Ohta Hiroki

大田 博樹 准教授

所属
経営学部
国際経営学科
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専門分野

会計学

キーワード

Profile

生年/1972年4月19日
出身地/神奈川県
血液型/B型
子供の頃の夢/ロマンスカーの運転手
尊敬する人/前向きな人
愛読書/地図
趣味/旅行、美味しい物を食べること
休日の過ごし方/読書、散歩
好きな映画/「しあわせの隠れ場所」
好きな音楽/R&B
好きなTV番組/「ダーウィンが来た! 生きもの新伝説」
好きな食べ物/コッテリ系

「お金のいい循環」を生み、よりよい社会を作る。 それが会計が持つ新たな役割です。

私たちの生活は、すべてが会計に直結している

「会計」という言葉は知っていても、それが具体的にどのようなことを意味するのか、よくわからない人も多いでしょう。身近な例ではお小遣い帳や家計簿も立派な「会計」です。そして簡単にいえば企業の「会計」というのは、会社の経営成績を示すものです。企業にとって1年間の利益を計算することは、実はとても難しいことで、たとえば仕入れたけれど売らなかったものは費用にはならず来年度に持ち越しますが、それは「貸借対照表」というものに書いておかなければいけません。あるいは支払い義務が発生していても、まだ現金で支払ってはいないものなど、さまざまな費用を調整して、1年間の正しい利益を計算する方法を考えるのが「会計学」の仕事です。そして、それを記録する計算技法のことを「簿記」といいます。
私が担当しているのは、こうした会計学の基礎的な科目と「原価計算の基礎」「管理会計の基礎」などです。ひとつの製品を作るために必要な費用を「材料費、労務費、経費」に分けて計算し、1個当たりの単価を計算するのが「原価計算」です。その原価に利益を足したものが、商品の価格になるわけです。その「原価計算」の情報をもとに、どうやって会社を効率的にマネジメントできるのかを考えるのが「管理会計」で、経営者が会社をどうすればうまく管理していけるのかという領域です。
皆さんのアルバイト代も原価計算によって決められています。私たちの生活は、すべてが会計に直結している。そういう仕組みを勉強していくのが「会計学」です。

会計が読めると、社会も読める

会計学というのは、社会に出てから絶対に役立つ領域である一方で、学生の関心はあまり高くありません。身近にあっても、なかなか意識することがないのでしょう。そして大学で初めて勉強する学生さんが多いのです。そこで会計嫌いにならないように、誰でも知っている企業の財務状況など身近な事例を授業に取り入れるようにしています。企業が一般に公開している情報や、新聞記事などで使われる「事業本部制」や「カンパニー制」といった専門用語が、管理会計の授業を学ぶことで理解できるようになります。
就職活動に際しても、会計の知識があれば、企業の本来の姿を見抜くことができます。「財務諸表」から企業の利益率などを知ることはできますが、必ずしも利益率が高い会社が働く人にとっていい会社とは限りません。利益率を上げる一番簡単な方法は、リストラや給料カットなのですから。このように会計を読む知識があると、社会を読む知識もついてくるのです。
一般企業を目指す人はもちろん、いずれ独立や起業を考えている人にとっても、会計学は役立ちます。「損益分岐点」や「採算ライン」の計算などは会計の簡単な知識があればできますし、簿記3級程度まで資格を取っておけば、小さな会社なら自分で経理も担当できます。将来、どんな知識が役に立つかはわからないものですが、会計学は特に汎用性が高いと思います。たとえば営業で外回りをするときにも、会計情報が読めれば、「御社の財務状況はこうなので」というような提案ができる。そういう意味で、実社会でも有用な分野だと思います。

企業を正しく判断して「お金のいい循環」をつくるのが会計の役割

私自身が主な研究テーマにしているのは「環境会計」と「CSR(企業の社会的責任)会計」です。たとえば会社の周りに植樹をした結果、環境が良くなって働く人たちの仕事の効率が高まったとします。植樹にかかった費用は計算できても、効率が上がった分はいくらなのかという効果は簡単に数字化できません。このように、環境対策や社会貢献活動のような、企業が得られる効果がお金に換算しにくいものを、会計的にどう測定すればいいのかを考える領域です。
特に現在は、企業価値に社会貢献活動がどのような影響を与えるのかについて研究しています。近年はCSR概念も多様化していて、以前のように環境問題中心ではなく、「ワークライフバランス」や「従業員の多様性」などに注目が集まっています。このような先進的な取り組みにより従業員のやる気が出て、顧客サービスが向上し、最終的に企業価値が上昇するという流れです。これをどのように会計的に正しく評価するのか、実際に企業の社会貢献活動を設計して、実施前と実施後で何が変わったのかを調査しています。
社会貢献に力を入れている企業や、小さくても潜在能力があって可能性のある企業にお金が集まれば、より良い社会を作ることができます。このような「お金のいい循環」を生み出すためには、企業を正しい視点で判断することが大事です。利益だけで判断すると、効率性のみを追求して利益を出している会社にもお金が集まってしまいます。そうではなく社会の役に立つような企業を発掘して、育てるために会計を使っていく。それを実現するのが、こうした新しい会計の分野なのです。
会計というと日々の経理作業のような狭い領域のイメージかもしれませんが、このように実はとても広がりのある学問です。そういう部分に興味がある人が集まってくれると面白いと思います。

4年間の学生生活、後悔しないようにいろいろなチャレンジを

学生の皆さんには、なんでもいいので目標を持って学生生活を過ごしてほしいと思います。人生最後の自由な時間に後悔しないように、いろいろなことに挑戦してみてください。勉強だけでなく、アルバイトでもボランティアでも何か一つ自慢できる経験があると、就職活動や社会に出てから役に立つと思います。
私は旅行が好きで、若い頃はアジアを中心に海外を回っていました。実際に行ってみてわかることがたくさんありますし、社会人になってからその頃の何気ない知識が役に立つこともありました。もちろん日本にもいいところは多いですが、さまざまな異なる国の文化を肌で感じて理解するのは、若いうちの方が絶対にいいと思います。私は以前、短期大学で働いていましたが、短大というのは2年間しかありませんから、1年たったころにはもう就職活動をしなければいけません。それを思うと4年間も学生時代を送れる皆さんは恵まれています。お金は借りられても、時間は借りられません。4年間の学生時代に、ぜひいろいろな体験をしてみてください。

大田博樹ゼミナール

「企業会計の実践的研究」

Photos

  • 専任教員になったときに買った愛用の鞄。使い始めてもう7年目になるが、壊れたら直して大切に使っている

  • 卒業生から贈られたり、旅行先で買ったりしたペン。仕事道具なので、いくつあっても困らない

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