Profile
出身地/茨城県日立市
尊敬する人/トム・ホーバス(バスケットボール日本代表ヘッドコーチ)
趣味/スポーツ観戦(NCAAバスケットボール、NBAなど)
休日の過ごし方/料理
好きなTV番組/『魔改造の夜』
好きな映画/『Scent of a woman』
好きな食べ物/梨
環境経済学を通じて、社会システムの中の弱者に目を向ける視点を養ってほしい。
「CO2排出権取引」や「環境税」などの政策を数値で比較する
最近、循環経済(circular economy)と呼ばれるさまざまな活動が国際的に注目されています。これはリユース、リサイクルなどによって資源を効率的・循環的に利用する政府や企業の取り組みです。一方で、他の環境問題とのトレードオフも懸念されています。例えば、資源のリサイクル率を高めるために、大量のエネルギーが必要になり、逆にカーボンニュートラル達成に悪影響を与えるようなことも起こります。こうしたトレードオフの問題を整理したり、解決したりする上で、役立つのが私の専門である環境経済学です。これは、環境と経済の両立を考える研究分野です。なかでも私は廃棄物やリサイクルのテーマを中心に研究してきました。
現在の環境問題の多くは、「市場の失敗」に起因していると考えていいでしょう。私たちの日々の経済活動は、市場を通じて行われます。ただ、市場だけに経済を任せておくと社会が悪い方向に進む場合もあります。その代表例が「環境汚染」です。産業革命後、先進国は経済成長のために、環境に配慮せずにCO2を排出してきました。そこで、人間の行動を環境にやさしい方向に誘導したら多くの問題は解決できるのではないかと考える学問が登場します。社会システム全体を変えていくための手法を検討するのが、環境経済学の役割なのです。
現在、私は経済学部で「環境経済学」の授業を担当しています。授業では、まずどうして環境問題が起こっているのかを考えます。前述の通り、多くの原因は市場の失敗です。では、解決するためにどのような方法があるのか。例えば、「CO2排出権取引」や「環境税導入」といった代表的な各国の政策を比較します。目的は社会全体で環境汚染を削減するコストを最小化すること。そこで、さまざまな政策にかかる社会全体のコストを数値で「見える化」します。その上で、社会で暮らす人々がみんなハッピーになる方法はどのようなものか検討していきます。
また、担当するゼミでは、立教大学、青山学院大学などと共同で、「環境経済・政策インターゼミナール」を実施しています。ここでは計6大学の「環境経済学」を学ぶ学生が集まり、論文発表会をします。研究内容だけでなく、プレゼンテーションのスキルなども競い合うなかで、学生たちは多くの刺激を与え合っているようです。
経済学は複雑な社会課題をシンプルなロジックで整理するツールになる!
環境問題を「自分ごと」として捉え、解決策を検討する学びを通して、学生の皆さんには、社会システムの中で犠牲となってしまった弱者に目を向け、手を差し伸べることができる人になってほしいと思っています。例えば、世界では地球温暖化に起因する海面上昇によって、今いる場所に住めなくなっている人もいます。こうしたグローバルな市場の欠陥によって困っている人を減らすにはどうすればいいか。もちろんこれを解決するのは簡単ではありません。
こうしたグローバルで複雑な社会課題をシンプルなロジックで整理するツールとなるのが経済学だと私は考えます。例えば、排出権取引によって、各国のCO2排出量はどう変化するのか。経済学の知見を用いれば、これを「見える化」できます。このように目の前の問題を少しでも見通しよいものにして、自分ならどうするか考える力を経済学部で身につけてほしいのです。
また、学生時代には、たくさんの人と関わって、なるべく多くの友人をつくってほしいと思います。可能なら海外留学もおすすめです。異なる文化、価値観を持つ人々と触れ合うことで、世界は広い!と実感できます。もちろん、皆さんの身の回りにもあっと驚くような面白い考えを持った人もいるでしょう。自分と違うなと思う人がいたら、ぜひ積極的に関わりを持ってほしいと思います。学生時代に幅広い考えに触れることは、必ず将来の財産になります。

環境経済学研究室 (山本雅資ゼミナール)
単なる知識ではない社会で活かせる骨太なスキルの習得を目指して
山本雅資ゼミナールでは、社会を持続可能なものにシフトしていくためにはどうするべきかを考えています。これは壮大な問いで簡単に答えが出ることではありませんが、身の回りの小さな一歩から積み上げていく経験を重視しています。ゼミのメインとなる活動は3年生を中心に作成するグループ論文の執筆で、他大学との合同ゼミで論文を報告して、学びを深めています。研究テーマは学生の興味関心が高いこともあり、ナッジなどの行動経済学の視点から環境問題への解決を探るものが多いです。自然環境と人間社会のバランスをどのように取っていくべきかに関心があり、体も頭も動かして研究したいなら、ぴったりのゼミナールです。
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