Mitsubayashi Seiji
三林 誠治 特別助教
Profile
出身地/三重県
子供の頃の夢/国土地理院職員
尊敬する人/大学の恩師
愛読書/歴史小説(司馬遼太郎)、『ONE PIECE』
趣味/史跡巡り
好きな音楽/洋楽(Green Day、LINKIN PARK、Bruno Marsなど)
好きな食べ物/和菓子(やきもち、長五郎餅、千なりなど)、海老芋の唐揚げ、呼子のイカ
天然繊維を用いた環境負荷の少ない強化プラスチックをつくる!
産業界のニーズが高い「材料力学」という研究分野
持続可能な開発目標SDGsに注目が集まっています。私が携わっている「繊維強化プラスチック(FRP)」の研究でも同様で、最近は環境に配慮した材料が求められています。そこで私は、天然繊維と生分解性プラスチックを組み合わせた「グリーンコンポジット(天然繊維強化プラスチック)」を用いて、環境負荷の低減に貢献できる材料の開発をめざしています。
グリーンコンポジットには炭素繊維やガラス繊維を用いた他のFRPと比べて繊維と樹脂とが接している部分(界面)での接着性が弱いという欠点があり、それが「引っ張り」や「曲げ」の強度の低下につながる要因になっています。そこで私は、グリーンコンポジットの強度を向上させるために、竹・ジュート・麻などの天然繊維を用いた強化プラスチックの界面での接着性の改善に関する研究に取り組んでいます。例えば、セルロースナノファイバー(CNF)という植物由来の微細な繊維を天然繊維に添加することにより、繊維の周りの樹脂の結晶化を促進させ、接着力を高める工夫をしています。ここで「材料力学」という学問が役立っています。
「材料力学」は、「流体力学」「熱力学」「機械力学」と並び、機械工学の基礎となる「4力(よんりき)」のひとつとされています。材料力学は機械や構造物の変形・破壊特性を知るためには欠かせない学問であり、機械工学の中では最も根幹的で重要な学問といえます。そのため産業界からのニーズは極めて高く、研究室で「材料力学」のテーマに取り組み、有名企業に就職を決める学生も多いです。
「考える習慣」をつけながら、幅広い経験をしてほしい
担当している「MデザインA」では、実物のマイコンを用いて機械の制御に関する基本事項を学びます。マイコンとは、電気機器を制御するための小さなコンピュータのことです。マイコンを動かすためには、プログラミングによって、命令を論理的に伝える必要があります。これは、あらゆる情報を適切に選択・活用して、複雑な問題を解決する訓練になります。ロボットや機械を動かす楽しさを感じながら、プログラミングを通じた課題解決力を自然に伸ばせるような授業を心がけています。
授業や研究を通じて、学生の皆さんには、実社会で役立つ力を養ってほしいと思っています。それは疑問を持つ力、チームで何かをやり遂げる力、失敗しても粘り強く取り組む力などです。研究をする上では、常に問題意識を持ち、自分なりの仮説を立てて課題解決に挑む必要があります。当然、仲間とチームをつくり、粘り強く成果を上げる努力も求められます。将来をイメージしながら、これらの力をどのように身につけるべきか学生時代から考えられるといいですね。
そして、学生時代は、些細なことでもいいので、未知の領域に挑戦してほしいです。挑戦で得た経験から学び、次の行動に活かすサイクルを回してください。社会に出ると自分が何をすべきかなど誰も教えてくれません。自分なりにさまざまな情報を集め、考え、判断し、行動することが求められます。これらの取り組みには、知識だけでなく、それをもとに判断するための思考力も求められます。結局、大切なのは「考える力」なのです。思考力を養うことで、自分の視野や価値観はどんどん広がっていきます。日頃から「考える習慣」をつけながら、幅広い人生経験を積んでいってほしいと思います。
材料力学研究室
環境負荷低減に貢献する材料開発をめざす
機械工学の基礎である材料力学をベースとした研究を行っています。近年、金属より軽くて強い複合材料のCFRP(炭素繊維強化プラスチック) がレーシングカーや航空機の機体に使われています。私たちはCFRPの層間破壊じん性(壊れにくさ)やクリープ特性(一定荷重下の時間経過にともなう変形)に関する研究を実施し、CFRPを使った車両部品の設計にも取り組んでいます。また、環境への配慮という観点から、麻や竹、ココナッツなどの天然繊維と生分解性樹脂を使った「グリーンコンポジット(天然繊維強化プラスチック)」の研究も行っています。今後、自動車の軽量化もますます進むことが予測されます。機械の軽量化や環境負荷の低減に貢献できる材料を開発することが私たちの目標です。
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地域課題
SDGs・地域課題について