Tsunoda Mitsutaka

角田 光隆 教授

所属
法学部
法律学科
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専門分野

民法、高齢者・障害者・子ども法

キーワード

Profile

出身地/東京
趣味/散策
子供の頃の夢/宇宙ステーションで活動すること
尊敬する人/マーティン・ルーサー・キング・ジュニア牧師
愛読書/研究テーマに関する書物
休日の過ごし方/散策
好きなTV番組/旅番組、経済番組、自然科学番組
好きな食べ物/果物、バウムクーヘン
好きな国/ヨーロッパ

市民に慕われる社会貢献を積極的に行う人材を育成したい。

日本の法制度に影響を与えた「ヨーロッパ私法」の研究

大学受験の頃、社会の成り立ちや法制度に興味があって法学部に進学しました。法学全般をひと通り勉強したあと、3年生から始まるゼミでは、市民の暮らしと密接な関係があり、法律の基礎ともいえる「民事法」を専門に選び、さらに深く学んでみたいと思い大学院に進みました。そしてこの頃から、ヨーロッパ諸国の法制度や「ヨーロッパ私法」の研究を始めました。当時、日本国内で「ヨーロッパ私法」の分野の研究はあまり認知されていませんでしたが、そもそも、明治時代に成立した日本の「民法典」は、ドイツやフランスをはじめ、諸外国の法律を参考にしてつくられたものです。そしてヨーロッパでは、欧州共同体(EC)の指令が国内法化され各国の独自性より共通性を強調する方向に移行し、民事法の共通化も始まっていました。特に「契約法」は草案をつくる動きがありました。そのため、「民法典」を解釈し、新たな立法をするには、ドイツ法やフランス法などを含めた「ヨーロッパ私法」を研究する必要があるのではないか、と考えたのが研究に着手したきっかけです。また、大学時代に読んだヨーロッパの歴史を鳥瞰する本の影響で、ヨーロッパの法制度に関心を持ったことも一因でした。
「ヨーロッパ私法」の研究のため、その先端を走っていたドイツのオスナブリュック大学の先生が責任者となっている当時の比較法・国際私法研究所に滞在しました。この先生は、のちに「ヨーロッパ私法の共通参照枠組み草案」というモデル法を編集した方です。そしてこの後、この研究に本格的に取り組み始め、以来「ヨーロッパ私法の比較法的研究を踏まえた契約法・契約外責任法の理論的構築」について研究を続けています。同時に、ヨーロッパ全体および各国の法改正についての研究も行ってきました。前述の通り、当時の日本ではこの分野への理解者は少なく地道な研究でしたが、一度志した道は継続して突き詰めたいという思いで研究を続けました。その後、「ヨーロッパ私法」の動きやドイツ、フランスの法改正が、日本の民法改正に影響を与えるなど、国内でも「ヨーロッパ私法」の研究が認知されました。

消費者や子どもに関わる法制度の研究

「ヨーロッパ私法」の研究の一環として、「EU消費者法」の研究も行いました。この研究は、我が国における消費者に関わる法制度の充実化につながることを期待して行っているものです。その中のテーマとして、環境エネルギー法と消費者の権利に関する研究と、消費者と高齢者・障がい者の問題の研究を進めています。
一方、「子ども法」に関する研究にも着手しています。すでに児童の権利条約に関する個々の問題点の整理と子ども手続代理人の立法過程の研究を行いました。近年、子どもを取り巻くさまざまな問題が頻出していて、「子どもの貧困対策の推進に関する法律」や「いじめ防止対策推進法」が成立しましたが、日本における子どもに関する法制度はまだまだ整備不十分です。こども家庭庁が設立されたのをきっかけに子どもに関する法制度が充実する方向に進むことを期待しています。
深刻な人口減少とも関係のある重要な分野であり、子どもたちが健やかに明るく過ごせる社会をつくる一助となるため、立法論も意識した子どもに関連する法律についての研究が必要だと感じ、研究論文を公表していく予定です。

認知症高齢者及び障がい者に関する法制度等の学際的研究。研究奨励賞・共同研究業績賞の受賞

2016年度と2017年度に亘って、神奈川大学法学研究所の共同研究「障害者に対する合理的配慮の実現における自治体の機能と役割」を行いました。この共同研究の成果について2017年11月18日に神奈川大学法学研究所のワークショップを行い、「自治体の障害者差別解消施策―その現状と課題」に関する指定発言を行いました。その後も継続して障がい者に対する合理的配慮の研究などの障がい者の課題の研究を行っています。

2017年4月22日に開催された日本マンション学会名古屋大会のメインシンポジウムで「マンションで認知症にどう付き合うのか―現行法における課題」に関して研究発表を行いました。その後、日本マンション学会及びマンション管理業協会の認知症高齢者等の課題を研究する委員会の責任者として活動し、2022年4月に設立されたマンション福祉住環境研究委員会の責任者として高齢者・障がい者等の対応マニュアルの作成に努めています。この委員会を発展させて「一人暮らし高齢者支援システム研究委員会」を作り、責任者として一人暮らし高齢者支援システムに関する提言を公表するために活動を行っています。

