Fujinoki Kensuke
藤ノ木 健介 准教授
Profile
出身地/三重県
子供の頃の夢/科学者
尊敬する人/庵野秀明、宇多田ヒカル
趣味/映画鑑賞、写真
好きな食べ物/ラーメン
数学的手法で画像や音声データから隠れた法則を見出す「信号処理」の世界。
画像圧縮ファイルJPEGも信号処理の成果
私の専門は、「信号処理」と「応用数学」です。信号処理とは、数学的な手法を用いて、画像や音声などさまざまなデータを解析し、そこから役立つ情報を取り出したり、価値ある信号に変換したりする通信工学の研究分野です。信号とは、つまり数値の列や数値の集まりのことで、これらを詳しく調べ、隠れた法則を見出したりする研究分野と考えていいと思います。
信号処理のサンプルとしては、画像圧縮ファイルの「JPEG(ジェイペグ)」が挙げられます。カメラが好きな人ならお馴染みのファイル形式ですよね? このJPEGは、元のフルサイズの画像データから人間の目には見えない部分のデータを特定の法則で削り、ファイルサイズを軽くしているのです。同様に音声データの圧縮方式のひとつである「AAC」は、人間には聞こえにくい周波数帯のデータを削り、同じような音声データのままファイルサイズを軽くしています。
信号処理は、手段として数学を利用する学問分野ですが、私は数学の理論そのものにも興味があります。そこで、数学者と交流しながら、応用数学という分野についても研究しています。学生時代は、情報系の学部で数学的な手法を用いて、データ解析などを行っていました。この研究をしているうちに、手段である数学的手法に強い興味を持つようになり、応用数学を用いた理論的な研究に取り組むようになりました。なので、私が扱う信号処理は、かなり数学に重きを置いたものと考えてもらっていいと思います。
応用数学の視点から信号処理を考える授業
現在は、電気電子情報工学科で、「ディジタル信号処理」などの科目を担当しています。授業では、通常の工学部向けの内容に加えて、理論と応用を両立することの大切さを体験できるようにしています。具体的には、数学的な理論を盛り込み、それを画像処理や音声処理に応用して、プログラミングで実装して確かめてみるような流れを意識しています。実際に取り組むのは、画像や音声の「特徴抽出」や「ノイズ除去」といった基本的な課題です。これらのキーワードは、工学のさまざまな分野で登場しますが、その背景は高度な数学の理論に支えられています。
高校までは、計算が得意だから、答えがひとつだから……といった理由で数学を好きになる人も多いと思います。ただ、それは数学の入口にすぎません。本来、数学とは物事を抽象化するための言語の一種のようなもので、数学の理論を用いて、画像データの構造から株価データの動向まで、あらゆるものを読み解くことができます。授業を通じて、「数学ってこういうところにも使われているんだ!」という驚きを感じてほしいと思っています。
また、私の授業はもちろん、大学生活全般で学んでほしいのは、挑戦することの大切さです。学生時代は、何事も恐れず、いろいろな経験を積んでほしいと思っています。とりあえずやってみる、やりながら考える……これが私のやり方です。失敗や後悔を恐れて、なかなか行動できない気持ちもわかりますが、失敗しても許されるのが若者の特権です。最短・最善の道を目指すのもいいけれど、寄り道をすることによって得られるものや思わぬ発見もあります。そうした経験を積み上げながら、視野を広げていってほしいですね。
また、個別の研究や留学などの課外活動についても⽬先の利益や他⼈の意⾒などに流されず、そのとき、その瞬間に、⾃分が本当に興味があると思えることに真摯に打ち込んでほしいと思います。これは学⽣時代に限ったことではありません。社会に出てからもそうです。未来は誰にもわかりませんが、そうしたことを続けていると、ある⽇突然「あっ!」と未来が拓ける可能性があります。その瞬間は、突き詰め続けた⼈にしか訪れないと思っています。
Photos
地域課題
SDGs・地域課題について