕎麦、パスタ、シャンパン
好きな国/日本、英国、カナダ、米国
見えるというのは、実は心理学現象。 そのとき頭の中でどんな処理が行われているのか解き明かしたい。
赤い箱は「赤いもの」ではなく「赤く見えるもの」
私が担当している「感覚知覚心理学I」は、視覚現象とその仕組みについて学び、理解するための講義です。
皆さんは「色が見える」というのはどういうことだと思いますか?人は目の前に赤い箱があれば、普通「これは赤いものだ」と判断するでしょう。けれど実際には白い箱に赤い照明が当たっていているのかもしれません。実は私たちが見ている「色」というのは100%心理学現象で、物質そのものとは直接関係がないのです。
また、今皆さんが読んでいるこの文章は、文字と文字との間隔と行と行との間隔がちがいます。文字間より、行間の方が広くとられていますね。ところがそれを同じにして、文字が縦も横も同じ間隔で並ぶと、途端に読みにくくなります。なぜなら私たちは文章を読むときに頭の中で文字をひとかたまりにして理解しているため、こんな風に文字の並べ方を変えるだけで、内容そのものが理解しにくくなってしまうというわけです。
このように私たちが見ているものは、実際には頭の中でとても不思議な処理をされた結果であり、いわば自分たちが都合のいいように解釈したものなのです。「感覚知覚心理学I」の講義では、こうした視覚現象について、網膜や視神経細胞といった眼の構造についての話から始め、映像による錯視の体験など、デモや動画を用いて具体的に理解できるように心がけています。
街並みが持つ「その場所らしさ」を視覚的に解き明かす
私自身が主に研究しているのは、ものが動いていることを視覚的に理解する仕組みです。なかでもその仕組みに色の情報がどのように関係しているのかを、心理物理学的実験や脳機能画像計測、生体信号計測などを通して明らかにしています。
なにかものを見て「動いている」と感じるとき、私たちの脳はその背後に対してそのものがどこにあるかということを判断しています。そのため動いているものと背景の間には必ず境界があり、その境界は対象物と背景との輝度の差、すなわち明るさの差によって生じることが神経細胞のレベルで解明されています。ですから以前は「ものが動いている」という情報を作っているのは明るさで、そこに色の情報は関係がないだろうと思われていました。ところが少しずつ色もその判断に利用されているということがわかってきたのです。その仕組みを解き明かしたいというのが、私の研究テーマのひとつです。
もうひとつ進めているのが、街並みに対する私たちが持つ視覚的印象を、心理学的に明らかにするというテーマです。たとえば古い街を歩いて「鎌倉らしい」とか「飛騨高山らしい」といった、その街「らしさ」を感じますよね。それでは、私たちはどういうところを見て「◯◯らしい」と判断しているのでしょう。どの建物も、屋根があって窓があってというように大体の造りは同じですが、それぞれに個性が感じられます。そうした街並みにおける視覚的な情報を分析することで、そこにある法則性を見いだそうと研究を進めています。それが、「その街らしさ」を残した歴史的な街並みの保存の実現につながればと思っています。
興味を持つことが、人生を変える
普通、学問というのは自分が観察する立場にいるものがほとんどですが、心理学はその観察する側の「人そのもの」を観察する学問です。ですから研究テーマも、知らないことを探求するというよりは、誰でも知っているけれど、あまり「なぜだろう」とは考えないことが多くなります。それが心理学が他の学問と少し違うところで、面白さともいえます。
私自身も大学時代には電子工学を学んでいて、コンピュータを用いたパターン認識のアルゴリズム構築について卒業研究、修士研究を行いました。このアルゴリズムの構築中に、人間の視覚の仕組みの面白さに魅了されて、現在の視覚心理物理学を研究分野の中心とするようになったのです。
興味を持つことが人生を大きく変えていきます。みなさんも自分の興味を持てることを探求してください。そして楽しい時間、生活を過ごすことで、豊かな学生生活を送ってください。
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