Fujita Masanori

藤田 正則 教授

所属
建築学部
建築学科(建築学系)
関連リンク
専門分野

建築構造・材料

キーワード

Profile

出身地/福岡県
家族構成/妻と子供2人
子供の頃の夢/野球選手
愛読書/偉人伝
趣味/スポーツ観戦、映画鑑賞、旅行
休日の過ごし方/ のんびりすること、テニス
好きな映画/「007シリーズ」
好きなTV番組/ドキュメンタリー番組
好きな食べ物/麺類、魚料理
好きな国/イギリス、ドイツ

自らのビジョンを持ち、考え、行動できるエンジニアを目指してほしい。

地球環境問題への対応として鋼構造の部材リユース

私が専門に研究している「鋼構造」という分野は、鋼という品質の安定した材料を用いて構工法を考え、さまざまな実験や解析を重ねて、建物や部材の長寿命化などの新しい技術を開発できるおもしろい分野です。
建物を建てる際には、「強(安全性)・用(機能性・快適性)・美(意匠性)」という要件が求められますが、近年ではニーズの多様化に伴い「環境への配慮」も求められるようになってきました。環境負荷の抑制の面から、建物の長寿命化は最も重要な課題の一つですが、物理的,意匠的,社会的あるいは経済的な要因により,解体しなければならない建物も多く存在します。そこで、私が提案しているのが、部材レベルの長寿命化といえる「鋼構造の部材リユース」です。鋼材はさび・地震や風などの過荷重による塑性化・火災履歴以外に経年変化が少なくメンテナンスをしていれば長期に渡って使用することができます。しかし、建築物というのはオーナーが変わったり、区画整理が行われたり、内装が古くなったりといったさまざまな理由で取り壊されてしまいます。壊された建物の鋼材は、回収してリサイクルすることが法律で定められていますが、その工程で鋼材スクラップを溶融する際に二酸化炭素(CO2)が排出され、これが問題となっているのです。
そこで、鋼構造の部材リユースをもっと増やしていこうという取り組みを行っています。鋼材は切断、穿孔、溶接といった再加工によって部材リユースを実現できるので,CO2の発生を抑えることができます。2005年に開催された愛知万博の終了後、6つのパビリオンの鋼材が部材リユースされて一つの大きな工場に再建されるなど、最近では、集合住宅や工場などにおいても、少しずつ鋼構造の部材リユースが行われるようになっています。

机で学ぶ「工学」は、どう実務に活かされているか

私は大学教員になる前、25年ほどメーカーに勤め建築鋼構造の設計・研究開発の仕事をしていました。そのころ手がけたのは、下関市立しものせき水族館『海響館』の流線型の大屋根や『ウインズ八幡』の吊り屋根の構造設計、『八景島アクアミュージアム』『東京ビッグサイト』に適用されたシステムトラスの研究開発などです。鋼材の屋根は見た目も綺麗ですが、なにより強度が高くて柔軟性があり、地震や風などに対する安全性が高いのが特徴です。そういった経験を踏まえ、私が担当する授業では、実際に携わってきたプロジェクトの設計コンセプトや、安全な建築物をつくるための材料や形状の選択方法などの実例をもとに、授業で学ぶ「工学」がどのように実務に活かされているのかを提示したいと思っています。
また、「座屈拘束ブレース」という制振部材の研究も進めています。これは既存の建築物の梁と柱の間に斜めに取り付けることで地震エネルギーを吸収し、建築物自体の揺れを抑える仕組みで、本学の横浜キャンパス3号館にも実際に設置されています。この制振部材は私の前任である岩田衛先生が開発されたもので、神奈川大学が特許を取得しています。2021年に開設される『みなとみらいキャンパス』の校舎にも適用され,工事が進んでいるため、今後はそのヘルス・モニタリングも続けていく予定です。

自ら考え、行動できるエンジニアに

私の研究室(サステナブル構造研究室)では、建築構造を骨組・部材・接合部・材料に分類して総合的に捉える構工法から、分析的に捉える実験と解析、さらにそれらを実現するための設計までの建築構造全般にわたる研究を行っています。
学生の皆さんには自らのビジョンを持ち、考え、行動できるエンジニアを目指してほしいと思います。なぜ、モノは壊れるのか。どのように壊れるのか。物理的な現象には必ず原因があるものです。その原因を追究し、物理現象を解明することが工学の可能性を広げていきます。例えば、現在、古い工場や橋梁など高度成長期に作られた様々な構造物が経年劣化などによる損傷を抱えています。そういう身近な問題に関わる研究を通して,今後,社会に役立つ新しい技術開発などに取り組む姿勢を学生時代に身につけて欲しいと思います。物理現象の「なぜ?」「どのように?」を突き詰め、さらに自分の頭で考えて、問題解決のための新しい技術を生み出すためのトレーニングの場が大学の研究室であると考えています。

[構造コース]サステナブル構造研究室

鋼構造建物の安全性と長寿命化を考える

当研究室は,建築構造を骨組・部材・接合部・材料に分類して総合的に捉える構工法から,分析的に捉える実験と解析,さらにそれらを実現するための設計までの全般にわたる研究を行っています。  時代ニーズの多様化に伴い,建物は強・用・美の要求性能を満たすだけでなく環境に配慮する必要があります。鋼構造分野は,鋼という品質の安定した材料を用いて構工法を考え,さまざまな実験や解析を重ねて,制振部材や長寿命化などの新しい技術を開発できるおもしろい分野です。地球環境問題への鋼構造分野の対応として,座屈拘束ブレース,部材リユース,鋼木質複合構造,機械式亀裂補修工法,腐食などの多岐の研究テーマを展開し,得られた研究成果を実際の建物へ適用することも実践しています。また,学外の研究機関や大学,企業などさまざまな分野の方々との交流,共同研究などを積極的に取り入れています。常に社会と連携しつつ,研究活動を充実させていくことをめざしています。

Photos

  • 研究室に飾ってある、卒業生からのプレゼント

  • 2016年日本建築学会賞(論文)を受賞した際の賞状と記念の盾

SDGsの取組み

地域課題

SDGs・地域課題について

Teacher's News

藤田 正則先生の関連ニュース

Recommend

他の先生もチェック!