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2024.12.16

航空宇宙構造研究室(高野敦教授)と宇宙ロケット部によるハイブリッドロケット飛翔実験が成功

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ハイブリッドロケット到達高度の日本記録を持つ、神奈川大学工学部機械工学科の航空宇宙構造研究室(高野敦教授)と宇宙ロケット部は、12月14日(土)6時50分に福島県南相馬市にて合同で飛翔実験を行い成功しました。自らが2021年9月に記録した到達高度10.1㎞の日本記録を達成したかどうかは現在データ解析中です。今回の飛翔実験では、社会実装を見据え、展開式GPS発信機の実証実験、改良型分離機構等の実証実験のほか、社会問題となっている海洋プラスチックを再生させ着火剤として使用しました。

航空宇宙構造研究室と宇宙ロケット部は「高度100kmの宇宙到達」を目標に掲げ、超小型ロケットの開発・製作を2014年より行っています。ハイブリッドロケットには安全性、低コスト性、環境への負荷軽減など様々な利点があることから、次世代のロケット技術として多方面から注目を集めています。

 

高野敦教授(工学部機械工学科)のコメント

非爆発性のため安全性が高いハイブリッドロケットの国内高度記録10.1㎞を自己更新すべく打ち上げを行いました。

1段目のフェアリング展開および2段目の段間分離、それぞれのパラシュート展開に成功し、海面への軟着水、機体の大部分の回収に成功しました。到達高度については、無線によるデータが9,000mでいったん途切れたため、現在、回収した機体のデータを精査して正確な高度を分析中です。

最近、SPACE-Xなどでロケットの回収・再利用が着目されていますが、このサイズの機体でほぼすべて機体を回収できた例は少ないと思います。特に高強度チタン合金タンクは若干の損傷で回収に成功しており、今後の再利用の第一歩となったと思います。また、分離に成功したため、将来の多段化についても技術確立ができたと思います。さらに、ガンダムオープンイノベーションの一環として、三菱ケミカルが海洋から回収し、ペレット状にしたプラスチックを信州大学にて成型・加工した海洋再生プラスチックを着火剤とした点火にも成功しました。加えて従来分解しがたく再利用が困難であった炭素繊維強化プラスチックに対し、本学理学部の木原伸浩研究室にて開発された、台所用漂白剤などで分解可能な酸化分解性樹脂を用いた炭素繊維複合材を搭載し、回収できたため、荷重負荷後の海没による強度などの特性評価が可能になったことなど、学術的な成果が多く得られました。

最後に、決して楽ではない研究・開発・打ち上げ作業に最後まであきらめずやり切った学生たちを誇りに思います。
 

航空宇宙構造研究室・宇宙ロケット部 学生代表 鈴木悠介さん(工学部機械工学科4年)のコメント

今回の打ち上げ試験は多くの方々の助けがあり、成り立ちました。試験に携わっていただいた皆さんに感謝いたします。

ロケット打ち上げに至るまでに本当に多くの苦難がありましたが、何とか乗り越えることができました。打ち上げ実験代表の私も研究室やロケット部の院生・学生の仲間に支えられながら打ち上げに挑むことができ、個々としては未熟ながら、チームとしての力で日本一のハイブリッドロケットを打ち上げ出来ることが証明できて嬉しいです。これからも日本のハイブリッドロケットを牽引していく存在であり続けられるように日々精進して参りますので応援よろしくお願いいたします。
南相馬の方々、高野先生、幡野先生、高野研究室の学生、宇宙ロケット部の学生、その他ご協力いただいた皆様、この度は本当にありがとうございました。

 

協力会社一覧(順不同)

福島県南相馬市、相馬双葉漁業協同組合、Astro Gate(株)、公益財団法人JKA、ツツミ産業(株)、(株)須藤製作所、(株)ナベショー、三菱ケミカル(株)、日鉄ケミカル&マテリアル(株)、丸紅情報システムズ(株)、スーパーレジン工業(株)、(株)フルハートジャパン、堤工業(株)、(有)里中精機、(有)孝治工業、藤木企業(株)、(株)横浜国際平和会議場[パシフィコ横浜]、小林運輸(株)、(株)成田製作所、(株)ティーダイレクト、イッツ・コミュニケーションズ(株)、ガンダムオープンイノベーション (株)バンダイナムコ研究所、みなとロケット(株)

 

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