Antoine Bossard

ボサール アントワーヌ 教授

所属
情報学部
計算機科学科
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専門分野

interconnection networks、routing problems

キーワード

Profile

生年/1984年
出身地/ノルマンディー(フランス)
血液型/不明(たぶんO型)
家族構成/妻、息子
子供の頃の夢/極東の探検
尊敬する人/Guillaume le Conquérant
愛読書/スタンダール
趣味/言語学習、サイクリング
休日の過ごし方/家族と散歩
好きな音楽/久石譲
好きなTV番組/サッカー
好きな食べ物/久留米ラーメン
好きな国/母国フランス

Open your mind, think outside the box.

幼いころから、なぜか抱いていた日本への憧れ

私が生まれ育ったのは、フランスのノルマンディー地方の小さな港町です。そして自分でもなぜかわからないのですが、子供時代から日本に興味がありました。ひとつのきっかけとして印象に残っているのは、幼い頃に見た水墨画の画集です。描かれている風景を見て、これは自分が生きている世界とはまったく違うと思ったのです。7~8歳のころから図書館で日本について書かれた本を読んだり、古い黒澤映画を見たりしていましたが、さらにそこで興味がわいたのは、フランスとはまったく違う人々の仕草や生活習慣、ものの考え方などでした。それもまた自分がこれまで受けてきた教育やなじんでいる生活習慣とはまったく違っていて、その知らない世界や知らない文化をもっと知りたい、という気持ちが大きくなっていったのです。
8歳のときから習い始めた柔道は15年間続けました。そこで身につけた「相手をリスペクトする」「友人を大切にする」「礼儀を正しくする」といった柔道の精神も、自分の人生に大きな影響を与えてくれました。ノルマンディーの大学では計算機科学と数学を専門にしていましたが、趣味として独学で日本語を学び始め、留学でフランスに来ていた今の妻と出会って、結婚したのです。そのこともあって、もっと日本のことが知りたい、日本で就職したいという気持ちが強くなり、まずは博士課程後期で日本の大学へ編入し、現在に至ります。

情報科学は妥協の学問

授業では「グラフ理論特論」や、情報処理システムの基本原理を学ぶ「計算機システム基礎」、情報システムの基礎としての「計算機アーキテクチャ」などの授業を担当しています。私自身が現在、研究テーマにしているのはグラフ理論。なかでもスーパーコンピュータのプロセッサ間のデータ通信の効率性や信頼性を高める研究です。
「京」のような最新のスーパーコンピュータは、数百万個のプロセッサを使用して並列処理を行っています。それぞれのプロセッサの処理速度が上がっても、プロセッサ間のネットワークが接続できなければ 、全体のパワーは下がってしまいます。そこで最大限の性能を引き出すためにネットワークの経路選択アルゴリズムをしっかり考える必要があるのです。
その際、まず重要なのは、複数の経路でプロセッサを共有しないこと。数百万個のプロセッサのなかには故障しているものがあるかもしれません。仮にそれを複数の経路が経由していた場合、それらの経路すべてがダメになってしまいます。けれどそれぞれの経路が同じプロセッサを経由していなければ、どこかが故障していてもダメになる経路は1本で済みます 。ですから、ネットワークを組む際には、このように"互いに「素」な経路"を選択することが望ましいのです。もうひとつの大きなメリットは、複数の経路を選択したとき、それぞれが「素」であれば、同時にデータ通信が行えるということです。ある特定のプロセッサをいくつかの経路が共有している場合、ひとつの処理が終わるまで、別の経路は通信ができなくなり、処理速度が落ちてしまいます。こうしたことを避けるためにも、まずは互いに「素」であり、さらにコンパクトで効率的な経路選択が重要なのです。
ちなみに理論上ではパーフェクトな方法が得られても、実際に応用する際には物理的な制約などがあって、理想通りにはいきません。「処理が早くて経費も少なくて安全」な経路が理想ですが、実際にそれをすべて満たすことは難しく、どの条件を優先するのかを考えていかなければいけない。ですから情報科学は妥協の学問、といえるかもしれません。

箱を飛び出し、限界のない世界で考えよう

学生の皆さんには、"Open your mind, Think outside the box."という言葉を贈りたいと思います。狭く考えずに、広く視野を持つこと。ここでいうboxは、ルールや制約のこと。物事を考えるときには、まずはルールや制約を無視して考えてみよう、ということです。最初にルールや制約を前提にしてしまうと、「こういう決まりがあるからこれは駄目」「こういう制約があるからこれは無理」というように考えが広がっていきません。箱には壁や蓋があるので、そのなかで考えていると思考も狭くなってしまうのです。 まずは箱から出て、広くて限界のない世界で物事を考えて欲しい。研究をする際にも、それが一番大切です。
フランスでは高校3年で哲学の授業があります。そこで「boxの外に出る」という考え方を学びます。私自身、哲学の授業からは大きな影響を受けましたし、それによってこういう考え方も身につきました。これは文化の違いもあるのでしょうが、日本では「決まりがあってそれはできない」と言う学生さんが多いように感じます。ですから私は、日本でも高校生に哲学を教えるといいのではないかと思うのです。
もともと数学は哲学と関係が深い学問です。パスカルもデカルトも数学者であり、哲学者でもある。これはちょっと大きな夢かもしれませんが、私もパスカルやデカルトのような知識や考え方を身につけたい。そしてその学び方を、学生たちにも伝えたいと思っています。

計算機システム研究室

Interconnection networks of massively parallel systems

A graph is made of nodes and edges. Graphs can be used to model many different situations. For instance, modern supercomputers are made of hundreds of thousands computing nodes: they are massively parallel systems. These nodes are connected according to the interconnection network of the system: nodes are processors and edges are links between them. Routing problems in this context are critical issues as they condition data communication efficiency and reliability. What would be the point of having numerous processors if they are not able to communicate with each other efficiently?

Photos

  • 故郷であるノルマンディー地方の旗。赤地に三匹のレオパルドが描かれている。いまでも市役所や船上などで使われている、地元の人々にとってはなじみのあるもの。

  • 中国から取り寄せた『康熙字典』。これは漢字の部首などの基本が書かれた辞書で、これからの研究テーマとして、グラフ理論を使って文字と文字の関係に科学的なアプローチをしたいと思って手に入れた。

  • A 3-ary 2D torus-connected cycles network (TCC): 4-cycles are connected according to a 3-ary 2D toru

SDGsの取組み

地域課題

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