Watanabe Kuriko

渡辺 久里子 助教

所属
経済学部
経済学科
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専門分野

社会保障論

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Profile

出身地/東京都
好きな音楽/ヨハン・シュトラウス2世「こうもり」
好きな食べ物/葡萄、桃、梨

社会保障制度の効果を実証的に示し日本の貧困を削減するための提案を行う。

少子高齢化に伴って揺らぐ日本の公的年金

「将来年金はもらえない」、「老後2000万円問題」、「不正受給ばかりの生活保護」、「人生100年時代」…。よく見聞きする社会保障の課題を挙げればきりがありませんが、これらは「正しい」のでしょうか。「正しい」少子化対策を行えば、少子化は止まるのでしょうか。高齢者偏重と言われる社会保障を改めると何が起きるでしょうか。

社会保障の範囲は広く、また制度は複雑であるため、どこに問題があるのか理解されないまま、「なんとなく」の思い込みで、あるべき論が語られていることが多くあります。 

例えば、公的年金ですが、日本の公的年金は支出にあたる年金給付と、収入にあたる年金保険料と税等のバランスによって成り立っている制度です。収支の均衡が保たれていれば、公的年金は持続可能です。ただし、今後、少子化によって働き手が減少し、収入つまり保険料と税をこれ以上増やすのが非常に難しくなっている一方で、高齢化によって支出つまり年金給付が大きくなり、収支の均衡を保つ工夫が必要です。高齢者への給付水準を下げて支出を減らせばよいのではと思われるかもしれませんが、日本で最も貧困率が高いのは高齢者で、さらに先進国の中でみても最も高い国の一つです。多く高齢者にとって、主な収入は公的年金ですので、給付水準を下げると貧困に陥る高齢者が増え、日本全体の貧困が悪化する懸念があります。公的年金の給付水準を引き下げることのもう一つの問題は、公的年金の役割の一つである老親扶養の社会化が後戻りすることです。公的年金が成熟化するまでは、子どもが高齢となった親と同居をしたり生活費を支払ったりすることで養ってきました。公的年金があることによって、子どもは親との同居や生活費の負担をせずに済むようになりました。公的年金の給付水準を引き下げれば、これ以上の保険料負担は避けられるかもしれませんが、皆さんが仕送りや同居をする必要性がこれまで以上に増える可能性があります。さらに、皆さん自身が高齢者となったときの年金の給付水準も相対的に下がってしまいます。皆さんは、どういうあり方を望むでしょうか。

私は、日本においてどのような人が貧困に陥っているのか、また公的年金などの所得保障制度が貧困の削減にどれくらい寄与しているのかなど、大規模なデータを用いながら実証的な研究を進めることによって、どのような政策を実施するのがよいのか、その根拠を示す研究をしています。

人生には「消去法」が有効な場面もある

私が担当しているのは、「社会保障論」という3・4年生を対象とした授業です。ここでは、社会保障制度全般について、なぜその制度が必要なのか、どうして始まったのか、どういう給付があるのかなどを基礎から学ぶことができます。授業で大切にしているのは、学生生活を送る際や、卒業後のキャリアにおいて、必要な時に社会保障を利用できるようになること、そして日頃皆さんが素朴に思っている疑問について、自由にコメントしてもらい、学生同士の学びにつなげることです。労災について学んでおけば、アルバイトでケガをしたときに利用できますし、将来、子どもを育てることになった場合、子ども・子育て支援の仕組みを知っておけばきっと役に立つはずです。

学生へのアドバイスとしては、ときには「消去法」で考えることも一つの方法だということです。就職活動を控えると、「自分が好きなことは何か」「自分のやりたいことは何か」と考え、そして見つからないと悩んでしまう人もいると思います。そんなときは、「自分が嫌いなことは何か」「自分のやりたくないことは何か」を考えてみてください。好きなこと、やりたいことが見つけられない人も、嫌いなことを見つけることは意外と難しくないはずです。嫌いなことをするとストレスに感じる人、続けることができない人も多いと思います。嫌いなこと、やりたくないことを全て避けて通る人生は歩めません。ただ、可能な限り小さくするにはどういう選択をするとよいのか。私自身、「消去法」で道を決めたことがありました。研究者となって10年ですが、これが好きなことなのかどうか、さてはて、どうでしょう。ただ、続けられているので、嫌いなことではないのだと思っています。

渡辺久里子ゼミナール

「冷静な頭脳と温かい心」(cool head but warm heart)

「冷静な頭脳と温かい心」(cool head but warm heart)は、著名な経済学者アルフレッド・マーシャルが述べた言葉です。warm heartだけでは物事は解決しませんし、warm headやcool heartであってもいけません。warm heartをもって困っている人に共感し、cool headをもってどうやって助けられるか論理的に考えます。

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  • 豆や淹れ方に特にこだわりはありませんが、毎朝欠かさずコーヒーを飲みます

  • コーヒーは好きですが、多く飲んだり、遅い時間に飲むことは避けており、午後はノンカフェインのハーブティーに切り替えます

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