Yasuda Yosuke

安田 洋介 教授

所属
建築学部
建築学科(建築学系)
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専門分野

建築環境・音環境

キーワード

Profile

生年/1976年
血液型/A型
出身地/広島県福山市
家族構成/妻、息子
趣味/チェロを弾くこと、音楽鑑賞(クラシック)
子供の頃の夢/特になし(大人になって自立するのは大変なことだと思っていました)
尊敬する人/自分の苦手なことができる人
愛読書/安部公房、内田百閒など
休日の過ごし方/アマチュアオーケストラで演奏
好きな音楽/クラシック全般(マラン・マレからアラン・ペッタションまで)
好きなTV番組/「2355」
好きな食べ物/ほたるいか(酢味噌和え)、鯵のなめろう、牛レバ(刺し)、鳥レバ(串、たたき)など酒の肴
好きな国/チェコ

“音”を意識して街を歩いてみてください。新しいサウンドスケープ(音風景)に出会えます。

音と建築の関係~「騒音制御」と「室内音響」

たとえば皆さんが新しい住居で生活を始めるとします。デザイン性の高い外観に使い勝手のよい間取り、利便性も抜群で、言うことなしの新居と思っていたら・・・。いざ生活を始めてみると、朝早く電車やバスの走行音で起こされ、隣や上階の生活音で休日も気が休まらない。こんな環境で、快適な暮らしができるでしょうか?住環境における音の問題は、その場所で生活して初めて気づくことが多いので見過ごされがちですが、隣近所の騒音が発端で痛ましい事件が起きるほど、人間の心理的な部分に関わる大きな問題です。そのため住宅建築、特に集合住宅では、床衝撃音その他の様々な騒音をいかに制御するか、という遮音の観点が重要です。
以上は広い意味では「騒音制御」という分野になりますが、その一方、音と建築に関しては、コンサートホールや劇場で音をいかに美しくまたは明瞭に響かせるか、といったことを考える「室内音響」という分野があります。オーケストラの素晴らしい演奏も、耳障りなエコーが出たり、響きが短すぎたり長すぎたり、座席によって聞こえ方が大きく違ってしまっては台無しです。こういった音響的な不具合を防ぐため、設計段階から音の経路や残響時間、音のエネルギー分布などを考察し、建物の形状を考えたり建築部材を選んだりする必要があります。

QOL(Quality Of Life)を考える環境工学

音を含め、熱、光、水、空気など、暮らしの快適性に直結する建築要素に関わる分野を「環境工学」と呼びます。建築デザインなどに比べると、一般的にイメージしにくい分野であり、建築学科で学ぶ学生であっても、あまり興味が持てない人もいるかもしれません。しかし、どんなにかっこよく設計されていても、環境工学的な観点が抜け落ちた、人が暮らしにくい建築であっては意味がありません。それゆえ建築設計には、その場所で営まれる人間活動を想像する力が重要であり、環境工学は、十分な想像力を発揮するために必要なバックグラウンドです。建築学科の学生には、こういったことを意識し、設計行為とリンクさせながら環境工学を学んでほしいと思います。
研究室では、空間の質や、それがもたらすQOL(Quality Of Life)の向上を目指し、音環境を中心に研究を行っています。具体的には、より良い音環境の創出や騒音制御のための汎用的な数値シミュレーション手法の開発、といった基礎的研究をはじめ、これらを応用した実際の音場の予測やそれに基づく騒音伝搬対策、場の性質を決定する建築部材の音響特性把握、集合住宅でのトラブルの要因にもなりやすい床衝撃音の低減のための遮音機構の開発などが挙げられます。
4年間の大学生活には、新しい人との出会いや新たな経験など、自分の視野を広げるチャンスがたくさんあります。貴重な時間をきちんと自己管理し、そのチャンスを大いに活かしてください。たとえば卒業研究も、テーマによっては就職や将来に直結しないと感じることもあるかもしれませんが、取り組み方ひとつで本当に多くのものが得られます。プロセスをしっかりと意識しながら、自分自身を律して物事を成し遂げる貴重な経験として捉え、ぜひ頑張ってほしいと思います。

人の感情に直接響く“音”の魅力

私が大学で建築学科に進み、環境工学の中でも音環境を専門として選んだのは、昔からクラシック音楽を聴くことが好きで、音響に興味があったからです。学部卒業後は大学院で研究を続け、その後、大学の研究所で音響解析の研究に従事し、長く“音”とつきあってきました。音は目に見えずイメージしにくいもので、捉えどころのない面白さがある一方、先にあげた建築要素の中でも抜きん出て情報性が高い(言語や音楽など)のが特徴です。また、それが人の感情に直接響くところにも魅力を感じています。
皆さんもご存じの通り、音は物体の振動が音波として聴覚に伝わるものです。そして私たちは、大きさ(音圧)・高さ(周波数)・音色(波形)の三属性によってさまざまな音を聞き分けています。街を歩いていると、人々の会話や自動車の走行音、店舗から流れる音楽など、たくさんの音が一度に耳に入ってきますが、一つひとつの“音”を意識しながら歩いてみてください。昨日までとは違うサウンドスケープ(音風景)が広がるはずです。

[環境コース]音・光環境研究室

音環境の視点から建築のもたらすQOLを高める

建築に携わる上では、建築環境が人々に提供する生活の質(QOL = Quality Of Life)について常に考えておく必要があります。この考えに基づき、私たちの研究室では建築環境工学の中でも音環境と光環境についての研究を行っています。 とりわけ注力しているのが音の分野です。集合住宅の騒音問題からコンサートホールの音響まで、対象は多岐にわたっており、よりよい音環境の創出や騒音制御のための数値シミュレーション手法の開発から、それを利用した音場の予測、部材の音響特性の把握、騒音伝播の予測・対策などに関わるものまで、幅広く研究を進めています。建築において音を研究するということは、物理的、心理的、さらには文化的な視点からも非常に面白いと思っています。

Photos

  • 大学院時代からの研究成果を基に開発された大規模波動音響解析ソフト。研究の価値そのものは、そこで得られた知見にあるにせよ、成果が目に見える形となって社会に出たことは嬉しかった。当時の指導教員や共同研究者にも大変感謝している

  • ワーグナーの楽劇「ニーベルングの指環」の4部作15枚組のCD。中学生の頃、オペラの入門書を読んでどうしても聴きたくなり、数か月間新聞配達をし、やっと購入した思い出の品。その頃からの蒐集癖で、今では音楽CDのコレクションは数千枚になる

  • 壁や天井に設置される吸音材(音を吸収する材料)の音響特性を調べる音響管

  • トンネル工事の発破掘削により発生する超低周波音の消音装置(撮影:西山芳一)

SDGsの取組み

地域課題

SDGs・地域課題について

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