Sone Tadaaki

曽根 忠瑛 特別助教

所属
工学部
電気電子情報工学科
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専門分野

機械工学、知能ロボット

キーワード

Profile

出身地/神奈川県横浜市
趣味/創作活動
好きな音楽/「K」、「バトルクライ」
好きなTV番組/『スタートレック』シリーズ、『宇宙戦艦ヤマト』シリーズ
好きな映画/『トップガン』、『シン・ゴジラ』
好きな食べ物/ラーメン、四川料理

カーリングのストーンはなぜ曲がるのか。データ分析を通じて長年の謎に迫る。

システム開発とロボット製作、2つの軸でスポーツの発展に寄与

私が所属する「モータドライブ研究室」は、身の回りの未解明の現象や社会のニーズに対して、機械工学の視点から解明・解決することをめざしています。私の主な研究対象は、カーリングというスポーツです。冬季オリンピック種目にも採用されているカーリングは、氷上でストーンという道具を滑らせ、約40m先に描かれたハウスと呼ばれる円の中に投げ入れて点数を競う競技。頭を使った戦略が勝敗を大きく左右することから、“氷上のチェス”と呼ばれることもあります。実はこのスポーツには、「なぜストーンが曲がるのか」など、物理的に解明されていない部分が残されています。これまで、数式を用いた理論的な研究は行われてきましたが、スポーツは実際に測定してみないとわからないことが多い。こうした考えから、日本国内の研究者たちのグループが、カーリングに関するさまざまなデータを分析するようになりました。ストーンの動きには、温度や湿度、摩擦といった条件が影響を及ぼします。また、試合前には氷の上に水が撒かれ、それが小さな氷の粒を形成します。ストーンはそれを削り取りながら滑り、この複合的な現象により不規則な「カール」を描くのです。

近年ではAI(人工知能)を取り入れ、カーリングの対戦をシミュレーションする研究も進められています。私もこの研究にも携わっており、AI同士の対戦を実現するためのプラットフォームの制作を続けてきました。同時に、ストーンを射出するロボットの製作や、ストーンの動きを計測するシステムづくりにも注力しています。カーリングを研究していて実感するのは、人間である選手たちの分析力や判断力の高さです。分析の精度や速度はロボットのほうが優位かもしれませんが、少ない情報から判断する力は人間に敵わないように思います。選手たちは、複雑な理論を用いても予測できないストーンの動きを、培った経験と練習量によってコントロールしているんです。現在はテクノロジーが選手に追いついていない状況ですが、練習用の装置や分析用のシステムづくりを通じ、選手たちが実践している戦略の説得力の向上に寄与できればと考えています。

先端技術を活用しながらも、知識と判断力を身につけてほしい

現在、私がメインで担当している授業はありませんが、実験や研究などで学生の皆さんと関わる機会はあります。その際には、本質を見極める力を持った人材になってほしいと考えながらコミュニケーションをとっています。現代はAIをはじめとする、“外付けの知性”を容易に利用できる時代です。しかし、人間は「自分が何を知らないか」を認識できなければこれらを適切に活用できません。なぜかというと、AIが導き出す回答にはハレーション、すなわち「信頼できない情報」が紛れ込んでいる可能性があるからです。もちろんAIを有効に活用することは否定しませんが、その回答の正誤を自ら判断できる力は身につけておいてほしいと思います。そのためには、「答えのない問題」に自ら向き合い、深く考える姿勢が求められます。先端技術を適切に活用しながらも、物事の根本を自分の頭で捉える知識と判断力を持った人材が、これからの社会には不可欠だと信じています。

幼少期からロボットに憧れていた私は、高校時代にロボコンへの参加を果たし、そのまま研究者の道をめざして進学することを決めました。大学に入ってから携わったのは、実験環境を実現するための装置をつくり、それを用いて自ら実験するという研究ばかり。データを計測して検証する研究を続けてきたところ、大学院で「カーリングをテーマにしてみないか」という話をもらいました。それまではよく知らないスポーツでしたが、実際の試合を目にするとロボットを超える人間の力に驚かされ、次第に興味を深めました。

こうした経験もあり、学生の皆さんには、専門を深めつつ好奇心の赴くままに幅広い学問に触れてほしいと思っています。大学時代は体系的に多様な知識を学べる人生で最大かつ最後の機会です。自分の専門だけでなく、まったく異なる分野の授業にも積極的に参加してみてください。一見関係ないように思える知識が、将来思わぬところでつながり、独自の視点や発想を生み出す源泉となります。この貴重な学びの時間を大切に使ってください。

モータドライブ研究室

Photos

  • 学生の頃から2004年製の古い車に乗っています。古いのでよく故障しますが、最近の車ほど複雑ではないので、直せるところはDIYで直しながら乗っています

  • ウインタースポーツの道具。小学生の頃からスキー場に通っていました。長野の大学に進学したもののあまり頻繁には行けませんでしたが、一生のスポーツにできたらと思っています

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