Kojima Mizuki

小島 瑞輝 特任助教

所属
情報学部
システム数理学科
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Profile

出身地/東京都
子供の頃の夢/医者→学校の先生
尊敬する人/指導教員だった先生
趣味/猫の動画を見ること
休日の過ごし方/自炊
好きな食べ物/甘いもの(あんこは苦手)

問いを深めるたびに世界が広がる。考え抜く時間こそ、研究の醍醐味。

複雑な世界を「数式」で捉える、偏微分方程式の魅力

「偏微分方程式」の研究をしています。こう話すと、少し難しそうに聞こえるかもしれません。でも、実は私たちの身の回りには、偏微分方程式が描き出す世界がたくさんあります。

高校で学ぶ方程式といえば、二次方程式や連立方程式など「数を求めるもの」が中心です。一方で、私の研究対象である偏微分方程式は、気温の変化や株価の推移、水の温度の伝わり方といった時間や場所によって変わるものを「関数」として表し、それらの変化を記述するものです。

なかでも私が扱っているのは、「非線形性」や「非局所性」といった性質を持つもの。非線形性とは、足し算や掛け算が単純に成立しない、いわば「融通の利かない」関数のふるまいを指します。非局所性というのは、ある一点の状態が過去の履歴や遠くの情報に影響されるという性質です。例えば、汚染物質が地中でどのように拡散していくかを考えるとき、この非局所性が重要になります。

私の研究では、そうした複雑な方程式の「解」を求めたり、どんな性質を持つのかを調べたりしています。ただし、厳密な解を求めるのは非常に困難です。このため、「近似解」や「優解劣解」と呼ばれる不等式を使ったアプローチなどを取ることもあります。様々な道具を駆使して、雲をつかむような手探りの中で、少しずつ手応えを探していくような作業です。

何かの条件が「カチッ」とはまって、「これだ!」と思える瞬間が研究にはあります。それは数カ月に一度くらいの頻度です。最初は何もわからない状態から、少しずつ道筋が見えてくる過程が面白いですね。

高校数学の先に広がる「微分積分」と「線形代数」

私が担当している授業では、主に「微分積分」と「線形代数」を教えています。どちらも理系の基礎となる重要な内容で、多くの学生にとって「大学数学の入口」となる授業です。

「微分」は変化を、「積分」は蓄積を捉える数学です。例えば、自動車のスピードメーターは、その時点の位置の変化率、つまり微分にあたる値を示しています。積分はカーブを描くグラフの下の面積を求めるようなもので、蓄積された量を示します。

一方、「線形代数」はとてもざっくりといえば直線や平面のような「まっすぐ」な対象を扱う学問です。高校で学ぶベクトルをより抽象化した体系です。

大学の数学は難しく思えるかもしれませんが、高校までの数学からつながっているので、高校数学をしっかりと身につけておけばきっと面白いと思います。

また、大学数学では、高校数学と比べて「問い」を立てることが大切になってきます。自ら問いを立て、その問いに対して考え続ける姿勢が、大学で学ぶ意味のひとつです。

「わからない」を抱え続ける力――学びの本質は問い続ける姿勢にある

学生に求めたいことは、「すぐに答えを求めないこと」です。私は、「頭の良さ」には2種類あると考えています。素早く正確に解を導き出す力と、じっくりと時間をかけて考え続ける力です。受験には前者が必要ですが、研究ではむしろ後者が求められます。

大学での学び、特に数学のような学問では、「わからないこと」が前提になります。私自身も、問題を考え続けて数カ月後にようやく「これだ」と思える瞬間を迎えることがあります。そこにたどり着くまでの時間を耐え抜けるかどうかが、学びの深さを決めると考えています。

高校生の皆さんには、ぜひ「当たり前を疑ってみる」姿勢を持ってほしいと思います。特に数学の勉強でいえば、普段何気なく使っている公式や定理などの意味やその証明、例などを気にするという癖を持ってもらいたいです。すると「知っているつもり」だったものに対しても新たな視点が加わり、勉強がより深いものになると思います。

また、大学生活では勉強以外の挑戦も大切です。私は大学時代、もっとアルバイトやサークル活動に積極的になればよかったと少し後悔しています。学生のうちは失敗しても、取り戻せる時間があります。ぜひさまざまな経験をして、自分の可能性を広げてください。

大学の授業は、いわば「サブスク型のサービス」です。同じ授業料を払っているなかで、それを無駄にするのも、サブスクを使い倒して自分のものにするのも皆さん次第です。大学では自分から動かなければ何も得られませんが、動けば可能性はどこまでも広がっていきますよ。

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  • 数学の本:大学4年生の時に、同じ研究室の仲間と持ち回りで勉強を進めた本。今まで読んだ本の中で、1行1行をいちばんじっくり読んだ本です。あいまいな理解にとどまらず、論理的な根拠に基づいて一つひとつの概念や手順を丁寧に確認しながら勉強した経験が今でも活きています

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