Niki Satoru

仁木 哲 特別助教

所属
情報学部
システム数理学科
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専門分野

論理学

キーワード

Profile

出身地/東京都
趣味/語学、食べ歩き
好きな音楽/クラシック音楽
好きな映画/『ミミノ』
好きな食べ物/エスニック料理

文系・理系さまざまな分野の視点が交わる、論理学の面白さ。

「論理とは何か?」を、形式的に突き詰めていく

「論理学」という分野を専門としています。論理学とは一言でいえば、「どのような前提から、どのような結論が導けるか」を扱う学問です。例えば、「すべての人間は死ぬ」・「ソクラテスは人間である」という前提からは「ソクラテスは死ぬ」という結論が導けます。論理学では、このような推論が「正しい」理由を、その形式に着目することによって考察します。

論理学には、主に2つのアプローチがあります。ひとつは、証明を対象にする方法です。証明では「または」「ならば」「かつ」といった言葉が使われますが、「これらの言葉の適切な使い方はなにか」を形式的に分析することで、「正しい推論」とは何かを分析します。

もうひとつは、「意味論的」な方法です。これは、命題に対して“真”か“偽”かという「真理値(しんりち)」を割り当てて、どのような推論が成り立つかを調べるものです。例えば「AまたはBが真」になるのは、Aが真であるかBが真である場合です。私はこうした論理表現の性質を、厳密な数学の枠組みで研究しています。

例に出した「AまたはBが真」のような“真”か“偽”かのどちらかで判断する論理体系を「古典論理」といいますが、これでは日常の推論やプログラミングの文脈を捉えきれない場合があります。こうした理由から発展してきた「非古典論理学」という論理学の一分野では、「古典論理」以外の論理体系が研究されています。その中で私が特に扱っているのは、証拠がきちんと伴った推論や、矛盾が起きても意味が破綻しない推論などのトピックです。

「矛盾」や「否定」の概念など、説明しにくいけれど重要な論理的要素を深く掘り下げることが、私の研究への興味の源のひとつです。なぜ「矛盾」してはならないのか、「否定」という概念がなぜ直感的に捉えにくいのか。こうした問いに取り組むのが論理学の面白さだと思います。

「論理的に考える力」は、誰にでももともと備わっているものだと思います。論理学を学ぶことは、その能力を形式的に整理し、より深く理解するということです。なので新しいことを知るというよりは、すでに知っていることをよりはっきりさせる学問であるともいえます。私の授業では、誰もが使っている「論理」について少し立ち止まって見直し、より深く考える時間をもたらすことができればと思います。

論理学は、文系・理系の枠を越えて多様な人が交差する分野です。私自身は数学科出身ですが、哲学科所属していた経験もあり、さまざまな分野の視点が交わることに大きな魅力を感じています。

考えを明確に伝えるための論理と表現を学ぶ

私が共同で担当している「計算と論理」・「論理学演習」といった授業では、論理的思考や数学的な表現力を高めることを目指しています。

「計算と論理」では、プログラムの構造や意味を数学的なモデルを用いて捉える方法を学びます。例えばあるプログラムが与えられたとき、「λ(ラムダ)計算」というモデルを使うと、その意味を数式のように明確に表現することができます。さらに、論理や数学の力を借りて自分の考えを明確に表現する「数理的コミュニケーション」の方法も身に付けることができると考えています。

「論理学演習」では命題論理や集合などの数理的表現を扱い、たとえば「真理値表」を使って「何が正しい推論なのか」・「間違った推論とはどのようなものか」といったことを学ぶことができます。こうした内容は、いわゆる「クリティカル・シンキング(批判的思考)」にも応用できるものとなっています。

多様な視点と出合い、問いを深める力を持ってほしい

私は学生に、大学での学びを通じて多様な価値観と出合い、自分の理解の枠組みを広げていってほしいと思っています。高校までの環境では、価値観の似た友人同士で過ごすことが多いかもしれません。しかし、大学やその先の社会では多様な人々と付き合っていく必要があります。自分と違う考え方、異なる背景を持つ人たちと出会い、「なぜこの人はこう考えるのか」と興味を持って接することで、世界の見え方も変わってくると思います。

私自身、大学時代にイギリスに留学した経験があります。行く前は深く想像してはいなかったものの、実際に現地で生活し学ぶ中で、全く異なるバックグランドをもつ学生と色々なことを議論する機会があり、その結果視野が大きく広がりました。

学びも経験も、やってみなければ始まりません。もちろん失敗することもあるでしょう。しかしその経験が、後の自分を支える力になります。学生時代には、「とりあえずやってみる」ことを大切にしてください。

Photos

  • 論理学の本:数学やコンピュータ・サイエンスとの深いつながりを知ったことも、論理学に関心を持ったきっかけのひとつでした。その頃読んでいた本の一冊で、「無限にはいろいろな大きさがある」といった話が載っており、とても興味を惹かれました

  • ミーアキャットぬいぐるみ:以前所属していた大学があるドイツ・ボーフム市のマスコット、ミーアキャットのぬいぐるみ。当時は特にそうでしたが、研究上の交流を通じていろいろな国の人と関わり、文化を知る機会を得られことも、研究の魅力だと思います

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