Shiitada Atsushi
後田多 敦 教授
Profile
琉球国の歴史文化を基本テーマとしつつ、近代日本の成立過程と周縁、戦争や植民地が関心事です。日本の戦争責任問題や政治や文化にも、「現在史」の切り口でアプローチし、歴史を通して近隣の国地域との向き合い方を考えています。
生年/1962年
出身地/沖縄県
血液型/A型
家族構成/妻
子供の頃の夢/ものを作る人・発明家
尊敬する人/新しいことに挑戦する人、自分の利益だけでなく社会のことも考える人
愛読書/『山之口貘詩集』
趣味/ウォーキング
休日の過ごし方/ごろごろしています
好きな音楽/西泊茂昌(残念ながら最近は活動をされていないようですが)
好きなTV番組/韓国ドラマの「朱蒙」(はまりました)
好きな食べ物/イカ、麺類
好きな国/かつて存在した琉球
歴史を学ぶ中で、物事を複眼的に捉える姿勢を身につけてほしいと思っています。
琉球処分に抵抗した人々の行動に光をあてたい
日本近代史と琉球史を専門としています。現在は主に19世紀末に明治政府が行った琉球国併合問題とそれに対する抵抗運動、そして琉球国で女性が担っていた国家祭祀制度の変容・解体過程を通して、近代日本の成立についても研究しています。研究方法は歴史民俗資料学です。歴史民俗資料学は、歴史学と民俗学を中心として多様な資料を総合的に活用することを目指し、神奈川大学の日本常民文化研究所を母体として生まれた学問です。私のテーマでは文献資料が少ないため、有効な研究方法だと考えています。
若い世代の皆さんは、現在の沖縄がかつて琉球国であったことを知っているでしょうか? 琉球国は前近代の東アジアで、約500年もの間ひとつの政治社会として存在し、中国の明・清朝の冊封体制(中国を中心とした外交関係)に参加していた歴史があります。しかし19世紀末、琉球国は明治政府によって日本に取り込まれ、解体されてしまいます。これがいわゆる「琉球処分」です。このとき、「琉球処分」に抵抗し、琉球救国運動を行った琉球人たちの思想や行動については、これまであまり明らかにされてきませんでした。抵抗した人々の行動の意味を理解することは、沖縄や日本の近現代を考える上でも重要ですので、この運動にも光をあてていきたいと考えています。
日本とは、日本人とは、日本文化とは何か?
現在の担当講義は「日本史Ⅰ」と「日本文化論(歴史B)」などです。「日本史Ⅰ」は教養としての歴史の授業で、日本近現代史の基本的な流れを整理しながら進めています。現代社会を理解するうえで必要と思われる出来事を時間軸で捉えることで、さまざまな問題を歴史の中で理解し、物事を複眼的に捉える姿勢を身につけてもらうことが目標です。「琉球処分」も、日本史側から見れば近代日本の成立の過程ですが、琉球史側から見れば滅亡の過程です。ひとつの史実が、見る角度によってまったく異なる歴史になることも学んでほしいと思います。また、将来歴史に興味を持ったときに、新しいことを調べるための手がかりになる知識も蓄えてほしいと考えます。
「日本文化論(歴史B)」は、歴史民俗学科で学ぶ学生に日本の文化を理解してもらうための授業です。文化やその背景を歴史的に考える姿勢の習得を目標としています。「日本」といっても、その範囲は歴史の中で伸縮しています。そして、その伸縮には理由があります。揺れる周縁や日本のマイノリティ、特に沖縄の歴史や文化の事例を取り上げながら、日本とは、日本人とは、日本文化とは何かを学生と一緒に考えています。
また、学生の皆さんには身近なことから自分や他者を等身大で理解する姿勢を身につけてほしいと考えているので、新聞記事なども取り上げ、内容を要約させたうえで、記事に対する自分の考えをまとめてもらっています。若い皆さんは、現代社会の問題を自分のこととして捉え、自分の頭で考える必要があります。多くの学生がこの課題に真剣に取り組んでいることを頼もしく感じています。
挑戦は人生を豊かで楽しいものにしてくれる
私は沖縄県の石垣島で「日本復帰」後の社会混乱を目の当たりにして育ったこともあり、日本社会や国の仕組みに関心があったので神奈川大学の法学部で憲法を勉強しました。卒業後は沖縄に戻って新聞記者として働いていました。そんな中、1995年に沖縄米兵少女暴行事件が起きたのです。沖縄社会の転機となったこの事件に、私もいろいろな意味で衝撃を受けました。そして、沖縄で繰り返し起こるさまざまな出来事の原因や背景を歴史のなかで考えようと、神奈川大学に戻って大学院歴史民俗資料学研究科で、歴史の研究方法を本格的に学び直しました。神奈川大学に育てられた一人です。
大学の教員・先輩として皆さんに伝えていきたいことは、何事にも本気になって、やりたいことに早く挑戦してほしいということです。挑戦は人生を豊かで楽しいものにしてくれます。失敗を恐れる必要はありません。一回きりの人生、全力で生きましょう。歴史のなかでみれば、一人の人間の成功や失敗など、大した違いはありませんから。
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