Yoshie Keisuke

吉江 慶祐 教授

所属
建築学部
建築学科(建築学系)
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専門分野

建築構造、材料

キーワード

Profile

出身地/愛知県豊田市
趣味/料理、散歩
好きな映画/『レ・ミゼラブル』

地震の揺れと台風の揺れ、両方に対応する建築構造の可能性を探る。

揺れを分析し、地震と台風の制振構造のジレンマに立ち向かう

私の専門は、地震や台風に対する建物の耐震・耐風構造です。日本は非常に地震が多い国ですが、首都圏には高層ビルがいくつも立ち並んでいますよね。こういった高層ビルが地震や強い風で倒壊するのを防ぎ、さらに損傷を低減させる役割を果たしているのが、建物の免震構造と制振構造です。免震構造とは、地震が起きた時に建物の揺れを吸収するなどして揺れを「免れる」技術のこと。そして制振構造は、揺れ始めた建物の揺れを少しでも早く止める、つまり揺れを「制する」技術を指します。これらは現代の超高層ビルの設計に欠かせないもので、ほとんどの大型ビルにはどちらかの技術が使われています。

私の研究室では、こうした耐震・耐風構造の設計法とその安全性を研究します。具体的には、コンピュータを使ったシミュレーションでさまざまな建築構造物の揺れを予測・分析しています。さらに、今後は制振装置や制振部材、免震デバイスなどを活用した実験的なシミュレーションもしていけたらと思っています。

私は2023年に神奈川大学に着任したのですが、それまでは設計事務所で建築の構造設計をしていました。研究者になったのも、その時の経験がきっかけです。当時、高層ビルなどの設計に携わるなかで感じていたのが、地震の揺れと台風の揺れの両方に対応する制振構造を実現する難しさでした。というのも、地震と台風では揺れの受け流し方が異なるため、どちらかに対する建築性能を上げようとすると、もう片方に対する性能が弱まってしまうというジレンマがあるのです。さらに建物の安全基準を満たすため、設計時にあちこちを調整し、シミュレーションを繰り返すことも少なくありませんでした。そこで、地震や台風時の制振構造の動きなどを研究実験で明らかにできれば、よりスムーズかつ優れた設計ができると考えたのです。実験結果によって安全性が担保されれば、今までなかった優れたデザインの建物の誕生につながる可能性もあります。設計者の役に立つ新たな情報を少しでも多く提供できればという思いで、研究に取り組んでいます。

「こんなにいい仕事はない」建築の仕事を通して感じる“やりがい”

主な担当授業は「建築の耐震解析及び演習」と「建築の力学及び演習」です。「建築の耐震解析」は、建築物の振動の特性や構造耐震設計の基本知識を教える授業です。必修科目の「建築の力学」はさらに基礎的な内容になっていて、物の内部や断面に生じる力など、力学をいちから学んでいきます。これらは理系寄りの授業ですが、神奈川大学の建築学部は文系理系問わず入学できるため、文系出身の受講生も少なくありません。そのため、できるだけ文系の学生にもわかりやすい授業を心がけています。力学といった基礎知識は、建築デザイナーなどをめざす人にとっても重要です。かっこいい建築デザインも、その構造や安全性への理解があってこそ実現するものだからです。建築関係の仕事をめざす高校生には、数学や物理の勉強をおろそかにせずにがんばってほしいですね。そして大学生活では、未知の問題と対峙して問題解決力を鍛えながら、教科書のない世界を進んでいくための力を養ってもらえたらと思います。

建築の仕事には、失敗が許されないという重圧がつきまといますが、そのかわり「いい建物を造ってくれてありがとう」と多くの人に喜んでもらえるやりがいがあります。私が大学院時代にお世話になった恩師は、「好きなことで食べていけるだけのお金をいただけて、時々感謝もしてもらえて、こんなにいい仕事はない」とよくおっしゃっていました。建築への道を歩み始めた学生の皆さんにも、そんな素晴らしい経験をしてもらいたいと願っています。

耐震耐風構造研究室

構造物の耐震・耐風安全性・機能性を適切に評価し,安心で豊かな建築を支える。

制振構造・免震構造建築物の地震・暴風に対するふるまいを分析し、制振構造・免震構造の地震・風に対する挙動の予測方法や構造安全性の検証方法・設計法に関する研究を行っています。近年,免震・制振建築物は高層化が進んでいて、その結果風荷重が厳しくなるのですが、耐震性能と耐風性能がトレードオフの関係にあるため、それぞれに余裕を持った設計は実現できません。地震・暴風のそれぞれに対する構造物の挙動を正しく・合理的に把握することこそが総合的な構造安全性の確保や向上につながります。この研究を通して、建築物の構造安全性の向上に貢献したいと考えています。

Photos

  • 市販の製図用定規をナイフで削って使いやすくした竹製の定規です。設計事務所で働いていた時、大ベテランの先輩が使っていらっしゃったのを見て憧れて作りました。設計の検討スケッチや構造設計図の下書きを描くのに使っていました

  • ハワイ島で撮影した星空の写真です。昔から星空が好きで(ただし星座には詳しくない)、旅先できれいな星空に出合うとうれしくなります。「いつか自分で撮影できるようになりたい」と思いつつなかなかできなかったのですが、丈夫な三脚とレンズを昨年買って撮影に挑戦しました。今後も時間をつくって練習したいと思っています

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