Tsurufuji Norimichi

鶴藤 倫道 教授

所属
法学部
法律学科
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専門分野

民事法学

キーワード

Profile

生年/1966年
血液型/A型(血液型占いは一切信用していませんが)
出身地/愛知県
家族構成/妻・子供2人(5歳と2歳)・妻の母
趣味/読書(乱読傾向)
子供の頃の夢/教師になること
尊敬する人/空海
愛読書/特になし(次から次へと新しいものを読むので)
休日の過ごし方/子供たちと遊ぶこと
好きな映画/ジブリの映画(DVDは子供とよく見ますね)
好きな音楽/「おかあさんといっしょ」で歌われるもの(子供向けとバカにできない良いのが多いです。気が付くと鼻歌を歌っていることも)
好きなTV番組/特になし(ほとんどテレビを見ないので)
好きな著名人/特になし(腹の立つ人は多いですが)
好きな食べ物/魚一般なんでも
好きな国/日本を除けばドイツ

法律は「説得の学問」であり「大人の学問」。そこで大切なのは、常識的判断ができるかどうかです。

身近で簡単なことから始めれば、法律だって難しくない

私が担当しているのは、民法のなかでも主に「債権」に関する講義です。さて、それでは「債権」とは何でしょうか。
たとえば、私が一冊の本を持っているとします。それを机の上に置いておいたら、友人が持っていってしまった。私はその本を返してもらえるでしょうか? もちろん答えは「はい」ですね。なぜなら私がその本の「所有権」を持っているからです。所有権というのは自分が対象物を支配することができる権利ですから、それを持ち去ったのが誰であっても私はその相手に「返してくれ」と言える。すなわち、所有権は誰に対してでも主張できる権利であることがわかります。ところが同じ権利でも、私が友人に対してこの本を「売ります」という契約をした場合、私が「代金を支払ってくれ」と言えるのはその契約をした本人に対してであって、その人の家族や友人に「支払ってくれ」とは言えません。このことから、この権利はどうやら所有権とは違うタイプのようだ、とわかりますね。すなわち所有権とは物権であり、「もの」に対する権利です。一方、債権は「ひと」に対する権利ということがわかります。
法律というと、とても難しい学問のように感じるかもしれませんが、このように日常的に常識だと思われていることから考えはじめて、次第に複雑な問題へと進んで行くと理解しやすくなりませんか? そのため、私の授業で事前に提示するレジュメは講義内容の概要を記述したものではなく、全て、設問形式のものとなっています。まず問題を提示し、それについて考えながらテキストを事前に読むことで、問題点に取り組む姿勢を身に付けてもらうこと。そしてテキストでは必ずしも設例が挙げられていない部分についても、具体的な場面を想定していける能力を身に付けることが目的です。

民法をやるなら、俗っぽくあれ

法学部やロースクールでの勉強というのは、六法全書を頭から丸暗記するようなものだと考えている人もいるかもしれません。けれど実際には法律に書いてあることでも、書いてあるとおりにしなければならない事柄と、当事者の間で合意があればそちらのほうが優先される事柄とがあるのです。
さらに法律を知ってさえいれば、どんな問題でも解決できるかといえば、そうでもありません。紛争当事者は、互いに自分が正しいと思っているわけですから、解決するためには妥当な結論を提示するだけではだめで、そこに至る筋道を、当事者たちがきちんと納得できるように説明できなければいけません。ですから条文の結論だけを丸暗記していても意味はなく、なぜそういう結論になるか、そこに導く理由づけが理解できてはじめて法律学を学んだといえます。そのため、しばしば法律学は「説得の学問」であり「大人の学問」といわれるのです。
私の恩師の言葉に「民法をやるなら、俗っぽくあれ」というものがありました。法律の解釈というのは、時代や状況によって変わっていくものです。紛争解決の軸として定められた法律や制度を理解しておくことは大切ですが、それ以上に社会常識に則って新たな解釈をしたり、そこに書かれていない新たなルールを生み出すことが大切なのです。ですから法曹界を目指す人にとって、実は普通の社会を知っていて、そこできちんとした常識的判断ができることが重要な資質なんですよ。

これからの社会に必要なのは「対話能力」

社会というのは日々刻々と変化しているものです。これは法律学に限らず、どのような分野についても共通のことですが、学生時代に知識の量だけを増やしたところで、多くの場合、社会へ出て実際にそれを使う段階になったらそれらの知識は古いものになっています。ですから、学生時代に本当に身に付けるべきなのは、新しいことに対応できる思考力、あるいは新しい問題にどう対処すべきかということを調べ、まとめ、それを他者に伝える能力だと思います。相手の言い分を聞き、そのいいところ、理解できるところは承認したうえで、こういう考え方もあるんじゃないですか、と自分の意見を述べる。そうして両者のいいところをまとめ上げてひとつの結論を生む。そういう「対話の能力」こそがこれからの社会では求められるのではないでしょうか。「法律を学ぶ」というのは、まさにそういうことですし、本来、大学はそういうことを勉強する場所だと私は思います。
それともうひとつ。私が法律について研究していると言うと、ときどき人から「理系の研究だったら新しい物質を発見したりなにかを発明したりするんだろうけど、法律の研究ってなにか新しいことを発見するの?」と言われるんです(笑)。ちなみに私の研究テーマは「契約解消後における当事者間の利害関係の調整について」。確かに「発見」「発明」とは程遠いものに聞こえますね。でも実は契約解除に関するルールは、歴史的に見れば比較的新しいもので、国によって定め方はさまざまです。このように既に社会にあるけれどルールとして明確に整理できていない事柄を見つけ出し、なぜ契約を締結したのに、その拘束力から離脱できるのかを統一的に説明することや、その後始末の問題として当事者間の利害関係の調整を考えていく。これも「発見」「発明」と言えないこともありません。「なぜだろう」「おかしいな」という疑問が出発点であるという意味では、理系の学問も法律学もなんら変わりはないんです。よく考えてみると、世の中には「不思議だな」と思うことはたくさんあって、それを解き明かそうとするのが「学問」なんでしょうね。

Photos

  • マルシェ民法シリーズⅢ『マルシェ 債権総論』(嵯峨野書院)。複数の先生方との共著で、第二章「債権の効力」を執筆。自身の研究テーマに近い事柄について書いた

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