Profile
出身地/宮城県仙台市
愛読書/ジェイン・オースティン、夏目漱石の小説など。韓国の女性作家の小説も好きです。
休日の過ごし方/東京東部の街歩き、ヨガ・ピラティス、常にたまっている「やることリスト」の消化
好きな食べもの/四川料理(痺れるタイプの辛いものが好きです)
台湾の経済は、私たちに多くの問いを投げかける。
アジアを学ぶと、日本をめぐる問いがみえてくる
台湾と聞いて、皆さんが思い浮かべるのはどんな産業や企業でしょうか。最近(2024年時点)では半導体メーカーの「TSMC」が最先端半導体の開発や生産で世界トップの座にあり、日本にも工場が建てられるなど、注目を集めていますね。しかし、台湾の産業発展のサクセスストーリーは、半導体だけではありません。靴、自転車、オートバイ、パソコンなど、グローバル化がもたらすチャンスをうまく捉えて興隆を遂げてきた産業の厚みがあります。台湾は、政治や社会の面でもとてもダイナミックです。1990年代に民主化を果たして以降、何度も政権交代が起きましたし、中国との関係も、時代とともに大きく移り変わってきました。活発な市民運動の伝統があり、マイノリティの権利や人権への関心が全体に高い社会でもあります。
私の研究分野は「台湾を中心とする東アジアの経済と産業」です。アジア経済研究所で30年近くこのテーマに取り組んできました。台湾も、台湾をめぐる世界の情勢も目まぐるしく変化するので目が離せません。「台湾の産業や企業はなぜグローバル化のチャンスをうまくつかめたのか」といった疑問から「国家とはいったい何なのだろう」「台湾海峡の平和はどうすれば守れるのだろう」といった容易にはは答えの出ない問いまで、実に多くの問いを投げかけてくる、やりがいのある研究対象です。
台湾の経済発展の面白さは、その普遍性と特異性にあります。台湾は日本を含む先進諸国よりも短い時間で急速な経済発展を遂げた“圧縮された発展”の典型的な事例です。後発のアジア諸国が直面する困難や発展のヒントを掴む上でとても良い分析対象です。同時に、台湾が発展を遂げた時期の国際経済の状況や、台湾のそれぞれの企業の取り組みといった固有の条件や時代状況もみえてきます。
アジアという特殊な発展を遂げてきた地域について学ぶ
担当している「アジア経済論Ⅰ」「アジア経済論Ⅱ」の授業では、第二次世界大戦前から現在までのアジアの経済発展の歩みについて学びます。アジアの経済発展は世界の中でも少し特殊で、個別の国が単位となって、ではなく、“地域全体として”急速な発展を遂げてきたのです。バングラデシュが世界有数のアパレルの生産拠点になったきっかけ、ベトナムの最大の輸出品目が携帯電話となった経緯、中国が米国に警戒されるハイテク大国になった過程。こうした点と点をつなぐ太い糸として、アジアという地域を舞台に起きた工業化の国際波及の歴史があります。授業では様々な事例を取り上げながら、アジアが世界で最も先端的なグローバル・バリューチェーンが展開する地域となるに至った過程について解説しています。アジアの事例を勉強していると「日本は今後、世界経済のなかでどのような役割を果たすべきなのか」「アジアとどのような経済関係を築いていくべきか」といった問いが浮かんできます。学生の皆さんにはぜひこうした問題を考えてほしいですね。
学生時代は、自分がどんなことに興味を持つのか、社会のどんなことに対して違和感や疑問を持つのか、といった感覚を大事にしながらさまざまなことに挑戦してほしいです。インターネットの情報などを簡単に鵜呑みにせず、学問の世界に触れ、研究論文や書籍にあたり、自分で調べ、考える習慣を身につけましょう。機会を逃さず、多くのことにチャレンジしてみてください。
アジアの経済・社会
アジアの経済と社会を立体的につかむ
このゼミでは、アジア、特に東アジア・東南アジアの経済発展について多面的に学びます。単に外国事情としてアジア経済を学ぶのではなく、「アジアのなかの日本」「日本のなかのアジア」という視点をもって、アジアと日本の経済面での相互作用について掘り下げていきます。また、経済発展という現象を狭くとらえず、社会科学の視点から、経済事象と歴史的文脈とのかかわり、経済発展と政治変動や社会問題の関係にも広く目を向けます。ゼミ生のみなさんと一緒にアジアの今とこれからを考えたいと思います。
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地域課題
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