Hasegawa Mitsugu
長谷川 実嗣 特別助教
Profile
出身地/神奈川県
趣味/古いオートバイの草レース
休日の過ごし方/旅行、オートバイいじり、ツーリング
好きな食べもの/味噌ラーメン
流体工学の視点で、乗り物の燃費削減につながる表面構造を探る。
乗り物の「流体抵抗」を低減することで省エネを実現
私の専門は流体工学で、工学と化学の力によって形成される表面を用いた流れの制御手法を研究しています。例えば自動車や飛行機など、身近な乗り物が風を切り裂くように走る姿を想像してみてください。走行中に生じる空気抵抗は、乗り物の前進を妨げ、燃費にも影響を及ぼします。前述の空気や、水などの流体から物体が受ける抵抗を「流体抵抗」といい、その低減をめざす流体制御手法が、私の主な研究テーマです。他にもプロペラ周りの気流を制御してドローンなどの風切り音を抑える手法や、防氷コーティングを用いた航空機や地上構造物への防除氷手法に関する研究も行っています。
なかでも注目しているのが、表面構造を変えるコーティングです。昨今の研究から、一定の条件の下で毛を表面にコーティングすると、流体抵抗を抑えられることがわかってきました。今後さらに調査と技術開発が進んでいけば、身近な乗り物の流体抵抗を抑え、燃費削減による省エネ化を実現できるかもしれません。表面加工の技術なのでものづくりに近い感覚もあり、その可能性にワクワクしています。
そもそも私が工学分野の研究を志したきっかけは、高校生の頃にハマったオートバイでした。高校卒業後、社会人になってからもツーリングやオートバイいじりが好きで、趣味の延長で整備士免許も取得しました。さらに汎用的な知識を身につけたいという思いから、当時勤めていた会社を離職して大学へ入学。研究者の道に進みました。進学先の工学部では、バイクに限らない普遍的な機械工学について専門的に学ぶことができ、視野が広がりました。研究者の道に進んだ際、流体工学を専門として選んだのは、当時お世話になった先生が見せてくれた実験に惹かれたためです。「先生と一緒に研究がしたい」と研究者の道を志し、今に至ります。
多種多様な人から受ける刺激が、自身の成長につながる
私は現在、1年生を対象とした「数学演習Ⅰ」「数学演習Ⅱ」の授業を担当しています。機械工学では、材料力学、機械力学、熱力学、流体力学という通称“四力”の理解が不可欠です。この四力で説明される多くの物理現象にはなんらかの法則が存在しています。その物理現象と法則の関係性を解き明かしていくうえで欠かせないのが、“道具としての数学”です。実際に数式を解く作業はコンピュータに任すこともできるので、あまり構える必要はありません。意味を理解し、必要に応じて数式を正しく活用できる力を身につけてもらえたらと思っています。とはいえ、学ぶ理由や意義がわからないままでは、学ぶ気力が湧いてこない学生もいるでしょう。そのため毎回授業の最初には、その数式が必要となる領域分野や、実際に活用されている身近な事例を解説するようにしています。道具としての数学を学ぶ意義を知ることで、モチベーションにつながればうれしいです。
私の場合は、大学時代に偶然出会った「流体抵抗」が自身の専門テーマになりました。だからこそ学生の皆さんには、大学在学中にさまざまな物事に触れてみてほしいです。自分の興味関心がすでに明確な人は、それをどんどん深掘りしてください。自分のやりたいことがわからないという方も、とにかく手や足を動かすことで、何かしらの発見があるはずです。また、いろいろな人と出会い、刺激を受けてみてください。先生にしても学生にしても、驚くほどすごい人や面白い人、いい意味で変な人など、多種多様な人に出会えるのが大学です。そんな人たちと関わって新しい考え方や価値観に触れることは、自分を成長させるきっかけになるはずです。
私自身も、ご縁があった先輩方から刺激を受けるとともに、成長の機会をいただいてきました。大学には、自分から求めればチャンスを与えてもらえる環境が整っています。ぜひ自由に楽しく、自分のやりたいことを模索し突き詰めてみてください。
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