Takano Atsushi

髙野 敦 教授

所属
工学部
機械工学科
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専門分野

航空宇宙工学、構造力学、複合材料

キーワード

Profile

生年/1974年
出身地/東京都
血液型/A型
子供の頃の夢/街の電気屋さん
尊敬する人/坂本龍馬
愛読書/司馬遼太郎の作品、中村元などの仏教概説書
趣味/電子工作や身の回りのモノの工作・修理
休日の過ごし方/外出、電気製品・家具などの修繕
好きな映画/「スターウォーズ」
好きなTV番組/「出没!アド街ック天国」「北斗の拳」
好きな食べ物/東南アジア・南アジア料理

大学では学問をするだけでなく、 課外活動などを通した経験や生涯の友をつくることも重要です。

航空機や宇宙機に使われる部材の強度を研究

私の専門分野は、材料力学と構造力学です。研究では、主に航空機やロケット、人工衛星に用いられる薄肉構造部材の座屈と呼ばれる破損現象や、継手部の強度の研究、それらの統計的評価などに取り組んでいます。
たとえば、1本の針金を両端から引っ張ると、かなりの力で引かないと、ちぎれませんよね。逆に両端から押すように力を加えると、簡単に外側にたわんで変形します。こんなふうに圧をかけると、たわんで力を支えることができなくなることを座屈と言います。この現象は針金に限らず、柱や薄い紙でも板でも同様に起こります。当然、航空機や宇宙機に用いられる、板を曲面にした円筒殻でも、圧縮の荷重で座屈してしまうことがあるわけです。そこで、これまで多くの人がその理論を研究し、著しい進歩を遂げているコンピュータで解析してきたのですが、いまだ実際の実験結果とコンピュータの解析結果が合致することはありません。まだ理論が実際に追いついていないのです。
そうなると、なぜ実際と理論に差がでるのか、その原因を調べようという研究が生まれてきます。一方、企業など、モノづくりの現場では、今すぐモノをつくらなければならないので、原因究明を待っている時間はありません。ですから原因はよく分からないけれど、実際と理論の間を統計学で繋いで、モノづくりが進められているのです。私自身は、これまで企業で人工衛星の機構・構造設計に携わってきた、まさにモノづくりの現場に身を置いてきた人間です。ですから理論と実際の間にある差について原因究明していく研究はもとより、過去のデータと理論を比較し、統計的にこれくらいの値であれば大丈夫だという、今すぐ設計に使うための数値を導き出す研究に取り組んでいます。
また、材料力学や構造力学をベースにした、超小型ロケットの開発にも挑戦しているところです。近年、さまざまな大学で超小型衛星の開発が盛んに行われていますが、それを飛ばすときは、JAXAなどが打ち上げる人工衛星用の大型ロケットに相乗りさせてもらうという方法が主流です。しかし、それでは打ち上げ回数が限られるうえ、主目的の人工衛星やロケットにスケジュール遅れなどの不具合があれば、相乗りしている超小型衛星にも影響が及んでしまいます。そこで超小型衛星専用の超小型ロケットを開発しようと取り組んでいるのです。まずは手始めに、国内のロケットコンテストへの出場を目標に学生と一緒に頑張っています。

夢中で取り組んだ人力飛行機の設計・製作が貴重な経験に

大学生の頃は、モノづくりをしたくて、人力飛行機をつくるサークルを立ち上げ、夢中になって取り組みました。人集めから始まり、場所の確保、費用の工面、設計・製作方法の模索や習得と、何から何まで学生だけでゼロから立ち上げたのです。今、振り返ってみても、このときの経験は、非常に大きかったと思います。人力飛行機をつくるには、材料力学や流体力学といった学問が不可欠ですが、講義で学んだそれらの知識を応用し、実践に繋げられたのが、このサークル活動でした。また、人力飛行機の設計・製作には、大学で学ぶこと以上の知識も必要となるため、自分たちで調べて能動的に学んでいく経験もできました。そうした積み重ねの結果、今の私の専門である材料力学や構造力学を身に付けることができたのです。
また、サークルでは「鳥人間コンテスト選手権大会」に出場し、記録を出すことを目標に取り組んでいたので、費用や人手など制約の多い中でスケジュールを組み、いかに期限内に完成させるかというマネジメントも経験できました。それは就職して携わった人工衛星の構造設計で、大いに役立ったと思います。
大学は学問をするところですが、それだけではありません。課外活動などを通してさまざまな経験をしたり、単なる遊び友達ではない友人をつくったりすることも重要だと思います。現に私の場合、当時、一緒になって人力飛行機の製作に取り組んだ仲間とは、20年経った今でも交流が続いています。学生の皆さんにも、大学時代にぜひ生涯の友をつくってほしいと思います。また、失敗は若いうちにしかできません。失敗を恐れることなく、学生の間にいろいろなチャレンジをしてみてください。

航空宇宙構造研究室

小型衛星を安価で打ち上げる超小型ロケットの開発を手掛ける

航空機や宇宙機には、軽さと高信頼性が強く求められ、それを実現するには構造設計の進歩が不可欠です。一方で、コンピュータによる解析手法は格段の進歩を遂げているものの、薄肉構造の座屈という破損現象や、継手部の強度、強度の統計的評価など、未解決分野が多くあるのが実情です。当研究室では、それら構造設計の未解決分野の研究に取り組んでいます。 大学における超小型衛星の開発が近年盛んになっていますが、大型ロケットに相乗りする形でしか打ち上げられないため、その機会は限定的です。そこで私たちは、ハイブリッドロケットと呼ばれるロケットエンジンに着目。超小型衛星を安価で迅速に打ち上げるための、超小型ロケットの開発も手掛けています。

Photos

  • 前職企業にて製造されたトルコ向け通信衛星“Turksat 4A/4B”の軌道上想像図。現在もこれら衛星や宇宙機の軽量化につながる研究を進めている

  • 小学3年生のとき、組み立てキットでつくったデジタル時計。今でも自宅で愛用している

  • 構造解析ソフト「Patran」で航空機の翼の強度を解析

  • 当研究室で開発したロケット打ち上げの瞬間

  • 当研究室で開発したロケットの機体から撮影した写真

  • 2018年ロケット打ち上げ前

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