Sensui Hidekazu

泉水 英計 教授

所属
経営学部
国際経営学科
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専門分野

文化人類学、民俗学

キーワード

Profile

出身地/千葉県松戸市矢切
趣味/C級グルメ
子供の頃の夢/船乗り
尊敬する人/横塚晃一
愛読書/トーマス・マン『トニオ・クレーゲル』
休日の過ごし方/子供と遊ぶ
生年/1965年
血液型/O型
家族構成/妻1人、子2人
好きな映画/北野武もの
好きな音楽/沖縄民謡
好きなTV番組/「ためしてガッテン」
好きな食べ物/激辛ものなんでも
好きな国/中国

(写真) イギリス留学時代に親しくしていたケニアの生物学者の友人からもらったケニアの上着を着て

先入観は取り払えるようなものではないけれど、 意識的に向き合うようになってほしい。

宮古島で過ごした人生最高の時

琉球諸島の民俗研究を専門にしています。ドイツ文学科に在籍した学部時代、欧米を基準とする世界観を鋭く批判し、それぞれの文化をそれぞれに考える文化人類学という分野があることを知り、大学院に進む時に専攻を変更しました。
文化人類学は実地調査を非常に重要視します。大学院の修士課程では、宮古島に7ヵ月間滞在して調査したのですが、当時はシーズンオフの島への訪問者はめずらしく、よく自衛隊や航空会社の訓練飛行士と間違われました。ある日入った食事処でも間違われたので、「この島の古いお祭りなどを調査している学生です」と言うと、「あらあら、それじゃあレンタカー代とか大変なんじゃないの?」とお店の車のキーをその場でポンと渡されました。調査で島のあちこちを訪ねるには車は必需品。実際お金がなくて、レンタカーも時間刻みで借りるような状況だったんです。さらに、沖縄独特の暦に興味があるという話になったら、今度は「それなら実家にいっぱいあるよ」とおかみさんが上野村(宮古島市)新里の実家に電話をしてくれました。「今から学生さん行くからよろしく」みたいな(笑)。滞在費を捻出するために塾の先生をさせてもらっていましたが、島に大学生がいないこともあって、みんなとても喜んで僕を受け入れてくれました。人に対する信頼の凄さを感じた7ヵ月でした。
そこからイギリスの大学院で博士課程に進み、もう一度、実地調査で宮古島に舞い戻り、前回とても仲良くなったおばあちゃんの家、上野村新里の農家の家を借りて1年過ごしました。僕が島を去ってから不幸があったと聞いていたのでお線香をあげに伺ったところ、僕がおばあちゃんととても仲が良かったことを知っていたご長男が家をタダ同然で貸してくれたのです。島での生活は、信頼という出会いにたくさん恵まれた人生最高の日々でした。

自分が持っている先入観とは

初めの就職先は三重県の短大でした。栄養士や保育士、養護職員を目指す人たちに、「これまでの研究からどんな話ができるだろう」と考え、「障害学」に辿り着きました。障害学は、「医療と社会福祉の観点から社会復帰(リハビリテーション)をもって障害者問題の解決とみなす」従来の理論の枠組みを根本から覆す、社会学の比較的新しい分野の一つです。この障害学の観点から、差別や偏見が生まれる仕組みについて考えるゼミがスタートしました。
僕が携わってきた沖縄でも、例えば、方言とか訛りなど言葉の差別問題がありますが、これは標準語、つまり「東京に合わせる」という考えから生まれる問題です。「これで良いんだ。これが俺たちの文化だ」という態度をとれば問題は消えます。「これで通じるかな。東京では違うんじゃないかな」と擦り寄った考え方をしているうちは、実は弱い立場を強めてしまうものです。
障害の問題も同じ。「リハビリしなくちゃ。健常者と同じようにしなきゃ」という障害を持った人の心理がなくなれば、障害のある身体に対する否定的な価値は消えるのです。障害学では、障害を一つの文化として捉え、障害者がありのままの姿で生きる価値を主張します。その上で、これまでの障害に関する解説や政策は、社会の大多数であるいわゆる健常者による健常者のためのものではなかったかという疑問を投げかけます。地域性も障害も一つの個性であって、決して差別の対象となるようなものではありません。
多くの人は無意識のうちに特定の価値観を唯一のものとして受け入れてしまっています。差別を差別と気づかないのは、先入観、特定の価値観があるからです。メディアが流す情報を分析していくと、そこに潜む特定の価値観をえぐり出すことができます。そうした分析技術を身につけることで、差別や偏見の仕組みを真に理解することもできるようになります。先入観というのは取り払えるようなものではありませんが、自分が持っている先入観というものに、意識的に向き合ってほしいと思います。

泉水英計ゼミナール

地域誌研究とは、特定の地理的単位についてその性格を明らかにする研究です。系統的な個々の学問の境界を越えて、むしろ、地形や気候などの自然事象と、歴史や言語、産業などの文化事象の相互関係を総合的にかんがえることに重点があります。たとえば、日本史の知見は地域誌研究においても東アジア地域研究においても重要ですが、国家を単位に系統づけられた日本史の視点すなわち京都や江戸・東京の視点からは見逃されてしまう事象の探求に地域誌の醍醐味があります。キャンパスを中心にした地域(みなとみらい、横浜、神奈川など)を題材にして地域誌研究における情報収集と情報分析の方法を習得し、学生それぞれが研究課題を設定し、地域誌の作成に取り組みます。

Photos

  • 宮古島の三味線

  • それぞれの家で代々使われてきた沖縄独自の暦。日の善し悪しを見たりする。これをもとに一般の暦を作る人もいる。昔は占いなどにも使われていた

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