Urasawa Satoshi

浦沢 聡士 教授

所属
経済学部
経済学科
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専門分野

景気循環論、GDPナウキャスティング、経済政策

キーワード

Profile

出身地/デュッセルドルフ(ドイツ)
子供の頃の夢/銀行員
好きな食べ物/甘いもの
好きな国/ドイツ

経済学、データ分析を活用して、 世の中の動きに関する自分なりの視点を持とう!

経済学の考え方とデータに裏付けられた専門的な目を養う

経済学部では、「経済政策」の授業を担当しています。経済政策は、成長、公平、安定といった政策目的の実現に向けて、“今(政策を行わない場合)の延長線上にある将来”を変える判断を行うものです。少子高齢化や所得格差の拡大など経済が抱える構造的な課題への取組み、金融危機などのショックに起因する経済の急激な変化への対処など、その理由はさまざまです。
先を見据えて判断を行うことは、経済政策の分野に限らず、私たちが実社会において経済活動を営む中でも、あらゆる場面で求められています。必ずしも決まった答えがない課題・問題へ取り組む際には、何を基準として、どういった視点から課題の解決を図るかといった評価軸に基づいて判断をしていくことが重要になります。そうした際に他の誰でもない自らの見立てに基づく判断ができるよう、学生の皆さんには、私たちの生活と密接に関わる経済の動きを体系的に説明する「経済学」を一つの道具として活用してもらいたいと思います。
経済政策を実施する上では、経済・社会制度に関する理解や経済の現状に関する適切な評価に加え、政策が経済に与える波及メカニズム、およびその効果などについて、理論的妥当性やデータ等の客観的な根拠(エビデンス)を踏まえて判断を行うことが重要となります。授業では、実際に実施されている政策を取り上げ、そうした政策が、どういった理論、どういった根拠に基づく判断であるのか、実施された政策の効果はどういったデータに反映され、どう評価できるのかなど、政策決定の根拠や政策効果の検証等も含めて議論を行うことで、エビデンスに基づく考え方の重要性を学んでいます。理論と現実を結びつけるものとしてデータを積極的に活用していますが、学生の皆さんには、経済学の考え方とデータを通して、現実経済の動き・仕組みを見る、考えるといった“癖”をつけてもらいたいと考えています。

データ分析のコツは、見て、知って、触れて、頭で理解し、体で覚える

私の専門は、経済政策に加え、「経済は、なぜ変動するのか」といった景気をテーマとした実証的な分析です。景気の現状、およびその先行きを正しく評価することは、効果的な経済政策を行う上でも欠かせません。観察されたデータをもとに景気の特性を検証する、日々更新される最新のデータをもとに景気の動きをリアルタイムで把握する、先行きの経済活動を予測するといったように、さまざまな視点から研究・分析を行っています。その中でも特に景気の動きをリアルタイムに把握する“ナウキャスティング”と呼ばれる手法の研究に力を入れています。これは、まさに経済の“今”を知るための取組みですが、こうしたナウキャストの分野では、公的な統計データだけでなく、オルタナティブデータと呼ばれるPOS売上データやクレジットカードの決済情報、ウェブサイトの閲覧数、位置情報などさまざまなデータが活用されるようになっています。
データ分析への社会のニーズが高まる中、ゼミ(演習)では、データ分析に関心を持つ学生の皆さんと一緒に、データ分析の世界への第一歩を踏み出しています。人と知り合い、付き合いを深めていく中で、当初見えなかったその人の特徴に気づくといった経験をしたこともあると思いますが、データ分析も、データと上手く付き合うことが大切です。データが示す特徴や限界を正しく理解するために確率や統計学を学び、また、データに触れるために分析ツールを身につけ、自らの目的に応じた分析を行う訓練をしています。

政策現場で培った実務経験を教育の場で活かしたい

私は、20年にわたり、行政官として、主に定量的な側面から経済政策の企画・立案や景気判断を担うとともに、経済財政白書や経済審査報告書といった政策レポートの執筆、景気分析を中心とした実務応用的な研究を行ってきました。そして、2021年4月から、神奈川大学経済学部で教職に就いています。
行政官として経済の現状分析や政策の企画・立案に携わってきた経験、また、国際機関において日本を含む加盟各国の経済政策の評価・審査を行った経験など、政策現場で培った実務経験を教育の場で活かすと同時に、教育・研究活動を通じて自らの専門性を高めることで、人材育成や実践的な研究の発展に貢献していきたいと考えています。

浦沢聡士ゼミナール

データを使って世の中の動きを“見える化”

産学官それぞれにおいて、「21世紀の資源」とも呼ばれるデータを活用し、社会課題の解決や新たなビジネスの創出に繋げるといった取組が加速しています。このように世の中では、データやデータ分析に対する関心、ニーズが高まっていますが、当研究室では、経済社会活動の“見える化”といったコンセプトのもと、データ分析を通して社会に貢献することに取組んでおり、ゼミでは、データ分析に関心を持つ学生の皆さんと一緒に、データ分析の世界への第一歩を踏み出しています。

Photos

  • “見える化”とは、例えば、風が吹くと桶が良く売れるという経験知があった際に、データを記録し分析を行うことで、風速が1m/s強まった時に桶が追加的に何個売れるか、明日見込まれる風速の下で桶の販売個数が幾つになるのか、といったように両者の関係を定量的に明らかにすることと言えます。このように経験知が“見える化”されることで桶屋の商売はやりやすくなるのではないでしょうか。

SDGsの取組み

地域課題

SDGs・地域課題について

昨今、官民が保有するデータを効果的に活用し、地域社会が抱える様々な課題に応えることが期待されています。こうした中で、国のみならず地域レベルにおいても、エビデンスに裏付けられた政策の実施やエビデンスを構築するためのデータの収集に力が入れられています。
デジタル時代の進展を背景に、位置情報や検索情報、POS売上データやクレジットカードの利用情報などの従来存在し得なかった様々なデータが新たに利用可能となっていますが、こういった新しいデータを地域課題の解決に向けて、どう役立てるべきかを研究しています。こうした取組は、官民データの有効活用といった社会のニーズ、また、データを重視した政策対応といった行政のニーズにも応え得るもの考えています。

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