Seiji Yamada
山田 誠二 教授
Profile
出身地/兵庫県
子供の頃の夢/ミスター・スポック
尊敬する人/養老 孟司
趣味/音楽鑑賞(ポストパンク)
好きなTV番組/『ウルトラQ』
好きな映画/『インターステラー』
好きな著名人/John Lydon
好きな食べ物/鶏卵
人を理解して、AIをデザインする。「心理」と「技術」の両方で未来をつくる
人とAIの協働をデザインする研究
私が専門とする「ヒューマン・エージェント・インタラクション(HAI)」は、ひとことで言えば「人間とAIがどのように協力し合えるか」を探究する学問です。これまでのAI研究は、「どれだけ賢いAIをつくるか」を追求してきました。一方実際のAI利用は、オフィスでも家庭でも、たいてい「人間のそば」で行われています。それにもかかわらず、「隣に人がいる前提」でAIを設計する発想は、長い歴史の中で十分に扱われてきませんでした。
そこで私は、AIと人間を「ペア」として最適化する研究を進めてきました。具体的には、AIの「外見」や「ふるまい」が、使う人の心理にどのように影響するか、といったことを調べています。15年前に私たちの研究チームがこの概念を提唱し、現在では国際会議も10回以上開催される分野へと発展しました。
たとえば、映画『スター・ウォーズ』シリーズのC-3POのような人型ロボットが音声認識に一度失敗すると、人は裏切られたような感覚を抱き、大きく失望します。外見が立派すぎると、その分だけ「人間並みにできるはずだ」という期待が膨らむからです。一方、R2-D2のような「かわいらしい非人型デザイン」なら、多少の失敗は許されやすい。こうした外見と能力のズレを「適応ギャップ」と呼びます。AIには、性能に見合った外見や距離感が必要で、必ずしも人間そっくりである必要はありません。むしろ、「心を通わせたいときだけ通い合う」という設計が最適です。
あるいは身近な例で言えば、お掃除ロボットを想像してみてください。お掃除ロボットが机にぶつかり、前後に小さく動いて「行き詰まっている様子」を示すと、「困っているようだ、手を貸そう」と考えると思います。このように、最小限の動きで人の心の「助けたい」という気持ちを刺激することが、自然で気持ちのよい協働につながります。今後どれだけ技術が進んでも、AIが人から離れて単独で働く場面は非常に限られています。だからこそ、人とAIの「協働」をどうデザインするかが、よりよい未来の鍵になると考えています。
AIやデータ分析は、興味さえあれば誰でも始められる
授業は、1~4年生向けに「教養データサイエンス」「教養デジタルテクノロジー」を担当しています。文系・理系を問わず受講でき、200名規模の学生が集まる人気科目です。
授業設計の目的は、情報を学ぶハードルを下げること。前向きに学べることが何より大切だからです。文系の学生のなかには数字が苦手な人も少なくありません。このため、授業で数式を極力使わず、概念を直感で理解することを重視しています。その結果「数学は苦手でも内容が入ってきた」「初めてAIが身近に思えた」という声を学生からよくもらいます。
学生のなかには、文系学部からデータサイエンスに興味を持ち、専門科目の履修へ進む学生も増えています。一部の授業ではPythonプログラミングに触れますが、私はよく「プログラミングは外国語学習に非常に近い」と伝えています。覚える単語は数十語程度、文法もシンプル。言語としての難易度はむしろ低く、語学が得意な文系の学生ほど早く上達することも珍しくありません。コードを書けばすぐに返事が返ってくるという即時性は、学習の楽しさにつながります。
AIやデータ分析は、どんな分野に進んでも役立ちます。最初から専門書に挑む必要はありませんので、まずは一般向けの新書や、わかりやすい解説書を読むことを強く勧めます。概念が理解できれば、数学やプログラミングはあとから追いついてきます。
研究室で行うHAIの研究では、心理学の実験手法(アンケート、独裁者ゲーム、統計検定など)と、工学の実装(UIデザイン、プログラミング)を組み合わせて行います。学生はWeb実験システムを自作し、数百人規模でデータを収集します。人間の心理を評価し、その結果をエージェントのデザインや実装につなげる。これが HAI の研究です。AI分野では毎日膨大な論文が発表され、すべてを追うことなど到底できません。だからこそ、「自分が深める領域をしぼり、最高レベルの研究だけを追う」という姿勢が重要になります。トップカンファレンスの情報を追うだけでも、最前線の動きは十分に把握できますよ。
大学4年間は、未来を広げる「最も自由な時間」
大学時代は人生で最も自由な時間です。どのように時間を使うかは自分次第。社会に出ると、1週間を超える旅行は新婚旅行くらいしか行けないという人も珍しくありません。だからこそ、学生には旅に出ることをおすすめします。私は国際会議等で世界を訪れてきましたが、海外での体験は「自分の当たり前」を揺さぶります。電車が1時間遅れるのは普通、エスカレーターが止まっているのも日常。日本では考えられないことが、世界では普通に起きます。こうした環境に触れることで、視野は一気に広がります。特に20代前半までは価値観が大きく揺れ動く時期です。1〜2週間でも海外に出れば、生きるうえで重要な「想定外への耐性力」が身につきます。広い世界に触れ、自分だけの学びを積み重ねてください。大学4年間は、そのための時間です。
AIインタラクション研究室
人間とAIの新しい関係をデザインする!
AIそのものの研究も大事ですが、本当に必要なのは、人間が使いやすいAI、一緒に働いていけるAIの研究や開発だと考えています。この考えに基づいて、山田研究室では、人間と一緒に楽しく協調作業のできるAIエージェント・ロボットを目指して、UI・UX、信頼構築、高速な機械学習などの研究を心理学的なアプローチで行っています。人間とAIの両方に興味がある学生には、おすすめの研究室です。
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