Fuchi Maiko
渕 麻依子 教授
Profile
出身地/宮崎県宮崎市
生年/1975年
家族構成/夫
子供の頃の夢/飛行機に乗る仕事
趣味/趣味と実益を兼ねた料理。学生の頃は試験前になると夜中にお菓子を焼き始めるタイプでした。今は外で食べたおいしいものを家で再現しようと試みたりしています
休日の過ごし方/野球場やサッカー場に行ってビール片手に試合観戦できたら最高なのですが……
好きな音楽/最近はSpotifyのおすすめを聴いています。クラシックならラヴェルやサン・サーンス
好きなTV番組/『サラメシ』
好きな映画/『東京物語』
好きな著名人/伊達公子
好きな食べ物/桃。前任校は桃の名産地にあり、通勤路に桃畑がありました。少しいびつな桃を格安で買えて最高でした
私たちの生きる社会が文化的に豊かなものになるように 「著作権」の基本的な仕組みを議論しよう。
著作物の「保護」と「利用」のバランスを考える
皆さんが日々接しているゲームやアーティストの楽曲には、すべて製作した人に著作権が発生しています。私は、多くの人にとって身近な法律ともいえる「著作権法」を研究しています。著作権法は、特許法や商標法などと同じ知的財産法のひとつ。著作物について複製や上映、上演などに関する権利を与えることで著作者の利益を保護しつつ、一般の人々も一定の目的や条件下では著作物を利用できるよう定められた法律です。
研究では、著作権法における権利制限法理について扱っています。例えば、皆さんがレポートを書くときを想像してみてください。批判したい論文の著作権者に連絡をとって許可を得ないと(場合によってはお金を払わないと)論文を引用することもできない社会では、学問の発展が滞ると思いませんか? 一方で、著作物をいつでも無料で使用できてしまうと、著作権者が不利益を被ることになってしまいます。著作権者と一般の利用者の両者に正当な言い分があるため、どのように法律で調整するかは難しい問題。このような著作物の保護と利用の適切なバランスを、実際に訴訟になった事例や諸外国の法律との比較から論じています。
著作権法を研究しようと思ったきっかけは、コンピュータメーカーの法務部でインターンをしたことにもあります。そこで著作権法をはじめとする知的財産法の面白さを知ったのです。その魅力のひとつは、他の法律と比べるととても動きが速い分野であること。社会や文化と直結しているため、新しい判例が次々に現れ、法律の改正も頻繁にあります。また、権利制限法理をはじめとする多くのトピックについて世界中で同様の議論が起きており、諸外国と横の比較ができるのもこの分野の面白さだと思います。
そもそも、著作権法は文化の発展を目的につくられた法律で、私自身、本や音楽好きのひとりとして、クリエイターの利益がきちんと守られることでいい音楽や映画、小説などがたくさん生まれ、同時に私たちがそれらを楽しめる世の中になればいいなという思いで研究しています。
重要なのは法律の暗記ではなく、法的な考え方を身につけること
著作権法や特許法については、担当する「知的財産法Ⅰ・Ⅱ」の授業で教えています。授業では、まず法律の条文に登場する「著作者」や「著作物」「発明」などの概念から学んでいきます。このような知的財産法の基本を押さえつつ、大手衣料品店であるユニクロのレジに関する特許にまつわる訴訟を取り上げるなど、実際の社会の動向にも目を向けてもらっています。
法律の授業というと、先生の一方的な講義や暗記のイメージを持っている人も多いでしょう。しかし、法律を学ぶことは、法的な考え方を身につけるということ。これは、ルールをどのように解釈するか、関係する人々の利益の調整をどのようにすべきか、公正さを守るために手続きはどのようにあるべきかを考える力です。ですから、学生には、実際に出された判決について自分の頭で考え、評価することにも挑戦してもらっています。この力は、弁護士や裁判官、あるいは公務員だけに求められるものではありません。将来どのような職業につくとしても必ず役に立つものだと思っています。
将来の道を絞りすぎないことも大事
大学生の頃に早めに将来の目標を決め、そこに向かって一生懸命頑張るのはすばらしいことだと思います。ただ、その目標のための勉強だけで終わってしまうのはもったいないこと。せっかくの大学生活ですから、将来に直接関係のない授業を履修したり、アルバイトに挑戦したりするなど、多方面に興味を広げてほしいです。私も、学生時代にいろいろなことに取り組んでみました。だからこそ、「やってみたら楽しい」という気づきを得ることができ、この道に進むことができたのだと思います。学部生時代の友人には、今研究者をやっていると伝えたらきっと驚かれるでしょう。ぜひ皆さんも、大学生のうちにさまざまなことにチャレンジし、将来の可能性を広げてほしいと思います。
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