日本マンション学会の学会誌「マンション学」第64号の「分譲マンションにおける認知症高齢者等の課題に関する多角的研究―認知症その他の障害があっても住み慣れた地域で尊厳を守られて暮らせる共生社会の実現のために―」と題する特集と「マンション学」第68号の「マンションと新型コロナウイルス感染症対策」と題する特集の編集責任者として役割を果たしました。また、「マンション学」第73号の「マンションのバリアフリー」と「マンション学」第80号の「インクルーシブ防災」と題する特集の編集責任者も担当しました。

日本マンション学会の大会分科会の責任者として2019年4月12日の福岡大会第6分科会の「認知症高齢者等の課題の解決視点について」、2020年11月7日のオンライン大阪大会第4分科会の「認知症高齢者等の課題と対策」、2022年4月16日の千葉大会第3分科会の「認知症高齢者等の事例と対応マニュアルの指針」に関する共同研究の発表を行いました。その後も継続して認知症高齢者等の課題の研究をしています。

その他に、日本マンション学会の大会分科会の責任者として2023年4月22日の京都大会第2分科会の「マンションのバリアフリー、管理士等の活用、孤立死対策」、2024年4月21日の名古屋大会第5分科会の「高齢者の福祉住環境と財産管理」、2025年4月20日の横浜大会第5分科会の「一人暮らし高齢者の公的・私的な支援と支援者の役割」に関する共同研究の発表を行いました。

このような研究活動の過程で、日本マンション学会から研究奨励賞と共同研究業績賞を受賞しました。

さらに、厚生労働科学研究費補助金「独居認知症高齢者等が安全・安心な暮らしを送れる環境づくりのための研究」(2019年度~2021年度)と「独居認知症高齢者等の地域での暮らしを安定化・永続化するための研究」(2022年度~2024年度)という学際的な観点からの研究活動に参画し、マンションの部分を担当しました。

法学部の高齢者・障がい者・子どもの視点に立った講義・演習の担当、大学院法学研究科「高齢者法・政策履修モデル」の高齢者法・政策科目の担当

共通教養科目としての「法学」において、高齢者・障がい者・子どもの視点から講義を行っています。また、法学部基礎演習Ⅱと法学部ゼミナールⅠ、Ⅱ、Ⅲにおいても、高齢者・障がい者・子どもの視点から演習を行っています。

大学院法学研究科において、2025年4月から「高齢者法・政策履修モデル」という高齢者に焦点を当てた専門のコースが開講しています。このコースにおいて、「高齢者法特講Ⅰ」と「高齢社会・学際演習」を担当しています。「高齢社会・学際演習」(角田光隆、関ふ佐子、樋口範雄[東京大学名誉教授、武蔵野大学特任教授]、近藤和哉、安藤孝敏[横浜国立大学教授])は複数の教員がかかわる法律学以外の他分野の講義を含めた学際的な演習であり、科目責任者を務めています。

「高齢者法・政策履修モデル」は、共通科目(研究スキル特講Ⅰ・Ⅱ、現代法特講Ⅰ・Ⅱ)、基幹科目(高齢者法特講Ⅰ、高齢者法特講Ⅱ、高齢社会・学際演習)、展開科目(民法特講Ⅰ、民法特講Ⅵ、社会保障法特講、刑事政策特講、労働法特講、医事法特講、比較法特講、憲法特講Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ、行政法特講Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ、行政学特講Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ、法哲学特講)、総合演習(法学・政治学総合演習)を内容としています。大学内の法学部や他の大学院研究科、他の大学の科目を履修することも考慮しています。

神奈川大学高齢社会研究会の代表、神奈川大学生涯学習・エクステンション講座の担当

2024年4月から神奈川大学法学研究所の共同研究として「高齢者の法的課題に対する多角的研究と教育・研究体制の構築」を行っており、この共同研究に伴って、神奈川大学高齢社会研究会を作り、代表を務めています。

神奈川大学高齢社会研究会が実施したシンポジウム・講演会は、2024年6月の「高齢者問題シンポジウム」(角田光隆、関ふ佐子、岩田太、新海浩之、朴孝淑)、2024年12月の「ケアラー・ヤングケアラーの諸問題と解決策の展望」(日本ケアラー連盟理事 中嶋圭子、司会コメンテーター 角田光隆)、2025年5月の「安心サポート・成年後見サポート等の高齢者向けの取組と学生・子ども等への社会貢献活動」(城南信用金庫名誉顧問 吉原毅、司会コメンテーター 角田光隆)です。今後もシンポジウム・講演会を継続して行っていきます。これらは、法学部・大学院法学研究科の講義・演習と連携したものです。

神奈川大学生涯学習・エクステンション講座を2023年2月から担当しています。2023年2月から2024年9月まで「認知症の予防、認知症の人への福祉的支援と法的支援」を実務家と一緒に責任者として担当しました。2025年8月から「一人暮らし高齢者の福祉的支援と法的支援」を実務家と一緒に責任者として担当しています。

民法、高齢者・障がい者・子ども法に関するゼミナール

詳細はゼミナール要項をご確認ください。

Photos

  • 2007年出版の共訳書『ヨーロッパ債務法の変遷』(信山社)。第8章の「契約外損害賠償責任に関するヨーロッパ基本原則への道」を翻訳した

  • ヨーロッパ私法研究のための海外研修で滞在したドイツのオスナブリュックは、とてものどかな中都市。写真はオスナブリュックの民家をモチーフにした絵皿で、記念に買ったもの。これを見ると美しい街並みを思い出す

SDGsの取組み

地域課題

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