Sunami Soichiro
角南 聡一郎 准教授
Profile
過去も現在も、世の中はモノ(物質文化)であふれています。モノには自然が生みだした類と人工の類があります。ここでは主に民具など人の作ったモノを通じて、伝統文化や人類の歴史について考えてみましょう。
出身地/岡山県
生年月日/1969年8月2日
家族構成/妻と息子2人
子供の頃の夢/教師か僧侶
尊敬する人/植木等
愛読書/大林太良『葬制の起源』、後藤明『民族考古学』
趣味/読書、路上観察
休日の過ごし方/寺社参拝、博物館探訪
好きな音楽/プログレ、パンク、ジャズロック
好きなTV番組/NHK『こころの時代』
好きな映画/大林宣彦監督の作品
好きな著名人/ダライ・ラマ14世、渡辺満里奈
好きな食べ物/排骨飯
好きな国・地域/台湾、ブラジル
民俗学は、人と縁の学問。先祖を知り、自分のルーツを見つめ直そう。
民俗学は“縁”の学問。誰もが関わりを持っている
祖父母が信心深かったこともあり、自然と寺院や宗教に興味を持つようになりました。今や、仏壇のあるお宅の方が少ないのかもしれませんね。自分の家の宗派を知らない、有名なお寺の名前は知っていてもその宗派は知らない……というのは珍しくないと思います。しかし、そうした宗派などを知ることは、自分の根っこを見つめ直すことにつながります。ご先祖がどんな人で、どんな信仰を持っていたかというのは、紛れもなくあなたのルーツです。そういう意味で、仏教民俗学は、誰もが関係するとても興味深い学問なのです。
民俗学というのは、“縁”で出来上がっている学問だと思います。例えば私が台湾へ調査に出かけた際に、たまたま宿泊したホテルの従業員が、調査に協力してくれるという元教師の男性を紹介してくれたことがありました。夜、その男性がふらっとホテルを訪ねてきて、「いっしょにご飯を食べるか?」と誘ってくれたのです。それまでまったく縁のなかった人と突然関係性が生まれ、急に調査も進展する……。人との出会いがあって、はじめて民俗学で最も重要なフィールドワークが成立するのです。人と触れ合うリアルな喜びを感じられるのが民俗学の面白いところです。
「モノ」から文化を掘り下げる
私の研究テーマである物質文化研究は、「モノ」の調査・研究です。授業では、身近にある「モノ」をテーマにします。モノを見て当時の思い出がよみがえる……というのは、誰にでも経験があることでしょう。モノは人のよりどころなのです。それを少し専門的に考えていくのが物質文化研究です。お寺の石造物もそうですし、家族が昔使っていたちゃぶ台や、友人が買ってきてくれたキーホルダーなど、身近なものもすべて研究材料です。モノを通じて社会や文化を学びましょう。例えば日本と世界のモノを比較することで、日本文化の独自性も、世界との共通点も見えてくるはずです。
民俗学は“縁”の学問だと言いましたが、人と関わりながら研究を進めていくことが必須です。ですから、民俗学者はコミュニケーション能力に長けた人が多いです。「1」聞くと「100」話してくれる人……とでもいうのでしょうか。民俗学を学ぶことによって、自然とコミュニケーション能力が磨かれるはずです。コミュニケーションの力は、将来どんな仕事をするにしても役立つ力でしょう。また、広くさまざまな分野に関わることができるので、興味を惹かれるものがきっと見つかります。
ぜひ「自分の目」で世界を見てほしい
ぜひ海外へ出てみてください。私も学生時代はあまり海外に興味はありませんでしたが、今の時代はそうも言っていられません。もう世界はつながっています。世界と日本との違いと、共通点を見つけてください。広い世界を知ってから日本に目を向けてみると、また違った日本が見えてくるはずです。「百聞は一見に如かず」。実際に現地に足を運び、実物を見ること、人と直接会うこと。それは学問においても、キャリアアップにおいても大切なことです。
私はブラジルに叔父がいたのですが、大学時代はなんとなく足が向かず、そのうちに亡くなってしまいました。最近調査で現地に行く機会があり、ようやく墓参りをすることができたのですが、「叔父が呼んでくれたのかな」という気さえしています。物事は何がどうつながるか分かりません。“縁”を大切に、毎日を過ごしてください。
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