Narimatsu Akihiro

成松 明廣 特別助教

所属
情報学部
システム数理学科
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専門分野

量子ウォーク

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Profile

出身地/兵庫県
子供の頃の夢/ウルトラマンになる
尊敬する人/指導教員の今野紀雄先生と、お世話になった臨床心理士の橋本和典先生
愛読書/好きな台詞があるので、夏目漱石『こころ』
趣味/料理、ゲーム、散歩など
休日の過ごし方/翌週の準備や料理や昼寝をしたり、人に会ったりゲームをしたり
好きな音楽/『If we hold on together』(ダイアナ・ロス)、ゲームミュージック等
好きなTV番組/『相棒』
好きな映画/『サウンド・オブ・ミュージック』
好きな食べ物/生姜焼き、餃子

確率の理論モデル「ランダムウォーク」を、量子の世界で応用する方法を探る。

不規則な事象の推定に活用されるランダムウォーク

私が専門としているのは、「ランダムウォーク」と呼ばれる確率に関する理論モデルです。実は高校の数学の教科書にも登場するのですが、皆さんは学んだ覚えがあるでしょうか? ランダムウォークを少しわかりやすく理解するために、一般的な数直線とその上を移動する点をイメージしてみてください。最初、点は数直線上の原点、つまり0の位置にあって、コインを投げて表が出ればプラスの方向に1、裏が出ればマイナスの方向に1進むというルールを決めたとします。このルールでコインを何度も繰り返して投げたときに、点はどこに位置する確率が高いのか。この不規則な動きを推定することが、ランダムウォーク研究の主な内容です。ランダムな動きを推定するという点で応用の幅は広く、金融市場における株価変動の予測などに用いられています。もちろん、確率によって社会の動きをすべて予測することは不可能ですが、多様な要素の影響を受けて変動する物事について、予測や対策を立てる基礎の部分で貢献しているのです。

特に私が注力しているのは、量子の世界でランダムウォークを応用するための研究です。私たちの目に見える世界と量子の世界では、物理法則や確率的な振る舞いが大きく異なります。先ほどのコインの例のような通常のランダムウォークでは、表と裏の確率は半々のため、数直線の中央付近に点が位置する確率が高くなる正規分布を示します。一方、量子ランダムウォークでは、外側の確率が高まるという違った分布を示すのです。ここには、量子が持つ「重ね合わせ」などの性質が関係していると考えられています。この分野を突き詰める魅力は、理論の上で量子の謎に迫ることができるところ。量子の世界においては、物理的な研究では実証できても理論上では成立しない、ということが多くあります。同時に、その反対のケースも存在する。両軸から研究を進めることによって、互いの成果に寄与できることが、研究を続ける面白さだと感じています。

視点を変えた工夫が新たな発見を生み出す

私の場合、不思議なことに、机の前に座っているときよりも、外に出かけているときのほうがアイデアを思いつくことが多いです。これまでも、自転車を漕いでいるときに浮かんだ発想が成果につながったことがたくさんありました。このように、「こうすればいいんじゃないか」と考えたことが、本当にバチッとはまったときには達成感を覚えることができますね。

これには、私の勉強を楽しいと思った原体験が影響しているのかもしれません。高校生の頃、数学の授業である難しい問題が出されました。その授業が終わったあと、何人かの友人たちと集まって、一緒にその問題について考えることに。すると、ほかのクラスメイトたちもやってきて、「こうじゃないか」と口々に議論が始まった。その結果、みんなでひとつの難題を解くことができたのです。

現在は「確率統計」や「離散数学」など、確率・統計学を中心に授業を行っていますが、自分の過去の経験もあって、周囲の友人と工夫しながら問題を考えられる内容を心がけています。高校時代の数学に登場する確率では、「場合の数」を数え間違えて点数を落としたという嫌な思い出がある人も多いはず。しかし、確率の本当の面白さは、工夫して考えることにあります。

その代表例が「余事象」です。複雑なパターンをすべて数えるのではなく、それ以外のパターンを全体から引くことによって答えが導かれる。「視点を変えたアプローチによって簡単に答えが出る」というケースは私の研究のレベルでも多くあり、この工夫こそが確率を学ぶ魅力ではないかと考えています。

ですので、学生の皆さんには、友人と一緒に議論しながら勉強する経験をしてほしいと思います。自分が教えることもあれば、友人から教わることもある。その相乗効果が学びを深めてくれます。そこで大切なのは、相手を思いやる優しさです。一時の損得勘定で優しさをケチると、2手先、3手先で結局損をしてしまう確率が高いように感じています。目の前のことを大事にしつつ、優しさと活力を持ち続けることが、研究や人生において重要なのではないかと思います。

数学の世界は、まだまだ謎と発見に満ち溢れています。ぜひ友人と一緒に、その面白さに触れていただけたらうれしいです。

無限次元確率解析研究室

数理解析を軸として数理的諸問題を幅広く研究

当研究室では数理解析を基礎として、工学・社会学・自然科学における数理的諸問題を幅広く研究しています。具体的に、有限マルコフ決定過程とその応用をはじめ、統計力学モデルの生物の棲み分け問題や人間社会での消費行動への当てはめ、動的計画問題、ゲーム理論とその応用、確率制御問題とその応用などが研究テーマとして挙げられます。 同時に、これらの数理的諸問題の解析結果をコンピュータにより実行させる技術開発にも取り組んでいます。数理とコンピュータによる実践の融合は、学生の皆さんが将来社会において飛躍する大きな力になると確信しています。これらのテーマ以外でも、学生の問題意識に基づく数理的問題であれば、すべてが研究対象となります。

Photos

  • 幼稚園に通っていた頃から友人との話題の種はゲームでした。今はNintendo Switchが甥たちとのコミュニケーションツールです

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